スタッフ「Shinnosuke Okada」の記事

Pilgrim Surf+Supplyのプレイリスト

皆さん『SoundCloud(サウンドクラウド)』というサービスはご存知でしょうか?


平たくご説明すると、音声をネット上で共有できるというサービスで、

『YouTube』の音楽版と思っていただくとわかりやすいでしょうか。


この『SoundCloud』上にPilgrim Surf+Supplyもアカウントを持っていて、

プレイリストを不定期で公開しています。


オーナーのクリスによるプレイリストは聞きごたえ抜群。

是非皆さんにも楽しんでいただこうと今回ご紹介させていただきます。


知らないアーティストが続々と出てくるプレイリストで新たなアーティストと出会える!ということで、

更新を心待ちにしているコンテンツです。


プレイリストにはそれぞれテーマがあって、季節や気分だけでなく、Pilgrim Surf+Supplyのシーズンテーマに沿ったものまで、

様々なお題でクリスがピックアップしたミュージシャンがまとめられています。


例えば「Wake Up Everybody」というプレイリストでは、R&Bとファンクに注目してまとめられています。

タイトル通り、朝起きてコーヒーを片手に再生すると心地よい一日の始まりを楽しめるような内容。

(ジム・ジャームッシュや某ハイブランドの香水CMで聞き馴染みのある方が多いだろうNina Simon - I put a Spell on Youや、バキバキのベースサウンドがたまらないファンクの伝道師Lyn Collins - Thinkなど )


例えば「High On Sunshine」では太陽をテーマとした楽曲をまとめています。

日差しのいい日に外出して、再生すると気分が盛り上がるような内容になっています。

(私も大好きなNYアートロックの伝説的バンドThe Velevet Underground - Who Loves the Sunや、お店にレコードの置いてあるRamsey Lewis - Sun Goddessなど


Pilgrim Surf+Supplyの洋服を着ながら音楽を流せば、とたんにニューヨークにひとっとびしたような気持ちになって、

相乗効果で洋服も音楽もさらに楽しめます。

サーフィンやキャンプの際のドライブミュージックやBGMにもうってつけ。



『Sound Cloud』無料で楽しめるサービスなので、ぜひプレイリストをチェックしてみてください。

(アプリをインストールして「Pilgrim Surf+Supply」と検索するとアカウントが表示されます!)



Do you know the app called "SoundCloud"?

This app is the same as YouTube. Instead of it is specialized in audio data. Pilgrim Surf+Supply does have an account on this platform.

Playlists on this account are edited with various themes. 

For example, the theme of the list Wake Up Everybody is R&B and funk music. I would like to ply this in the mornig having a cup of coffee.

For another example, High On Sunshine is edited on the theme of the sun. It would be nice listing the list and ramble around under the sunshine.

Find your favorite playlists and play them during surfing or camping!

レコードのジャケット

レコードには必ずジャケットが付いています。

ジャケ買いという言葉が生まれるほどレコードにとってジャケットは重要な要素の一つです。


ジャケットがカッコいいレコードは名盤が多い!というのが持論です。

そんな持論を裏付ける名盤を今回はご紹介します。



まずは一番のお気に入り、Herbie Hancock「Head Hunters」


ど真ん中に配置された謎のアフリカンマスクのようなグラフィックが最高ですね。サイケデリックな色彩と相まって「飾って絵になる一枚」といえる仕上がりです。

よく見ると目はスイッチ、口はメーターになっているんです。自身の祖先のルーツミュージックと、現代的なジャズの融合を試みた作品の内容を反映させたジャケットといえるでしょう。

(ちなみにVictor Moscosoという人によるもので、グレイトフルデッドのギタリスト、Jerry Garciaのアルバムのジャケットも担当していて、そちらもサイケな雰囲気が抜群です。)



続いてはハードハンズ、Ray Barretto「Acid」


Ray Barrettoのレコードはジャケットが抜群なものがたくさんあるのですが、

今回はこちらをご紹介します。

シンプルなデザインなのですが、色とBarrettoの表情が絶妙にマッチしてます。

このジャケットを担当したのはIzzy Sanabriaという人物で、Joe BataanやRalfi PaganなどのFania Recordsの看板アーティストたちのジャケットもデザインしてるようです。

Fania All Starsにはボーカルとしても登場しているようです。まさにFania Recordsのイメージを担った人物といえるでしょう。


3枚目はDavid Bowie 「STATION TO STATION」


こちらはSteve Schapiroという写真家が手掛けた一枚です。

公民権運動の重要な場面を切り取ったフォトグラファーとして有名なようです。

ジャズのアーティストを数多く映していたようで、Bill EvansやCannonball Adderley、Wes Montgomeryなど錚々たるメンツのジャケットを手掛けています。

Bowieが防音室に入るシーンの一枚だと思われるのですが、壁一面の消音材やモノクロで際立つ陰影が近未来的な雰囲気を放っています。

写真とは関係ないのですが、アルバムタイトルの色と配置も秀逸で、額に入れて飾っておきたい仕上がりです。



気になるジャケットはありましたか?


今回ご紹介したものはすべて渋谷のお店で実際に流れているレコードになります。

ぜひお店に立ち寄ってジャケットと曲を楽しんで下さい。


ちなみに最近の購入した私物のお気に入りは13th Floor Elevator「LIVE」です。



The sleeves of records are equally important as the contents of the disk.

Some would have experienced buying records only with the look instead of the music.

I will introduce three records that have artistic sleeves from our rack.


The first great jacket is my favorite album, "Head Hunters" by Herbie Hancock.

The graphic in the center reminds me of African Musk with psychedelic color. 

Victor Moscoso produced the artwork. Moscoso also worked with Jerry Garcia from Grateful Dead.


Next is "Acid" by Ray Barretto. 

Baretto's face and the color of the album are outstanding.

Izzy Sanabria designed this jacket. The designer worked with artists from Fania Records, Joe Bataan, and Ralfi Pagan.


Finally, "Station to Station" by David Bowie is another masterpiece.

Steve Schapiro, the American photographer, known for the picture of significant moment of the Civil Rights movement, took this picture on their sleeve.

He worked with jazz giatns such as Bill Evans, Cannonball Adderley and Wes Montgomery. 

The title design and the picture muchs perfectly. 



Tropicalismo

〈Pilgrim Surf+Supply〉の「2022 Autumn / Winter」シーズンテーマは"TROPICALISMO "です。

シーズンルックの第一弾が公開になったのでぜひチェックしてみてください。


簡単に説明すると60年代後半のブラジル音楽のアーティストたちを中心にした芸術運動のことを指します。


音楽か南米文化に精通しているひとでなければ聞きなじみのない言葉だと思います。

何を隠そう私もまったくなじみのないジャンルでした。

「トロピカリズモってなに?」と頭に疑問符しか浮かびませんでした。


しかし、聞いてみると60年近く前のものながら、新鮮さを感じるユニークな音楽でした。



トロピカリズモ(トロピカリアとも呼ばれる)芸術運動は前述のとおり60年代後半のブラジルで起こりました。

まずは60年代がどんな時代だったかについてから始めましょう。


60年代の音楽界はとあるバンドが席巻していました。

皆さんご存知の「The Beatles」です。

彼らの音楽は世界中に広がり、ブラジルも例に漏れず、大ブームが起きていました。

実は当時のブラジルは軍事政権の支配下にあり、国民の間で不満の募るムードでした。


そんな社会への不満と西洋音楽への熱狂が混ざり合った結果、トロピカリアは生まれます。




長々と背景について語りましたが、やっと本題に入ります。


Gilberto Gil(ジルベルト・ジル)、Caetano Veloso(カエターノ・ヴェローゾ)の2人が運動のきっかけになったアーティストとして有名です。

彼らは西洋のサイケデリックやロック、ソウルの要素をブラジル由来の音楽(例えばボサノヴァ)に加えようとします。(最初は名前のない運動だったんですが、今シーズンのテーマアーティストでもあるHelio Oiticicaの1967年の作品「Tropicalia」が決め手となり、トロピカリアと呼ばれるようになりました。


そしてトロピカリアを広く知らしめる「Tropicalia ou Panis et Circenses」という名盤がリリースされます。

このアルバムによってトロピカリアが定義され、その指針が示されました。

(コンピレーションアルバムで代表的なアーティストばかりが参加しているのでまずはこれを聞くのをおすすめします。)


トロピカリアが音楽性というよりは時代で分類する性格の強いジャンルなので、

一口にこんな音楽という言い方はできませんが、

共通しているのは当時の欧米音楽のもつ実験的な態度と南米音楽の持つポップさが融合しているという点でしょう。

(わたしのお気に入りアーティスト、Os Mutantesのアルバムです。)

70年代を目前にしてムーブメントとしての勢いは失われるのですが、

90年代に入ってアメリカを中心に再燃します。

BeckやTalking Headsのデヴィット・バーンがファンというのは有名な話です。

とくにデヴィット・バーンはブラジル音楽のレーベルを立ち上げるほど熱を入れていました。


関連のレコードはお店にそろっているので今後紹介していこうと思ってます。



では今回はこれくらいで...

夏のおすすめ

今回は夏のファッションに欠かせない「Tシャツ」をご紹介します。


というのも、個人的に非常におすすめの別注が入荷してきたので、

つらつらと気になるポイントを書いていこうと思います。


とりあえずビジュアルの紹介から...




〈CAL O LINE〉との別注ビートニクTシャツ&ジャズTシャツです。

どうですか?

アメリカのカルチャーが大好きという方には写真だけで伝わったのではないでしょうか。


ビートニクプリントから見ていきましょう。

上からギンズバーグ、ケルアック、バロウズ、キャサディ

アメリカ文学の歴々を連想するレタリングがプリントされています。

世界中に大きな影響を与えたビートニク達が思い起こされます。

ビートというのは60年代アメリカを席巻した反抗の文学です。

当時の社会に異議を唱えたのが彼らでした。





ビート文学についてはこちらのブログでもう少し細かくご紹介していますので、

気になる方はぜひ読んでみてください。


私はバロウズが好きです。

作品にしろ、私生活にしろ支離滅裂としていながら、引き込まれてしまう。

月並みな表現ですがカリスマが彼にはあったとおもいます。

夏の主役にばっちりなこちらのTシャツ、私はオレンジを狙っています。




続いてはジャズT。




こちらも見る人が見ればすぐにわかるでしょう。

40-50年代のジャズ(モダンジャズ)全盛の時代を彩ったアーティストたちを連想させるプリントがほどこされています。

チャーリー、マイルス、セロニアス、バディとジャズ好きにはたまらないのではないでしょうか。

ビバップを語る上では外せない巨人たちが浮かんできますね。


セロニアスモンクが好きな私はこちらも当然狙っています。

こちらのTシャツを着ながら"Solo Monk"というお気に入りのアルバムを聴きたいと思います。



ちなみにジャズとビートは深い関係にあります。

モダンジャズはそれ以前のクラシックなジャズから脱するべく生まれました。

革新的であったのは、即興性を備えているという点です。

このモダンジャズの根幹ともいえる即興のスタイルを文学に持ち込んだのがビートジェネレーションです。



と長々語ってきましたが、とにかくおすすめのTシャツですので

この夏の主役にいかがでしょうか。


I am introducing our upcoming product. Collaboration with Japanese brand "CAL O LINE". 

Those who love literature and jazz would know the prints on these tee shirts. Beatnik Tee features beat generation core figures. Four names are printed on the t-shirt, Ginsberg, Kerouac, Burroughs, and Casady. 

I introduced the Beat movement in the previous entry. They won cultic popularity through their disobeying attitude toward authority.

Musician Tee features people's favorite jazz giants. 

Also, four names are printed on the t-shirt, Charlie, Miles, Thelonious, and Buddy. The giants who invented and explored bebop.

Get the best T-shirts and enjoy summer!

Bill Withers

70年代の金字塔、Bill Withersというソウル界のレジェンドシンガーをご存知でしょうか。


ソウルといえば、マーヴィン・ゲイやマイケル・ジャクソン、アレサ・フランクリンの放つ、

艶のある歌声が代名詞のジャンルだと思っていました。


しかしビル・ウィザーズによって私の認識は大きく塗り替えられました。

決して飾り気や華々しさのある歌声ではないでのですが、なんだか聞いてしまいます。


ビル・ウィザーズは33歳でレコードデビューを果たした、割と遅咲きのミュージシャンです。

17歳でアメリカ海軍に入隊し、約10年間仕官したのちに音楽業界を夢見てLAに移住します。

移り住んでからもフルタイムで航空機の内装業で働きながら、デモテープをレコード会社に送るという生活を送っていました。


彼の境遇と純朴な歌声とが相まって、ワーキングクラスのスターとして人気になります。

デビュー曲「Ain't No Sunshine」「Just the Two of Us」などは有名なので、聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。


現代のミュージシャンたちからもカヴァーされていることからも、彼の影響力の高さを感じさせれられます。



Bill Withersといえば一緒によく語られるのが、70年代に起こったニューソウルムーブメントです。

簡単にまとめると、これまでのソウルミュージックにジャズやゴスペル、ロックの要素をミックスする楽曲をアーティストたちが作り始めたことを指します。

以前70年代のジャズといえばフュージョンだ!というブログを書きました。

70年代はジャンルの壁を越えて音楽が成熟する時代と言えるでしょう。

このムーブメントを代表するアーティストといえばスティービー・ワンダーやカーティス・メイフィールドらが挙げられます。


これまでのソウルは土臭い雰囲気をまとった音楽でしたが、この新たなソウルは現代ポップスの礎となったものの一つなので、

我々になじみ深く、初めて聞くという方にも聞きやすいと思います。



お店にレコードがあるのですが、スタッフ人気が非常に高く、よく再生されています。

お店に足を運んで、店頭で聴いてみてください。


Bill Withers is one of the symbolic characters in the soul movement that bloomed in the '70s. He has a unique voice, modest and beautiful at the same time. None of the soul singers had such a voice. Bill Withers represent progressive soul music. Before the '70s, soul music was earthy feelings. The musicians after the MOTOWN, such as Marvin Gaye,Curtis Mayfield, and Bill Withers invented the progressive approach. They fuesd the soul and various music genres. Same phenomenon occured in the jazz field, which is called fusion. This way the '70s was innovative era of music.

アメリカ文学の異端児たち、ビートジェネレーション

皆さんはビートジェネレーションという言葉をご存知でしょうか?

1950年代のアメリカの文壇で異彩を放った作家たちと彼らの活動のことを指します。



50年代のアメリカといえば、第二次世界大戦が終わり、生活に余裕が生まれ始めます。

消費社会の土台が築かれ、物質的に豊かな社会が発展していきます。

マイホームや車を持ち、夫は仕事へ向かい、妻は家事をするというアメリカ映画でよく目にする典型的な生活像を

豊かな生活の裏には特定の人種やセクシュアリティへの差別など、問題を孕んだ実情がありました。



物質的に豊かになっていく一方で、精神的には疲弊していく構造に対してのカウンターとしてビートカルチャーは生まれました。

既存の社会に反抗する彼らは、”普通”とされる価値を否定するという点に焦点を当てた活動を行いました。

ボヘミアニズム、快楽主義、個人主義に関連付けられる彼らは素行は不良ですが、アメリカ社会に波紋を生み、後の文化や思想に大きく影響を与えたことは確かです。

(60年代に大流行したヒッピーカルチャーはビートカルチャーが大衆化し、派生したことで生まれたと言われています。)



現代の社会問題や風潮に置き換えても彼らの作品は私たちに疑問を投げかけてきます。

特に多様なセクシュアリティを社会がどのように受け止めるかという話題に関しては、現代にも通ずる問題意識だと思います。



代表的な作品ですと、ジャック・ケルアック「路上」、アレン・ギンズバーグ「吠える」、ウィリアム・バロウズ「裸のランチ」あたりが挙げられるでしょう。

「路上」や「裸のランチ」は映画化されているので、ぜひチェックしてみてください。(裸のランチは小説も映画もかなり奇怪な内容なので、お気をつけて)


ちなみに〈South2 West8〉と〈Pilgrim Surf+Supply〉がコラボレーションしてリリースするカプセルコレクションにはビートジェネレーションへのリスペクトを感じるアイテムもあります。


店頭またはオンラインショップで見てみて下さい。

(私はブラックを購入しようと思ってます。)



Beat Generation is one of the most influential writers in American history. 

Beat Movement originated counter-movement towards the 1950's American society. 

After WW2, people became materially rich. 

While there was still poverty and discrimination lies in the community. 

Beat Generation through the question towards this reality. 

Jack Kerouac, William Burroughs, and Allen Ginsberg are the creators who pulled the movements. 

Their writings are linked to the social issues of today. 

Os Mutantes

Pilgrim Surf+Supplyでは店内のBGMは全てレコードで、

オーナーのクリスがセレクトしたレコードのコレクションがあるというお話は以前しました。


そのコレクションの中にスタッフの私物レコード混ざっています。

スタッフの私物なので、持ち主の趣味・趣向を色濃く反映しています。

わたしもレコードを最近集め始め、お店に置いています。


そんな中でも最近のお気に入りを今回はご紹介します。

Os Mutantesというブラジルのバンドの「TEATRO DE ARENA DE RIBEIRAO PRETO AUGUST 8, 1978」というアルバムです。




まずはミュージシャンについてお話します。

彼らは60年代後半から70年代後半にかけて活躍したトロピカリアバンドです。

Os Mutantesはトロピカリアという音楽ジャンルの中で最も重要といわれるほど当時存在感を放っていました。

(トロピカリアは簡潔にまとめると、ブラジルでロックンロールに影響された若者が始めた音楽ジャンルのことを指します。ボサノバとロックが融合したようなサウンドが特徴的です。)



Os Mutantesの作品は、ブラジル音楽の延長にありながら、ロックの空気を色濃く映し出しています。

サイケデリックロックが描く極彩色の風景と、ブラジルに流れる南国の空気がマッチした類を見ないサウンドが魅力的です。

彼らの活躍していた時代から約60年経った今でも新鮮に感じます。


ぜひお店で聞いてみて下さい。




All music played in our store is vinyl records. Some of our shop staffs bring their collection. I am one of the staff. I am going to introduce my record collection. 

Os Mutantes is my current favorite. Often the Tropicalia movement is associated with them. Their unique sound reminds me of the psychedelic rich color palette and Brazilian tropical woods.

Os Mutantes unites traditional Brazilian music and rock and roll music. Their works are all innovative and fresh even though those were released about 60 years ago.


Stereolab

1990年代はロックがさらに多様な表現を伴った音楽として成長した時代と言えるでしょう。

そんな時代のムードを作り上げたのが、一般的にはポストロックと呼ばれているジャンルに属するミュージシャンたちです。

ポストロックという名前自体が時代を指し示しているだけで、音楽性やカルチャーに触れていないことからもわかるのですが、

非常に不安定な分類で、これ!という定義は未だ存在していません。

そんな90年代の混沌とした音楽業界を彩った、ポストロックの代表・先駆者と言われるStereolabというバンドを今回はご紹介します。


Stereolabは1990年のロンドンで結成されました。

クラウトロックの最大の特徴でもあるフレーズの反復を継承しながら、

ギターポップにシンセを加えた浮遊感のあるサウンドを盛り込んだ楽曲が彼らの作品の根幹となっています。


非常に実験的な作品を数多く残しており、アルバムによって毛色が変わるのですが、

今回はお店に置いてある『Dots and Loops』(1997)に注目してみましょう。

こちらの作品は先ほど挙げた彼らのキャリアを通しての特徴に加えて、ボサノヴァ的要素が加わっています。


私のお気に入りは2曲目の「Miss Modular」です。

爽やかでポップな雰囲気なのですが、遠いところで歪んだギターのノイズとも言えるような演奏が鳴っているという不思議でユニークな作品です。

単なるボサノヴァやフレンチ・ポップの複製ではなく、それまでの音楽を踏襲しつつ新たなスタイルへと昇華させています。

目隠しで音源を聞いて誰の作品かわかる、オリジナリティーという点においてStereolabはずば抜けていると思います。



Stereolab is one of the most experimental musicians from the United Kingdom. It was 1990, Tim Gane and Lætitia Sadier formed Stereolab.

They are often categorized as avant-pop or post-rock.

The music of Stereolab can be described as french-pop with a bit of noise.

The unique style, a combination of krautrock and pop music highly evaluated.

Their significant feature is repeating certain phrases and hypnotic french vocals. 

My favorite album is Dots and Loops(1997).

The second song recorded in this album, Miss Modular gives me a strange feeling with the tender vocal and tight drum sound.


ジャズのススメ Willis Jackson - Grease 'n' Gravy

今回はWillis JacksonのGrease 'n' Gravyをご紹介します。


まずは、Willis Jacksonがどんなアーティストなのかというところから始めます。

Willis Jacksonはアメリカのテナーサックス奏者で主に1950年代後半から60年代にかけて活躍しました。

彼のプレイスタイルは一言でいうとソウルジャズと言えるでしょう。


ソウルジャズの主要人物として挙げられる彼の作品は持ち味の力強いサウンドと、独特なグルーヴ感が最大の魅力でしょう。

ソウルジャズの作品はどれも演奏の中に余白というか、タメというか...とにかく人間臭さを感じます。


ソウルミュージックが生活に根差したものだからこそ演奏を通して当時の雰囲気が映し出されるのだと思います。

古臭いとも言えるそのサウンドがこの作品の真骨頂ではないでしょうか。



かれはハードバップの最高峰であるPrestageに数多くの録音を残しており、

「Grease 'n' Gravy」もPrestageから1963年にリリースされています。


わたしのお気に入りはB面の一曲目「Gra-a-avy」です。

ゆったりとしたリズムに乗ってWillis Jacksonの豪快なサックスが鳴り響く贅沢な曲に仕上がっています。

パワフルなソウルジャズらしい熱のこもったサウンドは気分が盛り上がります。



Willis Jackson is one of the best tenor saxophonists. Willis Jackson is often categorized as a soul-jazz player. 

He left good recordings mainly in the 1960s and 70s.

Between each phrase and note, he creates space.

This space generates a groove and warm human touch.

Willis Jackson released plenty of recordings from Prestage, the hype of the hard bop record labels.

In Pilgrim Surf+Supply Shibuya, one of the best albums from his golden era is collected, Grease 'n' Gravy(1963).


Brigit Riley

Pilgrim Surf+SupplyのSS22のルックが公開されました。


店頭には続々と新作アイテムが入荷してきているので、アイテムのイメージソースとなった、今シーズンのテーマアーティストをご紹介します。



SS22はBriget Rileyがテーマアーティストとしてピックアップされています。

Briget Rileyはイギリスの画家でオプアートと呼ばれる表現を非常に得意としたアーティストです。



彼女を説明する前にまず、オプアートとは何かというお話からスタートしましょう。

オプアートとはオプティカルアートの略称で、その名の通り、視覚(Optical)の仕組みや錯覚を利用した表現の一つです。

幾何学模様を多用し、色彩の調整によって視覚的な違和感をオーディエンスに抱かせるような作品が多いというのもこの様式の特徴の一つです。

(昨年のSSシーズンのテーマアーティストであったAnni Albersのパートナーであり、アーティストのJosef Albersはこのオプアートの代表的な作家の一人です。)

幾何学模様と色彩で表現の拡大を図ったバウハウスの作家たちもオプアートの関連アーティストと言えるでしょう。


ロンドンの美術学校を1955年に卒業した後、彼女はイラストレーターとして広告会社で働きます。

初期の作品は典型的な印象派的な作風で具象絵画を作成していたのですが、ジョルジュ・スーラの影響から、視覚・錯覚への探求を始めます。

オプアートの様式を追求するようになってからはモノクロの作品を製作していたのですが、60年代の終わり頃から色彩を取り入れた作品を多く製作するようになります。


均一な直線や図形からなる柄を一部分だけ歪ませるという表現を彼女は作品の中で多く行います。

突然現れる”歪み”によってある種の不穏さとも言える違和感を私は彼女の作品からは感じ、夢中になってしまいます。

特に色彩を大胆に取り入れた作品群が私はお気に入りです。

スーラの影響を思わせる淡く、優しい色彩と歪みの生み出す違和感のコントラストが新鮮です。

(彼女の作品からインスピレーションを受けたアイテム。独特の色や柄が魅力的です。)


作品集を渋谷と京都のお店にそれぞれ置いているので、ぜひ店頭で見てみてください。



Since the Spring / Summer 2022 collection just arrived at our store, I would like to introduce Bridget Riley, the inspiration artist. 

Bridget Riley is a well-known op artist. 

The style of art that uses optical illusion is called op art. The pieces of op art are often painted in black and white. 

However, Bridget Riley has a rich palette. Georges Seurat is the one who left a giant impact on her works. 

Like Seurat, Riley seizes art as an optical science.

When you stop by, please compare her experiments and ours.

Saw Chair

今回は趣向を変えて、お店のインテリアから椅子を一脚ご紹介します。


渋谷の〈ピルグリム サーフ+サプライ〉のウッドデッキでお客様を迎えているこちらの椅子が今回のブログの主役です。


こちらはデンマークのデザイナー、オーレ・ゲルロフ・クヌードセン(Ole Gjerløv-Knudsen)という方が手掛けた「Saw Chair」というものです。


1958年にデザインされたとされており、その名の通りBucksawというノコギリにインスピレーションを受けて生まれたそうです。

(Bucksawは大きな木を短くカットして木材に加工するために使われる道具で、木製のフレームに刃が付いたデザインが特徴的です。)

「Saw Chair」の木製のフレームに縄でテンションをかけて椅子全体の形を保つという構造が非常にBucksawの構造と似ています。

簡単にパーツそれぞれに分解することができ、ネジや釘を使っていないので再度組み立てることも容易という合理的で実践的なデザインが非常に美しいですね。



こちらと同じシリーズでコットもあります。

デザイナーがキャンプに行った際に風邪をひいてしまった息子が冷たい地面で寝ないでいいように近くにあった木の枝とロープを素材に

簡易的なベッドを作ったという体験をもとにして作ったものと言われています。


簡単な構造なので分解も容易で、非常にコンパクトなサイズになります。

持ち運びも行えるように付属のバッグが付いております。



極限まで絞り落したその機構は芸術と言える完成度で、木製の丸いフレームが放つ柔らかな雰囲気はウッドデッキとの相性抜群です。

ウッドデッキでこの椅子に座りながらビールを飲む、素敵な休日が過ごせそうではないですか?

是非お店でその座り心地を試してみてください。


Shibuya shop has a beautiful wood deck.

There are beautiful chairs on our beautiful deck.

Today's topic is the Saw chair designed by Ole Gjerløv-Knudsen, a Danish architect. 

Impressively, this chair is made with no screws. The designer was inspired by a bucksaw and came up with this design in 1958.

In the Saw chair, there are functional beauty and modeling beauty. 

When you stop by the Shibuya shop, feel free to have a seat.

It feels good to have a beer on this beautiful and functional chair.


Post Punk / New Wave

Pilgrim Surf+Supplyのお店にはオーナーのクリスセレクトによるレコードのコレクションがあります。

様々なジャンル・年代のものが集められているのですが、特に70年代の音楽が多いです。


私も最近70年代の音楽にハマっていろいろ聞いているのですが、

今回はこの時代のキーワードと言える「ポストパンク / ニューウェーブ」についてブログを書いていきます。


「ポストパンク」という言葉は”ポスト”と”パンク”という言葉がくっついてできた言葉です。

”ポスト”という言葉は以降という意味をもっています。

つまり「ポストパンク」というのはパンク以降の音楽を指しています。

結構音楽のジャンル分けというのは、分類する人の主観に左右されるので、これが絶対ということではないですが、

個人的にはポストパンクという言葉が指す音楽は、

70年代後半から80年代前半にかけてイギリスを中心にした脱パンクムーブメントによって生まれたものと定義しています。

「ニューウェーブ」もほとんど同義で、70年代末頃から頭角を現し始めた、所謂パンクとは違った音楽性を持ったバンドの総称のことだと思っています。



これらのバンドに唯一共通している点は、パンクスの精神性を携えているという点です。

「Rock Is Dead」と言い放ったSex Pistolsのジョニー・ロットンの言葉に現れているように、商業的になってしまったロックという音楽を否定し、生まれた音楽がパンクです。

そしてそのパンクの解釈をさらに拡大し、様々なスタイルや音楽のエッセンスを混ぜ込んで生まれたのが、ニューウェーブ/ポストパンクです。

パンクはいわゆる反体制の精神性にその根拠があったにも関わらず、大きなブームによって商業化し、固定のスタイルのことを指し示すようになってしまったことで、脱パンクを目指し新たな音楽性の開拓が行われたことで、ニューウェーブが生まれ落ちたのではないかなと思います。



様々な音楽性を持ったバンドがニューウェーブやポストパンクに該当するので、ジャンルとして捉えると難しいです。

なんでもありなので、ジャンルとしてというよりは、時代区分ぐらいに考えるとわかりやすいかもしれません。



高速でR&Bを演奏するモッズバンドThe JamやサイケデリックサウンドをよみがえらせたThe Psychedelic Furs・Echo & The Bunnymen、ファンクとパンクを融合させたガールズバンドESG、アートスクールの学生によって結成された独特な作品が特徴のTalking Headsなどニューウェーブの時代を彩ったアーティストのレコードが多数コレクションされています。


アーティストやアルバム其々のご紹介はまた別の機会にしようと思っているのでお楽しみに...


What do you recall when you heard the word Post-punk or New Wave?

From my perspective, the New Wave is the vaguest and most elusive music genre. Echo & The Bunnymen sound so different from Bauhaus or Siouxsie and the Banshees.

However, it will be much easier to grasp the New Wave if you consider it as an era. 

In this era, musicians fused different music genres. Also, they were eager to depart from the punk sound. Since musicians in the late 70s invented numerous styles, New Wave indicated wide-ranging music styles.





Fania Records

前回はラテンジャズ/サルサの第一人者Ray Barrettoについてご紹介しましたが、

60年代以降のラテン音楽を語る上では外せないレコード会社/レーベルを忘れていました。


ということで今回はFania Recordsについてです。



ラテン音楽が好きというかたでないと、Fania Recordsなんて聞いたことがないと思います。

Fania Recordsは1964年にニューヨークでイタリア系アメリカ人のジェリー・マスッチ(Jerry Masucci)とドミニカ出身のジョニー・パチェーコ(Johnny Pacheco)のコンビによって設立されました。

もともとバンドリーダー・作曲家として音楽活動を行っていたJohnny Pachecoが当時のマネージャーに対してギャラの不満があったことで法律家のJerry Masucciに協力してもらいレコード会社を創業したというのが始まりです。

(Faniaという名前は創設者の一人であるMasucciがハバナで働いていた頃に良く出入りしていた食堂に由来しているそうです。)



Fania Recordsと言えばサルサ、サルサと言えばFania Recordsという程このレーベルが与えた影響は計り知れません。

Johnny Pachecoを始めとして、Willie BoboやRay Barrettoなど錚々たる面子がこのレーベルに参加していました。


70年代のアメリカと言えば、オイルショックやディスコの爆発的なブームが印象的です。

ベトナム戦争の傷も癒えぬまま不況に突入してしまったアメリカでは数多くいたヒスパニック系移民たちの間で団結のムードが高まったのだろうと容易に想像できます。

その団結の1つの発露がサルサという音楽ジャンルとその流行だったのではないでしょうか。


同時に不況や人種の壁が理由でPachecoと同じような状況で不満を抱えるラティーノミュージシャンは少なくなかったと思います。


そんな時代の波を読んだMasucciとPachecoが立ち上げたFania Recordsでした。

その結果として多くの著名なアーティストを輩出し、サルサミュージックを象徴するレコードレーベルにまで成長したのでしょう。


渋谷のお店にはRay BarrettoやWilli Boboを中心としてFania Recordsのレコードコレクションがありますので是非お店で見て、聞いてください。



(ちなみにFania RecordsのドリームチームであるFania All-Starsは実はサザンオールスターズの名前の由来になっていると言われています。)


ではまた来年...


Fania Records is the most famous salsa record label.

This label has two founders, Jerry Masucci and Johnny Pacheco.

Before the establishment of Fania, Pacheco was frustrated by his manager. 

Since Pacheco was unsatisfied with the payment, he established a new record label with Jerry Masucci.

Johnny Pacheco took charge of production. On the other hand, Jerry Masucci took charge of finance and promotion.

Fania Records represent salsa music. 

Salsa music dominated the craze in the 1970s.

Famous salsa musicians belonged to Fania Records, such as Willi Bobo and Ray Barretto.

It is more than welcome, you stop by and see our collections of  Fania Records.

ジャズのススメ Ramsey Lewis - Another Voyage

今回はグラミー賞を3度も獲得した現代ジャズの巨人であるRamsey Lewisのアルバム「Another Voyage」をご紹介します。




先ずはアルバム概要と参加しているミュージシャンのご紹介から、

こちらのアルバムは1969年にCadet RecordsというChess Recordsのジャズを中心に扱うレーベルからリリースされました。

(Chess Recordsと言えばシカゴブルースの父Muddy WatersやEtta James、Chuck Berryらの主要な作品をリリースした名門レーベルとして有名です。)




そして参加メンバーですが、

Piano: Ramsey Lewis

Percussion: Maurice White

Bass: Cleveland Eaton


この3名のミュージシャンが核となって演奏しています。


ファンク好きの方は既に気付いていらっしゃると思いますが、

世界的バンドEarth, Wind & FireのリーダーであるあのMaurice Whiteが参加しています。
Maurice WhiteのタイトなドラムとRamsey Lewisの独特な華のあるピアノは圧巻です。


個人的にはB面の最初の曲「Bold and Black」でのドラムとピアノの掛け合いがお気に入りです。

全体を通してMaurice Whiteのジャズらしくないドラムがよく目立っています。

そしてその目立つドラムを従えて、ジャズのアルバムとして成立させたRamsey Lewisの手腕は圧巻です。




収録されている曲全てが聴き心地の良いものに仕上がっているので気付きにくいですが、

ジャズのアルバムとして挑戦的な演奏を随所で披露している、そんなアルバムだと思います。


このアルバムではRamsey LewisのピアノとMaurice Whiteのドラムが繰り出す息の合った演奏を存分に楽しむことが出来ます。

是非お店で聞いてみてください。


Let me introduce Another Voyage, the studio album by Ramsey Lewis Trio.

This album was released in 1969 from Caded Records.

Ramsey Lewis as the piano, Maurice White as the drum, and Cleaveland Eaton as the bass were a member of this trio.

(Later, Maurice White joined the Earth Wind and Fire, the magnificent  funk and disco band.)


Through this album, the tight drum sound of Maurice White stands out. His drum does not sound like jazz. However, the entire album sounds like jazz. Ramsey Lewis organizes very well with his piano.


You can enjoy splendid piano sounds and funky drum sounds at the same time through this jazz album.

Ray Barretto

今回はラテンとジャズを繋げたパーカッショニスト、Ray Barrettoをご紹介します。


彼の偉大な功績について語る前にRay Barrettoの出自について触れておかなければならないでしょう。


Ray Barrettoは1929年にアメリカのニューヨークで

プエルトリコ移民の両親の間に生まれます。


幼少期にDuke EllingtonやCount Basieを聞いて育った彼は、ジャズクラブに出入りするようになり、

コンガをバンドメンバーとしてプレイするようになります。

1960年頃にはBlue NoteやRiversideといった有名レーベルでハウスミュージシャンとして活動するようになります。

(以前ご紹介したWes Montgomeryのバンドメンバーとしての活動が有名です。)


彼がハウスミュージシャンとして活動していた当時のニューヨークではラテン音楽が大流行します。

代表的なもので言うとJoe Bataanらが生み出したBoogalooですね。


この流行と彼のBlue NoteやRiversideでの経験があったからこそ、

ジャズのようなモダンな音楽とキューバの日差しのもとで生まれた情熱的な音楽を融合させて、

新たな音楽のスタイル(ラテンジャズ/サルサ)を生み出すことができたのではないでしょうか。


Ray Barrettoは"Hard Hands"と呼ばれるほど力強くテンポの速い演奏で有名です。

私は自身のニックネームを冠したアルバム『Hard Hands』の「Abidjan」という曲がお気に入りです。

Ray Barrettoのパーカッション一つでジャズのクールな空気が一気に情熱的なカリブの雰囲気へと様変わりするので

いつ聞いても驚きに満ちている曲です。

それだけエネルギーに満ちた彼の演奏はジャズの新たな可能性を提示する起爆剤としては十分だったと簡単に想像出来ます。



Joe Bataanと同じく、ニューヨークという生活の中で文化の交錯する街でなければ

Ray Barrettoという天才は生まれていなかったかもしれません。

では次回...



Ray Barretto, the percussionist who invented salsa, was born in 1929.

His parents immigrated from Puerto Rico. 

Ray Barretto listened to jazz music, such as Count Basie and Duke Ellington in younger age.


His carrier as a jazz musician starts around the 1960s.

In the 1960s, Ray Barretto was a studio musician for the Riverside and Blue Note.

Latin music became a craze in New York in this era.

Ray Barretto fused this vogue and the jazz.


It was impossible to create a new music genre, Latin jazz/salsa without his carrier as a jazz musician and Puerto Rican blood.


ジャズのススメ Freddie Hubbard - Red Clay

ジャズのレコードを一枚ピックアップしてご紹介する「ジャズのススメ」第3回の今回は、


Freddie HubbardによるRed Clayというアルバムをご紹介します。



以前のブログでもご紹介していますが、Freddie Hubbardは60-70年代のニューヨークで活躍したトランペット奏者です。


私の最も敬愛するジャズアーティスト、Herbie Hancockとも親交が深く、

お互いの作品に参加アーティストとして登場します。


それゆえにFreddie Hubbardの作品にも強く惹かれてしまいます。





今回ご紹介する「Red Clay」はFreddie HubbardのCTIレコードにおける処女作です。

1970年にリリースされた本作は、Joe Henderson/ Herbie Hancock/ Ron Carter/ Lenny Whiteが参加しています。

70年代のCTIレコードにおいて第一線で活躍していたアーティストを集めたドリームチームのようなメンバーで制作されました。

当時イケイケだったCreed Tylorの元でこれだけのメンツを集めて作ったアルバムは当然、名盤として現代でも名高い作品になりました。



Red Clayはどういうアルバムか簡単に評すのであれば、”ソウル・ファンクに影響を受けたバップ”と言ったところでしょう。

アルバムを通してあくまでハードバップの持つ高い即興性と冷静な姿勢は保ちつつ、

ファンクやR&Bのキャッチーで華やかなフレーズが随所にちりばめられています。

一曲目に収録されているタイトル曲が特にFreddie Hubbardのトランペットが冴えわたっていてお気に入りです。



(まさにこの写真のような熱気を放つトランペットを感じる演奏です。)



60年代後半-70年代初頭にジャズは大きな転換を経験します。

ジャズがメインストリームのジャンルではなくなり、ロックやR&Bにその座を追われます。

Miles Davisの「Bitches Brew」「ON THE CORNER」で見せた探求心やフュージョンというジャンルの誕生に代表されるように、貪欲に様々なジャンルの音楽を取り入れたサウンドが誕生します。

まさにその時代を盛り上げたアーティストの最高傑作と言えるのがRed Clayだと思います。

是非皆さんも聞いてみてください。


I am going to introduce Freddie Hubbard, the jazz trumpeter from NYC.

You often see his name on the list of participating musicians while you are listening to the records of Herbie Hancock.

It was also very often that Herbie Hancock participated in Hubbard's recordings.


Since Herbie Hancock is my favorite musician, it is natural to be a big fan of Freddie Hubbard.


The album, Red Clay is Hubbard's first album that was from CTI Records. 

Red Clay was released in 1970, starring Joe Henderson(saxophone), Herbie Hancock(piano), Ron Carter(bass), Lenny White(drums). With these superstars and Creed Taylor, it became a masterpiece.


Red Clay is a soul / funk-influenced jazz album.

Freddie Hubbard and his band possessed improvisation, the feature of modern jazz.

At the same time, he created funk vibes through his playing.


This album represents jazz in the 70s'. 

Jazz artists started to mix jazz and other music genres in the 1970s'. 

Red Clay is one of the most successful fusion albums in jazz history.