今晩は、銀座の新井です。
気温が下がってきたのと9月に入り新作入荷に拍車がかかり、お買い物の欲求も高まってきている人も多そうですね。私も我慢をしなければと思いながらも日々欲求に駆られて大変です。でも新しい服は気分が高まるので仕事への活力になりますよね。
最近お問い合わせが多いのがオーベルジュに続き、
この春にデビューしたてのこのパンツブランド。所謂、ミリタリードレスパンツ専業ブランドって思い切りの良さが頭に残りやすいですね。
ひと通りインポートパンツファクトリーブランドさん方もグルカパンツやらファティーグパンツやらの企画は出切ったとは思います。そこに来てのドメスティックで、他社ではやってない隙間に丁度ハマる企画を差し込んできたのがこのブランド。日本人に刺さる良いトコついてるなぁ〜って感心させられました。
昨今セレクトショップを中心に隆盛極まるイタリア企画のカーゴパンツってお国柄なのか私が思うにディテールやら加工やら全部盛り。
2プリーツ付けてグルカウエストベルトやらサイドアジャスターやらサイドカーゴポケット付けて、更にはダブルステッチでガンガンウォッシュ加工でアタリを付けて、、ってどんだけ盛るの!ってデザインなんですよね。流石に10年前に見た時は衝撃でしたが、今はもうお腹いっぱいになってきましたね。
今年デビューですが、このブランドはプロモーションもバッチリ。ウチは勿論ですが、他のメインセレクトショップもほぼ網羅して展開。雑誌でもよく目にしますから、結構時間かけて媒体から卸、自社サイトのEC小売まで綿密に準備されたのが想像できます。今はブランド卸と直営店小売、EC等をバランス良く営業出来る会社が圧倒的に良いですからね。

シルエットやデザインパターンも程良く明確。タグも視認しやすいロゴと位置。何より製品加工をしないでパリッとしたやや細番手で高密度のコットン生地がすごく上品。他さんが加工生地だらけなので余計この上品な生地のハリコシ、光沢が引き立ちます。売り場でこの差は大きいですよね。やたらこのブランドだけ違う見栄えで目立つんです。お客様もみんな必ず触るんです。
90年代の古着ブーム、私が当時中学生の頃毎日遊んでた宇都宮のオリオン通り、ユニオン通りには古着屋が何十軒も有ったんです。そしてどこでも41カーキチノのパリッとしたデッドストックが必ず並んでましたね。今考えるとタイムスリップして大人買いしたいっす。そんな世代も関係あるのか、このハリのあるギャバコットン生地は大人世代には琴線に触れます。
最近のトレンドのシンプルかつ上質な生地主体のアイテムが多いセレクトショップの構成を考えてもこの高密度生地の方が相性や汎用性が高いのでこれまた頭ひとつ出ますよね。
更には国内生産で貿易費やら関税やらがかかっていないのでインポートパンツより10000円位プライスが低いのがまた嬉しい。最近のパンツは3〜4万越えてて高すぎですからね。
敵の戦術や技術等を綿密に研究して、隙間を見つけてカウンター攻撃。ジャイアントキリングの鉄則であり最大の魅力です。
そしてこの随所の全く手抜きが見られない縫製技術。
ポケット脇サイドシームカンヌキ留めもパンクしがちなベルトループステッチも、ヒップポケット口の両玉縁も相当綺麗。腰ウエスマンの境目の落としミシンは全く視認出来ないほど。尻ぐりの十字縫製も下手なパンツ屋さんの縫製とは比にならないレベルです。ボタンホールも後メスで穴を開けてますが、相当綺麗に処理してますね。
この全く手を抜かずドレスパンツと同じかそれ以上の縫製力なんですから、そりゃあミリタリーパンツなのに一角抜けて上品な雰囲気が出て目を引く筈です。
インポートファクトリーブランドに全く引けを取らず、むしろ同じ土俵よりかはしっかり市場の抜け道を見つけて自分のブランドの強みを磨き上げる。正直、大人ミリタリーパンツってジャンルで見れば今季はこのブランドが俄然買いではないかと。
国内生産でこれだけの企画が出てきてくれるのはなんだがすごく嬉しくなっちゃいましたね。このブランドさん自営の公式オンラインショップでは同型のパンツが軒並み完売してるのも頷けます。
なんならウチの店のカジュアルコーナーは、オーベルジュにオールデンとパラブーツの靴、そしてこのタンジェントのパンツラインナップがあれば充分かも。って位です。既に動き出しが早くサイズが欠けてきたのでお早めに。生地的にすぐ着れますしね。
表題はロック史上でも数少ない英国王室からナイトの称号を授与されたE叔父様の若かりし70年代初めの傑作曲。本当に偉大なアーティストになられましたね。ピンボールの魔術師がまさかのナイトになるなんて。
この曲は富と名声の出世街道に別れを告げ、自分らしい音楽への追求を宣言する至極のバラード。
とは言えこの曲の収録されたアルバムが絶賛され最高傑作となり、今や押しも押されもせぬ大スターになっちゃってますがね。
誰でもある筈です、成功にかまけて浮かれてしまう状況って。でもその時にどうするかって凄く考えますよね。私は10年に1回は人生の岐路に立たされて自分の道を見つめ直す為にこの曲を胸に刻んでます。
このパンツブランドもメジャー志向にブレずに、しっかりと他に足を付けてミリタリーパンツの道を追求していって欲しいなぁと。
私はおじいちゃんになってもこのパンツは履きたいし、そんな歳でも似合うと思いますね、このブランドのパンツは。そして年齢関係なくトレンドも関係なく普遍性を感じるパンツブランドって良いですよね。
これからも末永く自らの道を追求して続けていって欲しい。そんな想いを込めてこのパンツブランドに勝手ながらこの曲を捧げます。そして今の自分にも。
黄昏のレンガ道よ、さようなら。
それでは銀座でお会いしましょう
新井
定期投稿は投稿時刻のずれ込みが大きいので
水曜日、土曜日夕方頃になりそうです。