表と裏の両側から

SHUN 新井 2021.09.29

ご機嫌いかがでしょうか、銀座店の新井です







日曜にてダブルポイントが終わり、秋冬シーズンのファーストウェーブが過ぎました。お客様はお買い物、スタッフ達はご案内、一旦お疲れ様でございました。新井ブログも一旦ファーストウェーブ後の振り返りのお話で箸休めですかね。


店内も大分秋冬めいてきました。でも先週あれだけてんやわんやだったのに、ご案内をしてお買上げ頂いた商品は店内のひと握り。ジョンスメドレー のニット、予約で一杯のオリジナルギャバコート、ジャブス アルキヴィオのイージーパンツシリーズ、チルコロ1901のジャージージャケット、レザーブルゾンシリーズ、パラブーツ。売上好調週でも実際に活用された商品はそんなもんでした。

残念ながら店内の商品の半分以上はお客様の手には一切触れられる事なく、畳ジワがついたまま微動だにせず。大体がファーストウェーブで当たりのない商品はそのままセールまで動かずかも知れませんね。何なら売り場に出なくて保留してる商品まである始末ですからね。いつもながら流石にこのご時世を考えるとどうなんでしょう。


繁忙期が始まって改めて思ったのは、ご案内全力を尽くしますが殆どのアイテムがお店にサイズが揃ってないので、取り寄せのスケジュールのご案内とか欲しいサイズのある近隣店舗のご紹介ばっかり。お客様には本当にご面倒をお掛けして申し訳ない気持ちばかりです。全く動いていないアイテムの代わりにサイズが揃っていれば良いのにって1日10回は思ってます、実は。

たまには取り寄せのパズルみたいな説明よりもちゃんとサイズが揃って思いっきりコーディネートとか商品の魅力とか全力でご案内がしたーい!って笑


今時スマホをポチれば翌日には欲しいものが届く時代にアナログなご案内してるのにお客様は本当に寛大で再度交通費をかけてお越し頂いてます。お客様には感謝しきりですね。お店に戻って数ヶ月、サイズが揃ってその場で着比べてのご案内を出来た方が少ないと言えるかも知れません。特に余裕のあるその場のお買い物時間を楽しむお客様は直ぐに物がないとダメだし、オーダーとか悠長に待つの好きじゃ無いし、そもそも何回も来店をする程時間が余って無いですからね。

私がオーダー会社時代にお世話になりました同じ銀座の5丁目にあるニューヨーク生まれのショップはあそこだけでウチの銀座店の2桁倍位売ってますからね、多分。広く浅く商品拡げて取り繕ってサイズが揃って無いとか取り寄せ前提の品揃えはしてないですから。流石に高単価品を売るコツを分かっていらっしゃいました。まあ店内にズラッと色々な商品が所狭しと並んでる方が楽しいし選べるバリエーションがある方が購買の確率も上がると思うのは当然だとは思いますが。


実際私も買い物をする時にシーズン始めなのにサイズ取り寄せって言われたらテンションダダ下がりでじゃあいいです〜って他の店行きます笑 似た物は他さんでも大体やってますからね、今の時代。この状況で何回もリスク抱えて移動して人混みの中に買い物しにご来店頂くのは本当に申し訳ない事ですし、そりゃあ避けますよね。

ビジネスマンのお客様にお話を聞くと、5割〜7割はリモートワークでオフィス自体が解約や縮小されてしまってるので今後もこの働き方が継続されるとのお話ばかりですね。となると今後もビジネスやフォーマルでのドレス需要は下がったままで横ばいって感じがします。売上金額が縮小していけば仕入れの商品数や売り場の縮小、スタッフの縮小も当然の原理。適正の商品展開数に適正の奥行き。

まだまだウチは改善して研ぎ澄ましていける余白は山程ありそうです。打ち出しをしてお客様の購買意欲を刺激し、しっかりとその需要に見合った在庫を用意してご満足を頂けるようにする。これがシンプルだけど本当に難しいんですよね、実際の所。だからこそまだまだやれる事は沢山あるんです。そしてそのヒントが少しでもこのブログから発信する事で関わる様々な人達に届けば良いなって。



売り場最前線のスタッフもこのコロナ長期戦にやや疲れが見えてきてます、肉体的によりかは精神的に。

仲間達が疲弊していく姿ほど見ていて辛いものはないですね。なるべく明るく接して少しでも助けになればと思います。私も銀座店に来て本当に助けて頂きましたし。

雨ニモマケズって感じですかね。東に病気の子供あれば行って看病してやり、西に疲れた母あれば行って稲の束を負い.... そういう者に私はなりたい。って気持ちですよ。勿論お客様も含めて関わる全ての人に。

今年は色々な事が大きく変化していく年となってます。気が付けばベテランの名物みたいな諸先輩方が次々と卒業をされてます。組織の変化には表裏一体で悲しい別れもあったりするものかも知れませんね。


表題は60年代後半にアメリカに現れた女性シンガーソングライターの先駆けと言えるJMの初期のフォークソングの傑作。彼女はフォークから始まり、ジャズ、第三世界音楽まで領域を拡げていき、様々な著名ミュージシャンに影響を与える孤高のアーティスト。

洗練されたジャンルレスな音楽性、フェミニンな甘さと強さが共存した無二の歌声、イマジネーション溢れる歌詞。どれもが一級品のミュージシャンの中のミュージシャンと言えるのでは。

この曲は全ての物事や現象には、表と裏、光と影があるという哲学的な表現と結局の所は分からない事だらけと抒情的に綴るフォークソング。


私も思うのは、物事をひとつの面からだけで無く両面から見れるようになると、非常に思慮深く考える事が出来ると思いますが、結局は誰にもそれが正解かは分からないんですよね。誰かにとっての正解は誰かにとっての不正解かも知れないし。

今のコロナ時代においての大きな変化には、同じ様な事が起きてる気がします。

利益の為に商品の仕入れを効率化する事で辛い思いをするサプライヤー様がいるかも知れません。商品展開が減って選べる楽しみが制限され悲しむお客様がいるかも知れません。会社組織が大きく変化する事で居場所を失い去っていく人もいるかも知れません。

でも誰にもまだ正解は分からないですよね、きっと。そしてそんな迷いを心に抱きながらでも良いんだよとこの曲は励ましてくれてる気がするんですよね。そんな気持ちを胸に明日も私は東へ西へ助けを求める人達へ走って行こうと思います。



それでは銀座でお会いしましょう。


新井



定期投稿は水曜土曜の朝予定です。