トークショーレポート“Artek Stool 60 Leather & Wild Birch”

2024.07.21

Artek Stool 60 Leather & Wild Birchをリリースして早10日。

お陰様で多くがお客様のもとへ渡り、完売となったカラーも増えてきました。誠にありがとうございます。

発売初日に遡りまして、fennica STUDIOではレセプションパーティーとトークショーを行いました。


トークショーは、ビームスクリエイティブディレクター 南雲浩二郎へ<fennica>ディレクター 菊地優里が質問する格好で進行。

菊地からArtek Stool 60 Leather & Wild Birchを製作した経緯をお伝えした上で、ファッションを取り扱ってきたBEAMSでなぜ<Artek>を取り扱うこととなったのか、<fennica>の前身レーベルである<BEAMS Modern Living>時代も知る南雲へ、改めて当時の話を聞きました。その一部をブログでご紹介したいと思います。会場の雰囲気とともにご一読ください。


菊地:当時どういったきっかけで<Artek>とBEAMSが繋がっていったのでしょうか?業界的にインテリアがどういう流れであったのかも教えてください。

南雲:1994年に<BEAMS Modern Living>という家具のセクションができた頃の周囲の流れとしては、イームズはじめミッドセンチュリーのアメリカの家具がリバイバルで流行り始めた頃で、裏原の流れと同調してそういったものが増えた時期だったんですけれども、1990年くらいからそういった傾向があって、個人的にもそうでしたが、<BEAMS Modern Living>を始めたテリー・エリスと北村恵子もその辺の家具に興味があり購入していました。

うちでも家具をそろそろやった方が良いのではという気風があり、巷で人気のあるアメリカのミッドセンチュリーとは別の切り口でということで、北欧に目がいくんですね。ミッドセンチュリーのバイブルみたいなものの中にたまに北欧のものが出てくるので、掘ってみるとデンマークとスウェーデンとフィンランドにすごくアイコニックでクラシックなものがあり、<Artek>はじめブルーノ・マットソン、ハンス・J・ウェグナーの3つを大きな柱に始まりました。代理店が無かったので直輸入でしたね。


南雲:1960年代には一大北欧家具ブームが日本でもあって。銀座松屋さんが先頭切って仕入れていて、当時サラリーマンの月給3倍の価格だったYチェアが一週間で売り切れたらしいですね。その後になって「日本デザインコミッティー」という柳宗理さんや剣持勇さん、岡本太郎さんが絡むコミッティーが組織されて、日本にデザインを広めていきましょうという活動のもと一旦ブームがあったのですが、80年代に下火になって、90年代には柳宗理さんを誰も知らないみたいな時間帯がちょっと続いていたんですよ。

その時に北欧3カ国のものを展開して。最初は全く売れなかったですね。今の何分の1かの値段でも高いと言われて中々「スツール 60」(の魅力)をわかってもらえなかったです。

そこから徐々にですけど、ミッドセンチュリーの家具を扱っている「モダンエイジギャラリー」や「アルテックモダン」との交流からヴィンテージも扱いながら、お客様を紹介し合うような感じで、専門性のある方が買っていかれるようになりましたね。


菊地:家具を買うのもお洒落の一つになっていったんですね。

南雲:そうですね、BEAMSの中でも興味を持つスタッフが現れたことも寄与したと思うんですけど、扱っていることで買い易くなったというのもあって。ちょうど今50代のスタッフが家を買ったりする頃合いだったんですよ。スタッフから教えてくださいと言われるようになって、だんだんと社内的に浸透するきっかけにはなっていたかもしれないです。


菊地:私も入社した際に家具を買うならまずは「スツール 60」をという教えがありました。それほど普遍的なデザインなんだなと。今も大事にしています。

南雲:僕も店頭で販売している時に、一人暮らしを始めて予算が無くても9,800円(当時の価格)なら買えるでしょう?普通に椅子として使う、ゆくゆく豊かになったらラウンジチェアを手に入れてサイドテーブルとして使う、玄関に置いて荷物置きに使っても良いですよと。ライフスタイルが変わってもずっと共にいられるような本当に良いものなので。


南雲:その当時で70年作り続けられているプロダクトが中々ない中で本物じゃないですか。仮に80万のソファが買えるようになっても、それに負けないぐらいのクオリティを持ったものだから、合わせて使える。ずっと長く付き合える「スツール 60」というものをおすすめしていました。


菊地:今南雲さんは「コンランショップ」さんなどVMDのアドバイザーもされていますが、インテリア業界はどんな流れがありますか?注目されているモノや傾向があれば教えてください。

南雲:ファッションと同様で、よりいろんなものをMIXしていくという感じにはなっているんじゃないですかね。ここ5〜6年の傾向からすると、少しラスティックなものとモダンなものを合わせる感じの傾向はあるかな‥10年以上前に初めて行ったLAの「ギャラリー・ハーフ」という、19世紀のイタリアの農家が使っていたような古い家具と北欧のモダン家具、イタリアのジオ・ポンティなどの家具をMIXしたすごくセンスの良い店があって。今見ても格好良いですね。ハイコントラストなものが混ざる‥アフリカのものや東洋のものをMIXしていくような感じは増えつつあるかな。

北欧のものは中国とか東洋に影響を受けたものも多いんですよ。以前取り扱っていた<Svenskt Tenn>とかウェグナーもそうですし、陶器なども中国インスパイアのデザインが結構あるんですよね。

(改めて)合わせとしては、モダンと非モダンなもの、コントラストのあるものをあわせる傾向が増えてきていますね。日本でもペリアンの感じに似たような、もっと素朴なスツールを売っているお店が増えたりはしています。


南雲:アアルトもイタリアに影響されたと言われていますけど、<Artek>創設者の一人、マイレ・グリクセンがモダンアートを広めるサロンとして機能していたマイレア邸(アアルト夫妻による共同作業で作られた)は、日本人の知り合いがいたみたいで、壁に畳のような素材を使っていたり、籐で作った椅子があったり、エキゾチックなものも入っていて。一度行くことができたのですが、玄関を開けるとカルダーのモビールがあって、奥にポール・ヘニングセンがデザインしたピアノやピカソの絵、キッチンにはカイ・フランクのグラスが並んでいたり‥全部本物なんですよ。調べると素晴らしいものが見られると思いますよ。


菊地:Artek Stool 60 Leather & Wild Birchを見ていただきましたが、南雲さんだったらこう合わせるこう使うというお話を聞きたいです。

南雲:「テーブル 90」という高さ55cmのアアルトのコーヒーテーブルがあるんですけど、少し背が高くて使い易いんですよ。それの下に入れます、ネスト的に重ねて。出してサイドテーブルとして使うか、座るという感じで。ソリッドの木のテーブルの下にアクセントとして入れると、見た目的にも機能的にも良いですよね。結構アアルトのものは重ねて使っているものがあるんですよ。

コーヒーテーブルが低いのであれば逆に「スツール 60」を被せて入れます。四角いコーヒーテーブルの角に、(この「スツール 60」は)3本脚でスペースがあるので被せて入れてという使い方が良いのではないかなと。ファンレッグのタイプでは、アアルトが設計したルイ・カレ邸でネスティングするように作られているデザインがあるんですけど、日本ではネストっていう概念はポピュラーじゃないじゃないですか。重ねるっていう感じの使い方はやってみるとよろしいんではないかと。

菊地:ありがとうございます。早速家でやってみたいと思います。


以上、トークショーを一部抜粋してレポートいたしました。既に「スツール 60」をお持ちの方にも、ご購入をご検討されている方にも、当時や今の空気感を感じられたり、レイアウトのご参考になる内容だったのではないでしょうか?


本日でArtek Stool 60 Leather & Wild Birchの特設スペースは終了しますが、引き続き<fennica>のフィルターを通した<Artek>プロダクトのご提案をお楽しみいただけたら幸いです。


イベント開催店舗:
[東京 新宿]BEAMS JAPAN 5階 fennica STUDIO
TEL:03-5368-7304

他販売店舗:
[兵庫 神戸]BEAMS KOBE B1階
TEL:078-335-2720
[オンラインサイト]BEAMS 公式 Online Shop




Mori