ご機嫌いかがでしょう、銀座店の新井です。
JACKET: ORDER
CUT: SAINT JAMES
PANT: IG
SHOES: SIMON FOURNIER
暑くて着る物へのモチベーションもヘタレレベルなのでモノトーンが落ち着きます。幾つになってもおしゃれ迷子になったら白か黒の原点回帰が1番ですね。
あと3週間を切りました、<RING JACKET>秋冬オーダー会まで。
銀座店会期:8/25〜9/3
流石に今回の開催で暫くはお休みになりそうですのでこの機会を逃しちゃダメです。
前回のオーダーで仕上がってきたフォックスライトツイードのフィレンツェモデルジャケットがサイコー過ぎて。

このお客様のオーダーは肩幅だけプラス1センチずつ広げる寸法変更したのですが、これがまた大当たり。ウチのサービスマスターが最高級ナポリサルトブランドのオーダーと間違えちゃう位の面構えに仕上がっちゃってます。
絶対に職人さんが気合い入れていつも以上の雨降らし。もはや滝です。ニューテーラーワード、「滝降らし」です。
絶対に既製品じゃこんな異常レベルの袖付けしないでしょうって程の肩周りの表情見て下さい。
普段は顔出しNGのマスターミウラが絶賛していやらしい手つきで惚れ惚れしちゃってますし。
肩幅広げたのでより角度の付いたアームホールとワイドラペルのバランスが完全にナポリ仕立てを超えたんじゃないかって。
見て下さいよ、この逆三角形のギリシャ彫刻を思わせるマッチョイズムシルエットの色気たるや。ウエストシェイプはいじってませんが視覚的効果でよりウエストのシェイプが引き立つんです。
最上級レベルの生地を使って仕立てるとこれ程までにイイ表情に仕上がってしまう好例。20年以上この仕事してますがこんな感動的な仕上がりを国内縫製工場が成し遂げてしまうとは思いもしませんでした。
ダイナミックなハンドステッチながら繊細緻密な縫製の共存。こんな相反するような要素を共存させるセンスと技術は日本最高峰工場ならでは。南イタリア仕立ての美しい曲線のコテコテサルトだったり、北イタリア仕立ての最高級メゾンの下請けもする緻密な最高クラス機械縫製工場は有りますが、その2つをこれ程上手くアラベスクの様に組み合わせる事が出来るってのはメイドインジャパンの成せる技なのでしょう。
そして体型に合わせて余計な余りを無くして体型を美しく見せながらも無駄なシワを無くしていくテーラードの仕立ては勿論大切ですが、結局は洋服のデザインをどう捉えて着るかも大切だと。
むかーしテーラードオーダーブランドのおじ様がやたらと体型に合わせる事に執着する体型補正シワ取りの鬼みたいな仕立て上がりを目にしましたが、自分的には体型の欠点を誇張させて頭が大きく見えるコケシみたいな仕上がりで目が点でしたし。体型の欠点をスーツの仕立てで補正してシルエットを美しく見せるのもテーラードの真骨頂。
肩パッドを入れてのシルエット補正なんて正に。おまけにワイドストレートパンツで僕の老いた体型は丸々補正ですけど。
歴史的な背景とか工場の特性やブランドオリジナルのハウスモデルの特徴を踏まえた上で、自分に合う仕上がりを想像を働かせてオーダーする事が如何に大切かを痛感した実例でした。あくまでもウチじゃなくて他社の仕事をしてた時の話ですが。
今回このジャケットの肩幅をパターンでいじる事によって、微細ながらもこれだけモデルの表情が変わってしまう事に改めてジャケットパターンの奥深さを実感した訳で。
全体のシルエットのバランスとか生地の相性とか手持ちのアイテムとの合わせを踏まえたサイズ感とか。これは本当にご案内するスタッフとお客様とのセッションによって成し得るものだと思います。それこそがオーダーの醍醐味で、スマホ画面でポチッとネットオーダーじゃあそうはいきませんよ。
20万30万40万という正に四半世紀着る勢いで仕立て上げる日本最高峰のオーダー会。大切に想いを込めて着込んで馴染んでいくテーラードスーツをそれこそ5年後10年後にサルトビームス工房でわたし自身が補正修理を縫い上げるなんて考えたら胸がときめいて仕方がありません。
お客様と一緒に仕立てた注文服を交えて時を経た思い出話とか近況報告とか談笑する事がどんなに素晴らしく楽しい時間になる事か。
今までも買い物に来て頂いていたお客様も、このオーダー会をきっかけにスタッフと親交を深めていけるお客様も。
きっとそれだけこの価値あるオーダー会は、私達スタッフにもお客様にも記憶に残る、そしてこれからの人生を彩っていくきっかけになると僕は信じてます。

rockarchive/JOHN COLTRANE
価格:¥156,200(税込)
商品番号:23-83-0099-950
表題は50年以上前に映画のために作られた曲ながら、数多の歌手やミュージシャンに演奏され続けている名曲、
i’m old fashioned
そしてこのラブソングの曲を更に知名度を高くするきっかけはまさしくコルトレーン師匠の名盤ブルートレイン収録の賜物でしょう。
クソ暑い夏に彼の聴き様によってはむせび泣く豚の様なサックスの響きがなんと暑苦しいんだと思ってたのは若き10代の若輩の自分だったと感慨深いものです。これが四十路を越えたおっさんになった今ではやたらと胸の奥底に響き渡り心を揺さぶられる様になるんですから。
こんなロマンチックでジャジーな曲をいつもより香りの深いお酒で酔いしれる夜には、きっと最高峰の仕立ての一張羅、リングヂャケットのオーダースーツが素晴らしい時間に彩ってくれるんでしょうね。
それでは25日からの銀座店オーダー会にてお逢いしましょう。
新井