妻とは共働きの為、休日は一人で家に居る事も多い。
共働きなのだから、もちろん最低限の家事はやる。
掃除、洗濯、洗い物...。
私はこの掃除がどうしても苦手だ。
ほこりが溜まっていれば掃除をしたくなるのは当然だが、見えないほこりまで掃除は出来ない。
見えない敵と戦う体力は私にはない。と思ってしまう。
だから今日も掃除機を傾ける。
これで今日も怒られずに平和に過ごせる...。
フィアット会長のジャンニ・アニェッリ氏。
"スプレッツァトゥーラ"の達人。つまり計算された無造作を得意とする。
ズラされた大剣。襟やボタン。
だらしなく見えないのは氏の人間性があっての事だろうが、普通のものを普通に見せないというのは一朝一夕で完成するものでは無い。
だってネクタイをズラしたら、だらしなく見えるものだから。

そこには究極の洒落があると言っても過言では無い。
お洒落とは「洒落が利いている」という様に、気が利いている様が語源になっている。
如何に自分の着こなしに気を利かす事が出来るのか。
そこにお洒落の真髄があるのだと思う。
デザイン性の強いジャケット、高彩度のパンツ。
これらのアイテムを取り入れる"挑戦"はファッションに於いて必要だ。
ただ、"普通"を着こなしてオリジナリティを生み出す男性に最高の魅力を感じてしまうのは何故なのだろう。

<FRANCO MINUCCI>のセッテピエゲ、<JOHNSTONS>のカシミヤストール、<FRANCO BASSI>のクワトロピエゲや<DORMEUIL>のスーパーブリオ。
これらのアイテムは"スプレッツァトゥーラ"を実践するには最適だ。
そこには最上級の"普通"がある。
私たちはこの"計算された無造作"を実践し、公私共に格好良い男になる事を目指している。
掃除機を傾けるのも"計算された無造作"
家に帰ると「掃除機にゴミが溜まっていない」と怒られる。
私はまだまだ"スプレッツァトゥーラ"の達人への道は遠いようだ。