聡明、繊細、そして柔軟な音楽性

yutaka yanagi 2024.09.10


巧みなベースプレイだけでなく、ソングライター/ボーカリストとしても突出した才能を発揮するMeshell Ndegeocello(ミシェル・ンデゲオチェロ)。彼女の楽曲は、所謂ブラックミュージックとはどこか一線を画す魅力がありますよね。影があり繊細、そして複雑な音楽性。また、ブラックミュージックらしいうねるグルーヴもあれば、ロックらしい直線的なパワーもある。オルタナティブと呼んだ方が良さそうに思います。実際彼女が2018年にリリースしたカバー・アルバム『Ventrilloquism』のラインナップを見ても、プリンスやジミ・ヘンドリックスといった共振を感じさせるアーティストから、ヴァン・モリソン、ジョン・レノン、さらにRadioheadなどの楽曲も挙げられています。また、フェラ・クティのトリビュート・アルバムへの参加や、フラメンコダンサーのジェルバ・ブエナ、ローリングストーンズなどあらゆるジャンルのアーティストと共演を重ねていることからも、彼女のバックグラウンドの特殊性がよくわかると思います。

さて、そんな彼女の最新アルバムは、公民権運動時代のスポークスマンの一人として知られるアフリカ系アメリカ人作家James Baldwin(ジェームス・ボールドウィン)をインスピレーションに制作されました。Meshellは人種としてだけでなく、同じ性的マイノリティとしてもJamesに共感と尊敬を覚えていたそうです。そんな彼の言葉を軸にアフロビート、ジャズ、ファンク、ソウルなどポエトリーリーディングとともに楽曲が展開されていきます。進行とともに次々とイマジネーションが湧いてくる感覚は、まるで映画や演劇を通して文化史を見ているようでもあります。何より洗練された各楽曲の気持ち良さや、決して軽くはないテーマにも関わらず醸し出される爽快さは、ついつい聴き入ってしまう要因にもなっていますね。


Meshell Ndegeocello / No More Water: The Gospel Of James Baldwin〈Blue Note〉
価格:¥2,750(税込)
商品番号:29-68-0437-494

【2LP】Meshell Ndegeocello / No More Water: The Gospel Of James Baldwin〈Blue Note〉
価格:¥6,160(税込)
商品番号:29-67-1170-494