世界の民藝-日本とイランのガラス-

2020.08.05

原宿にて開催中の『世界の民藝』も早いもので今週末まで。そしていよいよ神戸の開催が迫ってまいりましたね!神戸がお近くの皆さま、もうしばしお待ちくださいませ。

今回は夏の日差しを浴びてきらきらと輝く日本とイランのガラスをご紹介。


イランの手吹きガラス


爽やかな色目、落ちた影が涼しげですね。

手吹きガラスの歴史は古く、古代オリエントから続いています。奈良 正倉院の宝物ペルシア伝来の白瑠璃碗などもその一つで、イランのガラスはペルシアの流れを汲んだ手法で生み出されています。



ボタンやベルト、鎖などの装飾が特徴の一つ。機能性も兼ねていて、ボタンは手にした時の滑り止めであったり、ベルトは蓋をして外れないよう紐を括るためガラスの紐を螺旋状に巻きつけたことの名残だそう。







大らかな作りにより形が不揃いというのもご愛嬌。気に入ったフォルムや手馴染みの良いものをお選びいただければと思います。


因みにこちら左手に置いたピッチャーはメキシコのガラス。イランの技法はヨーロッパ、スペイン、メキシコへと渡っていくのですが、特徴的なボタンの装飾が受け継がれていますね。


秋田県大仙市<星耕硝子>


作り手の伊藤嘉輝さんは倉敷ガラス創始者の小谷真三さんに憧れ、小谷さんの仕事ぶりを手本として日常に溶け込むガラス作りをされています。イランや後に紹介する沖縄も含め多くは分業で製作されますが、小谷さん同様に伊藤さんもお一人で全ての工程を行います。


今にも溶け出しそうな滑らかで有機的な造形が美しいですね。




そしてなんと言ってもこの色に惹かれます。紫緑青の独特な深い色目は、黒いガラスを掛け合わせることで生まれるのだそう。モール(ひねり)が入ったグラスは手前と奥で格子状に重なり、動かすとゆらめく姿はゆっくり眺めていたくなります。


沖縄県那覇市<奥原硝子製造所>

<奥原硝子製造所>からは定番のペリカンピッチャーが届きました。イタリアの水差しを見本に作られたこちらは、ペリカンのくちばしのように伸びた注ぎ口が特徴。


先を窄めることで氷や、サングリアを入れた際には果物が流れ出ないようストッパーとしての役目を果たします。大らかな造形はただ置くだけでも存在感がありますね。


同じ手吹きガラスでも表情は様々。それぞれに個性がありますね。

急な暑さに参ってしまいそうですが、涼しげなガラスを食卓やインテリアに取り入れて、遅くやってきた夏を乗り越えたいものです。




『世界の民藝』
◼︎International Gallery BEAMS 2階(原宿)…原宿地区駐車場サービスについて
会期:7/31(金)-8/9(日)OPEN 12:00-20:00 ※短縮営業 
◼︎BEAMS KOBE(神戸)
会期:8/7(金)-8/16(日)OPEN 11:00-21:00

※お問い合わせは上記の2店舗で承ります!



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