インディアンジュエリー放浪記 其の一  「放浪の発端」

みなさん、はじめまして。

先にお詫びさせていただきますが、気ままな拙文です。どうか温かい目でお付き合いください。


巷でg’sとCHが若者のシルバーアクセサリー人気を二分していた90年代半ば、ボクは些細なきっかけから、インディアンジュエリー専門店を見て回るようになりました。※略してIJ

なんで人気のビッグ2に興味が湧かなかったのか?ん〜特に理由はなく、自分には全く向いてなかったんでしょうね…強いて挙げると「CHを巡る抗争」が身近で勃発していたりと、バイオレンスとは全く無縁の貧弱青年は、安全で自分好みの何かを探し求めていたような気がします。

近郊のIJ専門店を一通り見て回りました。すると店によって品揃えに特色、雰囲気がそれぞれあり、その違いが部族や作家によるものだ、と理解しかけた頃にはロックオンしていました。

その中でも、独特の意味ありげな絵柄が印象的な「ホピ族」のジュエリーには、いつのまにか心を奪われてしまいました。迷路のデザインに得体の知れない奥深さを感じたり、太陽が顔になっていて「ゆるキャラ」みたいで一目で親近感が湧いたことを今でも覚えています。

ただ財布が…ならせめて本だけでも、と買った二冊を四半世紀経った今でも眺めたりしています。それから十年後には、何の悪戯かビームス プラスで働いており、前述の迷路や太陽を暇を見つけては眺めていました。※仕事しろ

さらに十年後、なんと、あの名工がビームスに来て実演してくれることになりました。「Jason Takala」です。あの当時、本しか買えない若僧の心を鷲掴みにした迷路のリングの作家本人です。

といったドラマチックな展開も手伝い、ボクは今でもIJ青春を謳歌し、卒業の見込みが全く立たないワケです。


迷路(Man in the Maze)のリング各種、右の楕円型は92年制作の最初期に考案したデザイン(作家談)


来日を約束、ホルブルックにある作家の自宅で(16年3月)


興味を持って以来、そこそこ長い月日が経ちましたが、若い頃はIJとの距離がたまに離れたりもしていました。流行や風潮に左右される職業柄、腰を据える覚悟や余裕がまだ足りなかったのかもしれません。30代に入った辺りから徐々に集中するようになり、ここ10年間は没頭していました。良くも悪くも、色々と欲張らず、追いかけず、諦められるようになったんだと思います。巷での評価や価値、人気、噂はさておき、自分が着けるべき、と「縁」を感じたモノが手元に揃い始めました。


「縁」…昨年の夏、こんなコトがありました。渋谷のフェアが終了し、次の開催店舗への荷送りを終え、心にうつりゆくよしなしごとを報告がてら綴っていると、ふと開けた引き出しから憎めないヤツが…発送漏れ発覚。遅れてわざわざ送るのもちょっと…このリング、実は1年前にサンタフェでゴンゾーに(100kg超級)「こういうカワイイのを恰幅のイイ男が着けるのがイイんだよ」と作家からの直接購入をボクが横からアシストしたのと同一デザインなんです。まさか、ここで貧弱中年にも決定的なリターンパスが…Harrison Jim(ナイスガイ)の雰囲気を思い浮かべ良縁を感じ、仲間に招き入れました。さっそく娘に見せると「ハト?可愛いね〜」違います、勇ましいサンダーバードです…でも確かに溢れんばかりの愛嬌。よく観ると流行していた40年代頃のモノや、今の他のサンダーバードと比べて、どことなくユルくて、そこがイイ。

この納得までの安易さ、損ないを「縁」だと勘違いしてしまう陶酔感?こそ、何かに迷ったり、若さゆえ力みがちだったアノ頃にはなかった「脱力の極み」ですね〜


ハト、ではなくサンダーバードのリング、首からアローヘッドを提げてキメているのに迫力が…


可愛いリングの作家と、サンタフェにて(19年8月


いったい何をお伝えしているのか、よく分からなくなってきましたが…強引に締めますと、15日(金)から始まるIJフェアを、力を抜いてゆっくりと愉しんでいただきたいと、その一心です。

気軽なご来訪お待ちしております。


※脱線の続きはBEAMS PLUS TIMES (公式メルマガ) にて 1月13日配信予定


コヴァ ヤジー