私の太陽

SHUN 新井 2021.11.05

ご機嫌いかがでしょうか、銀座店の新井です。



投稿が遅れてしまい失礼致しました。まさかの副反応が1週間以上も襲いかかる緊急事態。極度のアレルギー体質なので覚悟はしてましたが、想定以上で先週は出勤もほぼ出来ずで周りの方々にはご迷惑をお掛けしました。


このブログで自分の企画ジャケットの話を熱く語ってしまいましたが、やはり柄が素敵過ぎて購入してしまいました。2色も。

明らかに新柄で分かりやすく新調したのがバレバレでしたので奥様のやや冷たい目線が痛かったです。流石に子供達から見ても父親のジャケットの数が多過ぎだと気付き始めましたね。

BEAMS HEART/MOON ツイードジャケット
カラー:グレー、ブラウン、ネイビー
サイズ:44,46,48,50
価格:¥23,100(税込)
商品番号:41-16-0241-819

我ながらナイスファブリック。

最近の巷で売ってるジャケットではそうそうこんな感じの色柄はやってないですよね。全てムーン社のコレクションの中から別注で起こしてるので少なくても日本国内ではウチだけの筈です。

なんならオーダーでどちらも作りたくなる生地なので、どう思われようと購入しとくべしと。その上今週は9月に開催されたリングヂャケットオーダー会でお願いしたブレザーが仕上がってくるので戦いは依然続きそうですね。


確かに今回のラスト企画のムーン生地は相当良いです。予想以上にふんわり軽く適度な膨らみとハリコシも充分。やっぱり英国の羊達の毛には敵うものは無いですかね。なにより想定以上に生地の上りが軽い。これは思いがけずの誤算です。

生地には大満足なんですが、なんせ万人受けを意識したパターンなので、今見るとどうしても物足りないんですよね。

今の自分のジャケットの気分は断然コチラ。



アメリカ大御所ブランドのおそらく80年後半から90年代の日本ライセンス国内縫製のモノ。ベーシックなヘビーツイードヘリンボーン生地をここ最近では売っていないパターンにのせてるのが最近の私はツボなんですよね。

程良く肩パッドを入れた丸みを残しながらも構築的な肩のシルエット。ちゃんと襟腰にかけての首に沿いながらもややゴージは低く傾斜も強い。でもしっかり幅広のラペル。低め位置の2つボタン仕様で勿論センターベントで更にウエストシェイプ位置も低い。

分かりやすいアメリカンでもないしイタリアンでもブリティッシュでもないと思うのですが、その全部がエッセンスとして入ってもいるし。モード色も感じればクラシック色も感じる折衷感というか。


先のムーンジャケット企画着手自体は丁度1年前位なので、マーケットも踏まえたしっかりと実売をする為のパターンとしては今の物で正解だとは思っていますが、1年経つと自分の考えるジャケットの形としてはこのヘリンボーンツイードの型紙位の感じが断然新鮮だし新しい提案として丁度ハマる感じがしちゃうんですよ。今回のムーンツイード生地もこれくらいの新型パターンで作れたらまた買いたい。
こういった新しくもイタリア的視点以外でドレススタイルを作り上げて提案するのが現在は無くなりつつあるのが非常に悩ましい。

家の洋服ストックダンボールの中から新しい発見があるもんですからやっぱり古着とか昔の服を物色するのはやめられませんね。多分ずっと服のダンボールが減らないと思います、残念ながら。
現在銀座店でも沢山のイタリアブランドや国内縫製オリジナルのテーラードジャケットを展開してますがモデルの型紙自体は同じ系統で統一されているので先程のヘリンボーンジャケットみたいなパターンは勿論やってない。毎回同じ様なイタリアブランドで生地は微妙に変化してますし、その微妙な変化を大切に永く着ていける服をご案内する商売だとも思いますが、、やっぱり皆んながときめく新企画は出てきて欲しいですよね。


2005年前後を境にビームスクロージングではインターナショナルギャラリー ビームスレーベルでオリジナル企画のリングヂャケット製スーツが発売された時が有りました。

サンローラン風デザインモデルでスタッフがこぞって着用してて、しかもよく売れたんですよね。あの時は若輩ながらぶったまげた記憶が有りますし、イタリア全開のクラシコの概念がひっくり返ってドレスクロージングの面白さを別の視点で知れた気がします。特に昨今は同レーベルのドレス企画はシャツだけになってしまったので余計にスタッフからの待望論はよく耳にしますね。






その当時のビジュアルカタログがこれらです。

何とかその当時の資料で残っていたのは2008年のクロージングのカタログだけでした。2005〜2007年が新作モデルが毎年展開されたのですが無念にも資料が残っていませんでした。この2008年は伝説的なモデリストのベルヌッチャ女史に作成を依頼し、女史の名前を冠したこのオリジナルブランドスーツをスタッフがこぞって着てた記憶が有ります。インポートブランドよりもオリジナルを競ってスタッフが買うって中々考えられない。その勢いは本物でした。


残念ながらそのタイミングでリーマンショックというその当時未曾有の不況により、ドレスクロージングも煽りを受けて苦難の時代を迎えてしまうのですが。

2007年から2010年までの、1度ビームスを離れての新ブランドの立ち上げやセレクトショップの運営、オーダー会社でのOEMの武者修行を終えて、2011年に私が銀座店に舞い戻った時にはこれらのモデルは鳴りを潜めて、限りなくベーシックで特徴を控えたフォーマル向けに近いモデルが1型のみとなってしまってました。確かリングヂャケット製のマイスターモデルって名前でしたね。そして現在はとうとうドレススーツはお休みしてしまうという事態。

私の原体験としてはビームスクロージングは、ビームスFのクラシックとトレンドの共存するワールドベーシックなドレスクロージング、ブリッラ ペル イル グストの持つ都会的な大人の艶と遊び心、インターナショナルギャラリー ビームスの先鋭的なスタンスという三つ巴の混沌でもあり柔軟な視点溢れる幅広い商品構成とそれを個々で表現するスタッフがいるというのが最大の魅力に感じていました。

その1つが欠けてしまうだけでどうしてもアンバランスな店に感じてしまうのは私だけでしょうか。あの時が良かったなんて懐古主義には決してなりたく無いのですが、あの2005年の時の様なオリジナル企画の衝撃はもう一度体験したいなと。


イタリア一辺倒で毎度同じブランドを紹介するだけでは無く、様々なドレススタイリングの新ブランドやオリジナル商品開発は止まらないでいて欲しいと切に思いますね。その反面省ける忖度商品なんかはまだまだあると思いますし。このご時世、更に研ぎ澄ましていかなければ未来は限りなく見えてきませんから。毎度ですが個性と情熱溢れるビームスドレススタッフ達ならいくらでも進化していけると感じてます。


表題はイタリアが誇るカンツォーネの大名曲。1994年に開催された三大テノールツアーで3人の厳格も陽気なおじ様達が楽しみながらも競う様に美声で歌い上げる響きは、人生を愉しむべしと心を前に向けてくれる魂の賛美歌。ロックだのジャズだのクラシックだのそんな些細な線引きなんて全て吹っ飛ばして私を感動の渦に一瞬で持っていってくれました。

当時の映像で3人のおじ様が楽しみながら笑顔とユーモア溢れる所作も交え歌い上げるこの曲のハイライトはいつ見ても元気を貰えます。店で仲間達と共有する時間もわたしには同じ様な感覚を覚えて大好きなんですよね。

でもテノール2人じゃ多分のあの雰囲気にはならないんですよね、きっと。3人だからこそ醸し出せるあの雰囲気だと思います。

3つのレーベルが絶妙なバランスで巻き起こすビームスドレスクロージングの魅力。何故か私には三大テノールに同じ感覚を覚えちゃいましたね。


O Sole Mio



それで銀座でお会いしましょう。


新井



定期投稿は当面週1の土曜日の朝に致します。

その分長くなりそうですが。