先日、「スーツを着ようvol.9」でスーツの足元についてフォーカスした内容のブログを投稿しました。
あれから数日、
有難い事に何名かのお客様より、
どういうスーツスタイルのときにスポーティなシューズを選ぶべきなのか、他にもコーディネートを見せて欲しいという声を頂きました。
まさに洋服屋冥利に尽きます。
こんにちは、
「SNSにおけるスーツスタイル紹介担当」(自称)
イエキです。
前回に引き続き、
"スーツ×スポーティな足元"のお話。
いきましょう!
過去の「スーツを着よう」も是非ご覧下さいませ。
まずは川谷のスーツスタイル。
起毛感のあるフランネルスーツに対しては、キャンディストライプの鮮やかなシャツや、プリント且つ大柄の小紋ネクタイを合わせて全体的にスポーティなスーツスタイルに。ですから、足元もタッセルローファーです。また、こういった大柄プリントタイにはアメリカンなムードが漂います。そういう意味でもアメリカ由来のタッセルローファーと合わないはずがないとも言えるでしょう。
次に大浦のスーツスタイル。
キャンディストライプのボタンダウンシャツに幅広ストライプタイを合わせています。ジャケパンでもそのまま使えそうなくらいスポーティなVゾーンは、キャバルリーツイルのがっしりした生地感のスーツだからこそ合わせています。というわけでこちらも足元はタッセルローファー。
最後にイエキのスーツスタイルです。
クレストタイ×オックスフォードのボタンダウンシャツとむしろジャケパン向きなVゾーン。少しだけ生地感のあるスーツということで合わせてみましたが我ながらかなりきわどいコーディネートかと思います(笑)と、くればこちらも足元はローファー。
3人共タッセルローファーを合わせています。
しかも全員が【CROCKET & JONES】のタッセルローファー。
これは単なる偶然でしょうか?…
______________________________________________
さてここで少し余談なのですが、
3人が履いているこのタッセルローファー、
ローファーの中では比較的スーツに合わせやすいシューズなのです。
では同じローファーでもコインローファーやビットローファー、ベルジャンローファーではなくて、何故タッセルローファーがスーツに合わせやすいのか?
タッセルローファーをスーツと合わせやすい背景には
諸説あります。
その内のひとつが
40年代頃、
あるハリウッドスターが
時のイギリス国王の履いていたタッセル付きの紐靴に憧れを抱き
実際にイギリスで同型のシューズを購入したそう。
それをアメリカに持ち帰り、
「この靴をもっとシンプルな作りにしてくれ!」
と行きつけの2つの靴屋に依頼をしたのです。
そしてその2つの靴屋は偶然にも
全く同じシューズメーカーに、
依頼されたものを作らせました。
結果誕生したのが"タッセルローファー"です。
ちなみに上述している時の国王が
"エドワード8世"。後の"ウィンザー公"です。
そして2つの靴屋がたまたま同じシューズメーカーに作らせたというこのメーカーこそが
"ALDEN"です。
更にその後このタッセルローファーを大衆に広めたのが
"Brooks Brothers "です。
すると全米中のサラリーマンが、本来カジュアルであるはずのタッセルローファーを
当然のようにスーツに合わせ始めたようです。
簡単に着脱できるローファーは
合理的なアメリカ人の考え方にもマッチしたのでしょう。
当時、アメリカでは弁護士ですらもタッセルローファーを履いていたみたいです。
このような背景から、
本来カジュアルであるローファーの中でもタッセルローファーは比較的ドレッシーな印象を持つシューズとしての出自を歩むこととなったのです。
______________________________________________
そういう訳で、ビームスでも定番になっている【CROCKET & JONES】のタッセルローファーをご紹介させて頂きます。

【CROCKET & JONES】の中で最も定番モデルであるキャベンディッシュ3です。
ここで皆様にお伝えしたいのは当ブランドの扱うカーフ(牛革)の特性とこちらの木型=靴の形の2つについてです。
まず前者。当ブランドの扱うカーフは非常にしなやか。ですので馴染みが早く、且つアッパーもかなり伸びます。ただでさえ紐靴よりも踵が抜けやすいローファーなのでサイズ選びは慎重に、ぜひ各スタッフにご相談ください。
次に後者の木型。こちらの木型はビームスの別注です。別注ポイントとしてはウエスト(土踏まず位置)からヒールカップ(踵部分)を小さくしています。そうすることで土踏まずや踵が固定され靴の中で足が前に行きづらい。→踵が抜けづらいという訳です。そもそも踵が抜けてしまうのは靴の中で足が前に行ってしまうことで踵部分に余りができて起こります。アジア人は比較的足の甲が低い場合が多く、そうなれば甲の部分で足が止まらず前に行きやすいのです。つまり僕達にとってローファーは鬼門。ですからこちらはアジア人向けの木型と言えるでしょう。
それが、今日当店のスタッフが3人共このブランドのタッセルを身につけている理由です。
次にこちらはチェスター。上記のキャベンディッシュ3を木型はそのままにウイングチップにしたモデルです。
まず第一に革靴は装飾が増えるほどカジュアル度を増していきます。という意味で上述したキャベンディッシュ3より更にカジュアル度は高いと言えます。
またウイングチップと言えばアメリカ靴によく見られるディテールです。
『アメリカンテイストなローファーを英国靴メーカーが作ることで、アメリカンなラギット感と英国的な丁寧な物作りが生み出す上品さを共存させることができました。まさにスーツにもジャケパンにもマッチする1足です。』というのは、バイヤー西口の弁。
ちなみに今日の3人のスーツスタイルの中で大浦が履いているのはこのチェスターです。大浦自身も『スーツスタイルだけでなく、カジュアル度の高いジャケパンスタイル(例えばラギットな古着を合わせたスタイルなど)にも合わせたくてこちらにしました。』とのこと。
ツイードのジャケットやコーデュロイパンツなどカントリームードなアイテムとの相性もいいと思います。
今最も沢山の場面で使える靴と言っても過言ではないでしょう。
是非店頭でご覧ください。
______________________________________________
あるハリウッド俳優がエドワード8世のタッセル靴に憧れたことで、生まれたタッセルローファー。
その後アメリカを代表するハリウッドスター達が
イギリス人の威厳のあるスーツスタイルに憧れて、
従来のそれとは違う彼等流のブリティッシュスタイルを表現し始めます。
それが"ブリティッシュアメリカン"というミックススタイル。
70年代に大衆に広がりました。
時代は現代に移りまして、
僕が入社した当初の話。
上司であるスタッフ大内がブレザーに合わせていた"小襟"のボタンダウンシャツが一際輝いて見えました。
そしてすぐに真似をして買いました。
個人的にもコーディネートの幅が広がったと感じた瞬間でした。
スタッフ梶谷がある映画を見て、
登場するキャラが着る1着のコートに
一目惚れをしました。
それをベースにしたコートをビームスで展開できないか打診したのは、先月末。
その企画が通ればまず1番初めに購入に乗り出すのは梶谷自身でしょう。
・・・いつだってそう、誰だってそう。
ファッションを楽しむ際に
何かに憧れを抱くことは、
僕達にとって良き推進力となるはずです。
イエキ
フォローやお気に入りもお願い致します。
---information---
◎ビームスでは試着申し込みを承っております。あくまで購入確定ではなく、店頭で試着してから決めて頂けますので是非ご利用ください。
◎下記画像よりフォロー画面に飛んで頂けます。