『アイヌ クラフツ 伝統と革新-阿寒湖から-』これまでのことの続き

菊地 2019.10.11

みなさま、こんにちは。


さて。前回に引き続きこれまでの商品開発について、お話させてください。今回も盛り沢山になりそうなので、、気長にお付き合い頂けますと幸いです。




こちらはエリスたちが阿寒に通い始めた2017年の冬の様子。なんとも幻想的。四季によって表情を変える阿寒湖。この土地への興味も沸きますね。


さて、最初はアイヌ工芸作家、そして民謡の歌い手でもある下倉絵美さん。



さあここでも、難しいリクエストは続きます、、。

アイヌの儀礼具として活躍していた「チタラペ」と呼ばれるゴザを立体的にし、かごバッグにすることにチャレンジしていただきました。



そもそも平面で制作していたものを立体にする。最初は形も難しく、施策を何回か繰り返してくれました。



マチが狭く、サイズも大きくなってしまったのでこれは背負いカゴになりそうだね、、と話しながら、もう少し手で持てる市場カゴのようなサイズ感を目指します。

手で持つかごバッグには、北村の想いがありました。ショルダーや背負いも良さがあるけれど、現代の生活ではしっかり手に持つかごバッグに愛着がわくそう。

余談ですが、日傘も折り畳みではなく持つスタイルの傘を好んでいます。利便性を追求しすぎず、ちゃんと手で触れることが大切、ということでしょうか。



また、絵美さんは製作している道具をセットしてくれて、北村とエリスに編み方を丁寧に説明してくれました。
この石の重さでガマを隙間なく編んでいきます。編む際は独特な石のぶつかる音が聞こえ、ロフトの上が絵美さんの作業場であり姿が見えなくても作業していることがわかるそう。

そのようにして出来上がったカゴバッグはそれはもう美しい仕上がりでした。欲しい、けど貯金しなくちゃ。なんて言っていたらまた北村に怒られそうです。
欲しいと思ったら無理してでも買いなさい!(こんな教えはもう古いのでしょうか?)




四隅の強度や開口部の縁周りの処理などにも苦戦したそう。しかし今までに見たことのないデザインのカゴバッグが出来上がりました!
赤と紺の組み合わせはチタラペの伝統的な配色。赤には魔除けの意味があったそうです。
ブルーの濃淡の組み合わせは今までアイヌのデザインにはなかったので、特別なものとなりました。気になる方、ぜひ実際に見てみてください!


<下倉絵美 ガマバッグ>
価格:¥50,000+税
商品番号:66-61-0669-426


さて、お次は絵美さんの姉妹でいらっしゃる同じく工芸作家であり、歌い手でもある郷右近冨貴子さん。


彼女が元々製作していたブレスレットに注目。アイヌ語でエムシアツと呼ばれる刀掛け帯のデザインをそのままブレスレットにされていました。そ
れを見て、ブルーの濃淡で編んでもらうようにリクエスト。



こちらがエムシアツ。肩に掛けている部分がデザインの元になっています。



まず製作はブレスレットの材料となる、ツルウメモドキを山に採りにいくところから始まります。一緒に採りにいっているのは北海道のコーディネーター、新村のりこさん。彼女がいなかったらこの商品開発は進みませんでした。ご紹介させてください。かなり頻繁に北村からもわたしからも連絡がいったでしょう。いつも明るく作家さんとやり取りしてくれました。エリスのインスタにも時々登場してます。チェックしてみてくださいね。


と、時々話が逸れてしまいますが、そうブレスレット。


冨貴子さんは図案を書きながら進めていきます。ここにこの色、と丁寧に組み立てていきます。



難しかったのは留め具部分でした。片手でつけやすくないといけない。デザインとつけやすさのバランス。そこで、フェニカでは馴染みのあるマリアルドマンを参考にしてもらいました。





 

仕上がったのがこちら。縁の仕上げに鹿の皮とボタンには鹿の骨を使用しました。もうひとつは、イケマと呼ばれるお守りの仕様を元にしたものができました。


<郷右近冨貴子 エムシアツブレスレット>
価格:¥39,000+税
商品番号:66-42-0359-424

そして最後に、アイヌ工芸作家の木村多栄子さん。


多栄子さんは、冨貴子さん、絵美さんの従妹でカゴの製作者がもう一人必要だという時にお2人からご紹介いただきました。

サラニプというアイヌの人たちが使い続けている斜めがけにするタイプの物入れを、トートのように手で持てる形に変えて頂きました。(ここでも北村の手に持つバッグへのこだわりが垣間見えます!)

多栄子さんは焼き菓子を焼いてイベントなどで販売をしながら、サラニプスタイルのバッグやペットボトル入れを編んで販売していたのでエリスと北村の提案にも柔軟に対応してくれました。



しかし、やはり大きさもあり、かなりの時間をかけて丁寧に製作をしてくださったそうです。



こちらは1番小さな丸型サイズのバッグ。取っ手はチシポ仕様といって、前回書いた瀧口健吾さんの針入れに見られる刺繍模様を施して頂きました。今までにない形が、作り手さんの努力でここでもまた誕生しました!


<木村多栄子 サラニプバッグ>
価格:¥18,000+税
商品番号:66-61-0672-466


と、ここまで各作家さんとのやり取りを簡単ですがご紹介してきました。難しいリクエストの旅、と勝手に名前をつけて進行してきましたが、ただやみくもに無理をお願いしているわけではないのです。


伝統的なもの、家族から自然と引き継いだもの、などを大切にしつつ、今の生活に馴染むものを提案させていただく。


それはなぜかと言えば、この土地の素晴らしいものを少しでも多くのお客様に届けたいという思いからでした。

割といつも目的は単純なのです。


それが、人の心を豊かにすると信じているから難しいこともお願いしてしまうのですね。なんて。


なんとなく見た目が格好いいものも、もちろんわたしも好きなのですが、時にはなぜ格好いいと思うのか自分で説明できるもの、に触れてみるのも良いのではないでしょうか?


奥深いアイヌの工芸に触れて、そんなことを考えています。最後はわたしの日記のようになっていますね。


そろそろやめます。

続きは是非お店で皆様の目でご覧いただければ嬉しいです!


もしも、2回とも長いブログにお付き合いいただいた方がいたとしたら、、本当にありがとうございます。


少しでも興味が沸いた方、ぜひお出かけくださいね。隣のBギャラリーでは古い貴重なアイヌの工芸品を展示しておりますのでとても良い機会になること間違いなしです。


では、開催まであと1日。

どうぞ宜しくお願い致します。




『アイヌ クラフツ  伝統と革新 ―阿寒湖から―』 

期間 : フェニカ スタジオ 2019年10月12日(土) ~ 10月20日(日) 11:00〜20:00 (会期中無休)

     Bギャラリー 2019年10月12日(土) ~ 10月27日(日) 11:00〜20:00 (会期中無休)

場所 : フェニカ スタジオ/Bギャラリー 〒160-0022 東京都新宿区新宿3-32-6 ビームス ジャパン 5階

TEL : 03-5368-7300  www.beams.co.jp


Kikuchi Yuri