こんにちは。BEAMS RECORDSスタッフの和田です。
あと数日で2024年が終わってしまうと思うと恐ろしいです。自分は今年が厄年だったので若干嬉しい気持ちもありますが…。
ところで、今年よく聴いたアーティストの一人にSam Wilkesというベーシストがいます。LAを拠点に、Sam GendelやLouis Cole、Teebsなど、様々な気鋭ミュージシャンと活動を共にする彼。今年は、Sam Gendelとのデュオ、ギタリストとドラマーを迎えたトリオ、そのトリオに更に二人のミュージシャンが加わったクインテットでのライブ音源の、3作品をリリースしました。
どれも素晴らしかったのですが、3つの作品に共通するのは即興性ではないかと個人的には思います。楽曲を制作し録音して作品にするというよりは、即興でプレーしたものからセレクトしてアルバムにしているような印象を受けました。クリエイティブな発想を持ちながら高い演奏能力を持つ彼とバンドメンバーならではの方法ですね。
また、彼やSam Gendelは、以前からレコーディングスタジオに限らずツアー先やレストラン、ライブ会場など様々な場所でのセッションを録音し、作品として発表しています。
ジャズやアンビエント、エレクトロニックなど多様な音楽的バックグラウンドを持ちながら、その上でどのジャンルにも縛られない、自由で即興性が高いプレーをするのが彼の最大の持ち味ではないかと思います。Grateful DeadやPhishを音楽のルーツと語っているのも一見意外ではありますが、納得できる部分もあります。
ライブも何度か見たことがありますが、その度に違うメンバーと違う音楽を奏でていて毎回楽しませてくれるので、これからもどんな音楽を作ってくれるのか楽しみなアーティストです。
というわけで、まずは最近入荷したSam Wilkesの作品をご紹介します。

【CASSETTE】Sam Wilkes / iiyo iiyo iiyo〈Wilkes Records〉
¥3,080 (税込)
こちらは2022年来日公演時のライブ音源です。Pat Methenyのトリオのメンバーでもあるキーボード奏者のChris Fishman、Blue Note作品にも参加するジャズドラマーのCraig Weinribのトリオに加え、ギタリストのDylan Day、Thom Gillをバンドメンバーに迎えたクインテットが、静岡県掛川市の〈FESTIVAL de FRUE〉と東京・渋谷の〈WWWX〉で行ったライブが収録されています。
個性豊かな演奏者同士の親密なやり取りによって生まれた、幻想的なアンビエントジャズ。実は自分も当時〈FESTIVAL de FRUE〉の会場でこのライブを観ており、素晴らしかったのを覚えています。
では、次も即興性を感じさせるジャズ作品をご紹介します。
【国内盤CD】Jeff Parker, ETA IVtet / The Way Out of Easy〈rings / International Anthem〉
¥3,300 (税込)
ポストロックバンドTortoiseのメンバーであり、ジャズ・ギタリストであるJeff Parkerを筆頭に、Meshell Ndegeocelloのアルバムのプロデュースも手掛けるサックス奏者のJosh Johnson、LAで数々のミュージシャンからその実力を認められているAnna Butterssなど、精鋭ミュージシャンたちによるセッションから生まれた音源。
本作は、LAの伝説的ライブハウスであった ETAで、たった4本のマイクとカスタム・ミキサーで録音された長尺の演奏を厳選したもの。実験的でありながらリズミカルに心地よく展開されていく感じが素晴らしかったです。近年のUK JAZZなどがお好きな方にもおすすめしたいです。
最後にご紹介するのも、ジャズとはまた違った即興演奏を聴かせてくれるバンドです。
【LP】カフカ鼾 (ジム・オルーク・石橋英子・山本達久) / 嗜眠会〈Newhere Music〉
¥4,400 (税込)
Jim O’Rourke、石橋英子、山本達久による即興バンド 、カフカ鼾による8年ぶりとなるニューアルバム。2023年に下北沢ADRIFTで開催された『レコーディングライブ』での音源をジム・オルークが再編集、ミックス、マスタリングを行ったものになります。
三者の卓越したセンスが混じり合い、ジャンルに括ることの出来ない唯一無二の音楽を奏でていきます。また、即興ならではのスリリングさもありながら、単なるライブ音源にはとどまらない作品としての強度を感じるのは、ジム・オルークの編集によるものなのかもしれません。
2/24には渋谷のWWWで発売記念ライブもあるようなので、気になる方は是非そちらもチェックしてみてください!
ということで、今回は「即興」をテーマに3作品ご紹介させていただきました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
店頭ではCDやレコードのご視聴もできますので、是非お立ち寄りいただけますと幸いです!
本年も大変お世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。
良いお年を!