君が望むものがいつも叶うとは限らない<Enzo Bonafe>長めのブログ

SHUN 新井 2024.04.12

ご機嫌いかがでしょうか、新井です。






最近は赤い靴履いた女の子ならぬオジサンで働いてます。

赤い靴履いたおじさんを見かけたら私です。


流石に息子の小学校の卒業式で履こうとしたら禁止されてしまいました。

結局まともに見えるドレスシューズでまたお世話になったのは<Enzo Bonafe>





ここ数年はフレンチムードだったりでヒールブーツとかに浸かってますが、実はそれまでの十数年はお世話になってたのは今も展開してる<Enzo Bonafe>。



20年程前に入社したばかりの頃からずっと展開してるウチのドレスシューズの看板の一つと言っても過言ではないブランド。僕も何足お世話になったか分からない位。


ヒヨッコの頃に先輩達にこのブランドの良さとかを質問しまくってましたが、返ってくる答えは曖昧なモノばかり。


器用で何でも作れちゃうのが強みかな。

むしろ代表作がないんだよね。

グットイヤーマッケイでこのセクシーなウエストシェイプが良いんだよ。

ソールの返りの良さは履きやすいよ。


ジョンロブとかグリーンとかクロケットとか英国靴ばかり追いかけてた僕からするとイタリア靴ってその頃だととんでもなくゴツイ作りでゴーレムみたいなブランキーニとかつるんとしてソールもマッケイの薄くシュッとしてるサントーニのイメージ。クセが強いな〜合わせにくいな〜って。

最高峰みたいな位置付けのローマのガットやマルケのラッタンジィなんかを雑誌の特集で読みまくってましたが、イタリア靴なのにやたらと合わせやすいスマートなデザインとかラストやソールのバランスが秀逸な<Enzo Bonafe>は完全にノーマークでした。



20年前だとウチでやってるドレスシューズは<Gerge Cleverley>か<Enzo Bonafe>の2つのブランドでシューズコーナーの棚が埋め尽くされてるって感じで。

結局クラシックローファーをブラック、ブラウン、ブラウンスエードと3種類全部買ってローテーションしてて<Enzo Bonafe>の出番は少なかったけど痺れるデザインの新作が出てくるとそんなに履かないのに買ってしまってたんですよね。

シングルモンクストラップ

ダブルモンクストラップ

サイドレースアップ

2アイレット外羽根メダリオン

タッセルローファー

クォーターブローグ

ブラインドフルブローグ


そして極め付けはショートサイドゴア


衝撃的な程に物欲にかられたこの完璧なスタイル。これほどにスーチングでドレッシーに履けるサイドゴアは見たこと無いって。

スポーティな合わせでもやたらと二枚目の面構えがセクシーなムードにしてくれて。

以前は年1回位に都内店でこのブランドのオーダー会が開催してたのでこのブーツ型で革を変えて計3足オーダーしましたし、既成モデルも革違いで3足揃える始末。

今だに僕の中では世界一美しく、使えるブーツはこれしか無いと。


Enzo Bonafe/CARY GRANTⅡグレインレザーサイドエラスティックブーツ
カラー:ブラック
サイズ:5〜9
価格:¥143,000(税込)
商品番号:21-32-0252-302

最近入荷したユタカーフの新作なんてもう僕の中では神です。断言しちゃいます、神モデルです。

こんなタフなシボカーフは個人オーダーするしか出会いないんだろうなーと思ってましたからやっぱりウチのオーダーセンスは素晴らしいっす。

ブーツだから夏は履けないしなーとか全く関係無し。オールシーズン履けるブーツとゆーかこれはもうローファーを超えるスーパーオールマイティシューズという位置付けでしょう。僕はもう抜け感とかで素足風にローファーを履くとか完全にしなくなったので絶妙な色合わせのソックスにこのショートブーツを年中に合わせて欲しい。

そういえば完全に暴走してボタンブーツもオーダー出来たからオーダー会また復活して欲しいと切に願います。


今なら白黒のモノトーンコンビで作りたいなー


とにかく履きおろしからセクシーなウエストシェイプのマッケイによる返りの良さには足が弱ってきたおじさんにはほんとに助かる。返りがなかなかしてくれない硬いソールで1日歩いてると疲れるのなんのって。


グットイヤーによるコバの絶妙な程よい張り出しも実はいい塩梅の重厚感が出るのでスーチングでもバランスが良いんですよね。

なんだかんだおじさんからするとクラシックなスーツにマッケイとかの薄ーいドレス靴を履くのはどうしても軽い気もするし薄っぺらいバランスだなーと感じちゃうし。まあ着る服とのバランスが1番大切なんですが。

エンツォ翁という創始者であり一本の大きな支柱が失われた事で今後このファクトリーがどうなっていくのかは心配もあり期待もありって感じですが、少なくともこの製法の素晴らしい靴達はどんどん希少価値が高くなり高価になっていくのは当然の流れ。

流石に自分の中では二十万円を靴に投資するのはどうしても抵抗を感じちゃうんです。今の十万円前半代が最後のチャンスだと思うんですよねー

イタリアの宝石と言われるほどに大巨匠のボナフェ氏御大は昨年に逝去されてしまった事は余計に時の流れによって失われていくものがあるのだと痛感する次第です。


やっぱりとりあえずユタカーフケーリーグラント一択で買うしか無いっすねー

と思ったらマイサイズ完売なので追加かオーダー会の再開を切望して祈っておきましょう。








表題はストーンズの最高傑作アルバムのひとつ、69年発表のlet it bleedの最終曲。


you can't always get what you want



rockarchive/THE ROLLING STONES
価格:¥194,700(税込)
商品番号:23-83-0111-950

ラブアンドピースの浮かれたヒッピームーブメントの終焉であったりライバルと言われたビートルズは同じタイミングで崩壊に向かっていく流れの中で、彼らが前アルバムから踏襲してブルースやカントリーなどのルーツミュージックに回帰し更にハードな方向へと混沌を武器に進化してしくドラマチックな流れは最高に痺れます。


この曲の出だしのゴスペルコーラスなんて高校生の僕は度肝を抜かれたのなんのって。確か渋谷がどっかのクラブで説教くさいおじさんの有名なDJさんが若いヤツはとりあえずコレを噛み締めて聴きやがれって暴言を吐きながら大爆音で流したのが最高に感動したのを覚えてます。

聴きようによっては世界の終焉を感じるし、はたまた世界の救いの光の様にも感じるまさに奇跡の一曲。

世界の全てに怒りとか諦めとか期待とか入り混じる多感な高校生の僕には本当にあの夜聴いたこの曲が心が揺さぶられる奇跡に聴こえたんです。


このアルバムを最後にブライアンジョーンズが抜けてしまうってのも余計にドラマチック。やっぱり1969年って年はロックという世界線にとってはめちゃくちゃ重要な分岐点なんですよ。


欲しいものが手に入るとは限らない

思い通りにはいかないものさ

望みがいつも叶うとは限らないのさ

でもやってみれば時には必要なものが見つかるかもしれない



様々な楽器のリズムと女声合唱とが渾然一体となり複雑に絡みながらも高みに向かっていく曲のクライマックスはストーンズならでは。とんでもない量の音を闇鍋にぶっこむかの様にごちゃ混ぜにしながらも抽出される音の渦はむしろ澄みまくった極上のスープ。



欲しいものがいつでも手に入るとは限らない。


至宝のエンツォ翁の靴達もしかりでしょう。








それでは銀座でお会いしましょう。



新井