無藤です。
ブリッラレーベルでは、毎シーズン、ドレスアイテムからカジュアルアイテムまで、様々なオリジナル商品を企画しています。スーツやジャケットについては、縫製の良さ、生地チョイスの良さ、モダンなモデリング等々を、多くの顧客様から、ご評価いただき、大変うれしく、また光栄に感じております。そして、ビームスではインポートシャツの豊富な品ぞろえに、存在が薄くなってしまっているオリジナルドレスシャツに対しても、細かなこだわりを持って作っています。
今回は、そのオリジナルドレスシャツのこだわりの部分についてお話しさせていただきます。

まずは、襟型。まだまだイタリアでは、カッタウェイワイドが主流ですが、ブリッラレーベルでは、「ENGLISH SPREAD (イングリッシュ・スプレッド)」と呼ぶにふさわしい、ほんの少しだけ襟の長さが短く、襟の開きもセミワイド気味に少しだけ閉じた襟を作りました。この襟を採用したのは、このところのトレンドであるブリティッシュスタイルやアメリカの東海岸のいわゆるアメリカントラッドスタイルを意識したためです。
このようにお話しすると、何となくロンドンの「JERMYN STREET (ジャーミンストリート)」にある、老舗シャツメーカーの襟型をデザインソースにしたという事が、洋服好きの方々でしたらお分かり頂けると思います。

カフスについても、カットオフ・シングルカフスにボタンを2つ付けています。なんともジャーミンストリートの名だたるシャツメーカーの雰囲気を思わせるディテール使いで、英国的な香りを感じていただけると思います。この袖ボタンがカフスに3個付くと、言わずとも知れた1885年創業で、「007」も御用達のシャツメーカーのオリジナルディテールになってしまうので、ブリッラレーベルのオリジナルでは、ジャーミンストリートの香り付けという意味合いから、写真のようなカフスを採用しています。

ジャーミンストリートの老舗シャツメーカーの特徴の一つに、前立てのステッチの入れ方があります。写真のようにボタンを挟むように、前立てが3分割するように、ステッチが縫われており、前立ての両端が浮いているというものです。これは、英国紳士たちが一番輝いていたといわれる19世紀に流行した「フリル シャツ(ベルサイユのばらで、オスカルが着ているようなシャツ)」のフリルの名残だという事です。これも、ジャーミンストリートの香り付けには無くてはならないディテールだと言えます。当然このディテールも採用しています。

ボタンは、薄手の貝ボタン。二重たらい型を使っています。これも、英国のシャツに使われているボタンをいろいろ検証したところ、このような形状が非常に多かったため、この形を採用しました。あらためてみると、薄い貝ボタンは、このシャツのエレガントな雰囲気づくりに一役買っているように思えます。

タブカラーも作りました。襟型は、ビームスFで、一世を風靡した「STEPHENS BROTHERS(スティーブン ブラザーズ)」のドットボタンタブをデザインソースにし、現在のトレンドを加味した襟の長さと、タイをしたときのロール感がきれいに出るように、タブの位置を修正し、うまく、当時のドットボタンタブのディテールをモダンにアップデートしています。

ラインナップはこんな感じです。どれも雰囲気よい仕上がりで出来ました。シャツの素材はすべて、英国の一流シャツ生地サプライヤー「THOMAS MASON(トーマス メイソン)」の高級感あふれる素材を使用しています。こんなにカッコいいディテールのシャツですから、素材も良いものを使わないと生きてこないと考えました。ブリティッシュスタイルにもアメリカントラディショナルにもどちらにもマッチする色柄だと思います。
イタリア製の艶っぽいスーツに、このような端正な表情のシャツを着てサルトリアルックといったコーディネートも、ピッティ・ウオモ展示会で目に付くようになってきました。
是非、ビームス各店で、インポートシャツとなんら遜色のない、素材の良さとディテールの雰囲気を実際にご覧いただきたいと思います。