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Craft to wear -fennicaの春夏のお話-

穏やかな秋からあっという間に冬へと季節が進んだところでありますが、タイトルの通り、今回はその先の春夏のお話。

秋冬の入荷もひと段落するこのころには、春夏に意識が向いてしまうのは私だけではないはず。どうぞお付き合いください。


“Craft to wear”


これが<fennica>の2021年春夏シーズンのテーマ。


イメージは、1920年代にセント・アイヴスに集まったクラフツマンやアーティストのワークウェアとデイリーウェア。製作時には動きやすいワークやミリタリーもの、普段には手染めや手織りのウェアを好んで着ていたといいます。


キーアイテムとして1番に掲げるのが、フィッシャーマンスモック。これは<fennica>のスタンダードとして長らく紹介してきましたが、今回改めてフィーチャーします。


西イングランド コーンウォール州のセント・アイヴスは、温暖で日照時間が長く、創作するに適した光豊かな土地。ここに集ったクラフツマンやアーティストがニューリンの漁師が着ていたスモックを好んで着たことで、ユニフォームのようになっていったんですね。

濱田庄司もバーナード・リーチの開窯を手伝うため渡英した1920年、このニューリンスモックを着ていました。

濱田友緒さんもこの流れを汲んで、<SUGAR CANE × fennica>のスモックを愛用してくださっています。



これまでに製作したスモックがこちら。






ジーンズのスレキ生地を用いた1stのオフホワイト、その後製作したインディゴとラストカラーで染めたタイプです。ここに完売したオリーブもラインアップしていました。


春夏では新たにインディゴデニムとブラウンデニムで製作。(サイズはいつも通りユニセックスでご用意します。)

インディゴデニムは、U.S.NAVYのファティーグパンツに使われるライトオンスのデニムを採用しました。


ブラウンデニムは2020年春夏に<BUZZ RICKSON’S>が復刻した注目素材。1919年にブルーデニムが採用される以前に用いられたデニムなんです。

どちらの生地も良い雰囲気で、これまでのスモックとは違った着こなしを楽しめそう。


合わせるボトムは<BUZZ RICKSON’S × fennica>“Crew trousers”やHazard Pants”がイメージ。クラフツマンやアーティスト達は、作業時にミリタリーアイテムも好んで着ていたということで、こちらも引き続き<fennica>のコーディネートを作る上で外せないアイテムです。


また、“Craft to wear”と掲げる上で、キーとなるのが、アフリカンクラフト。
今回のスタイル写真の撮影にあたり、エリス私物のアサフォの旗やスツールなどをセッティングしたのもこのイメージから。


民藝運動の中心人物らがアフリカンクラフトを蒐集し、自身の創作のインスピレーションにもなっていた背景から、アフリカンクラフトを感じさせるアイテムも進行しています。

そのひとつが<orSlow × fennica>の“Batik Top”。(こちらもユニセックスです。)

<orSlow>オリジナルのテキスタイルをのせた写真のタイプと、<東京かんかん>で見つけたインド綿のバティック(頭にのせたテキスタイル)で計画中です。夏にさらりと着るの楽しみな一着になるかと!


本日12/7(月)より、<fennica>の春夏シーズンのラインアップ写真を店頭でご覧いただけます。今回ご紹介したアイテムはお電話でも入荷連絡を承れますよ。ぜひお問い合わせくださいね。

*写真はサンプルのため、仕様が変わる可能性がございます。予めご了承ください。


エリスと北村からの説明を受けたばかりなので、お伝えしたいことが多くなってしまいましたが、もう少しご紹介したいアイテムがあるんですよね。笑

この続きは次回に持ち越すとします。



Mori

世界の民藝、始まりました

各地より選りすぐりのクラフトを揃えミックスしてご紹介するイベント、『世界の民藝』。7/31(金)原宿よりスタートいたしました!


初日と二日目は<fennica>ディレクターのエリスと北村もイベントに合わせたウェアを纏いお出迎え。

東京も長い梅雨が明け、光の差した店内で土地土地のクラフトが一層輝きを増しています。




お陰様で初日よりイベント目当てのご来店が重なり、皆さま思い思いの品をお求めくださっております。誠にありがとうございます。

まだご来店いただいていない方には目当てのものが旅立ってしまったのでは?と気になるところかと思いますが…

朗報です。急遽アフリカのフォーククラフトを<東京かんかん>さんのご協力により幾つか追加でご用意することができました!


ガーナ ファンティ族のアサフォフラッグ




細かな刺繍、色彩バランスが美しい二枚。


コートジボワール バウレ族とヤウレ族の仮面




ヤウレ族の仮面はどちらも鳥をあしらったユニークな造形です。


コートジボワール バウレ族の腰巻き布


西アフリカ特有の10cm幅に織られた布を繋ぎ一枚に仕立てた腰巻布。ご紹介の前に数が少なくなっておりましたが、再び豊富に揃いました。

このように壁に飾っても存在感があり素敵ですね。幾何学模様や色糸の入り方も様々です。



ご案内をしているとアフリカのクラフトをお目当てにご来店してくださる方が多く感じます。気になるものはございましたでしょうか?

どれも素晴らしいクラフトが揃いましたので、ぜひ見て触れて傍に置いて、その奥深さを感じていただければと思います。




『世界の民藝』
◼︎International Gallery BEAMS 2階(原宿)…原宿地区駐車場サービスについて
会期:7/31(金)-8/9(日)OPEN 12:00-20:00 ※短縮営業 
◼︎BEAMS KOBE(神戸)
会期:8/7(金)-8/16(日)OPEN 11:00-21:00

※お問い合わせは上記の2店舗で承ります!



Mori

世界の民藝-アフリカの布とアクセサリー-

昨日のアフリカの仮面と暮らしの道具に続いて『世界の民藝』に並ぶ品々より、アフリカの布やアクセサリーをご紹介いたします。


まずは<fennica>ディレクター エリスの部屋の様子を切り取った一枚から。


黒いニワトリのアサフォフラッグが印象的なウォールデコル。スツール上、マットのラスタカラーとリンクしていますね。

このアサフォフラッグもイベントに並びます。


ガーナ ファンティ族のアサフォフラッグ


ファンティ族がヨーロッパの軍隊に影響され、アサフォと呼ばれる自警集団が軍団ひとつひとつを判別するためにシンボルとなる旗をつくりだしたのがはじまり。文字による歴史記録がなかった文化で、古くから伝わることわざや格言、民族の共有する図象はファンティ族のアイデンティティを示すシンボルです。

この繋がれた鳥はどちらも時を告げる鳥で、「我々は時間をコントロールし、事が行われる時を決めることができる」ということを示しているのだそう。


このように様々な表現で意味が込められた布は他にも。

ナイジェリア イボ族の絞り藍染め布


パズルのように並べられた柄は、結社のしきたりやことわざなどが、抽象化された図柄や具象的な動物の図の組み合わせで秘密性や世界観を表現しています。

スタッフ菊地の部屋でも壁掛けされていましたね。一つ一つがオーダーメイドで異なるという布の全貌はぜひ店頭で。


ガーナ エヴェ族のエヴェクロス(エウェクロス)


約10cm幅に織られたテープ状の布でいくつもパッチワークを施し大きな一枚の布に仕立てられた美しいクロス。正装の時に纏うこちらは、作られていたのが1970年代頃までという貴重なものです。動植物など具象的な文様が自由に描かれ、モチーフやことわざに因んだ名がつけられます。

エリスはこのエヴェクロスを<天童木工>Bruno Mathssonデザインのイージーチェアにぐるりとカバーリングして楽しんでいました。


多色使いのクロスですが、草木染めの落ち着いた色味がすっと部屋に溶け込んでいますね。


コンゴ クバ族のサブグループ、ショワ族の草ビロード


ラフィアヤシの平織り布にラフィアの糸で絨毯のように一目一目紡いだ布は、晴れ舞台や死装束として纏われます。あらゆる工芸品に幾何学文様が描かれるというクバ族では無限とも言える幾何学文様のバリエーションを持つのだとか。


ここからは初めてご用意するクラフトのご紹介です。

ブルキナファソ グルンシ族の壺


轆轤や窯を使わず、紐状の粘土を積み上げて形成し野焼きで焼成されたという、大らかで力強い壺。水瓶や衣服の収納など用途は様々で、多く持つことが富の証と考えられていたそう。


コンゴ レガ族のヘッドドレス


ブワミと呼ばれる秘密結社内で階級の高い人物が被るというヘッドドレス。ラフィアで編まれた帽子には子安貝や象の尾の毛が装飾されています。


アフリカやインドのビーズアクセサリー


奥からインドのミゾランビーズとベネチアホワイトハーツをあしらったネックレス、エチオピアのコプトクロスのネックレス、インドのナガランドブラスとアンティークガラスビーズのネックレス。夏の装いにぴったりなアクセサリーは他にもいくつか並びますよ。


一目で感覚的に美しいと惹かれるクラフトの数々ですが、異なる国の文化を知ることで手にした時に感じ取れる魅力が増幅します。

力強く美しいアフリカのクラフトを、暮らしの中に自由な発想で取り入れてみるのはいかがでしょうか?




『世界の民藝』
◼︎International Gallery BEAMS 2階(原宿)…原宿地区駐車場サービスについて
会期:7/31(金)-8/9(日)OPEN 12:00-20:00 ※短縮営業 
◼︎BEAMS KOBE(神戸)
会期:8/7(金)-8/16(日)OPEN 11:00-21:00

※お問い合わせは上記の2店舗で承ります!



Mori

世界の民藝-アフリカの仮面と暮らしの道具-

先日のブログで告知をしましたが、いよいよ来週末、原宿から『世界の民藝』をスタートいたします。


国内外のクラフトの良品をミックスして提案している<fennica>。

一つの土地に魅力あるクラフトが数多くあり、今まで地域や国で焦点を絞ったイベントを開催して参りましたが、今回は『世界の民藝』。<fennica>のスタイルをより楽しんでいただけるようなイベントになればと思っています。


<fennica>の世界観を体現しているのが、ディレクター エリスと北村。

ふたりの自邸はテーマやルールは持たず、様々な国や時代、デザインがミックスされています。


Photo by Owen Gale


つい先日、イギリスを代表するインテリア雑誌「HOUSE AND GARDEN」のウェブサイトにロンドンの自邸が掲載されました。

昨年、25年暮らした住まいから引越しする前の撮影で、随分と持ち物を手放したあとというのですから驚きです…!


Photo by Owen Gale


ふたりにとってラボのような、見て触れて買って使うという長年の積み重ねが集約された、記録のような記事だと感じました。

ぜひご覧になってみてくださいね。▷こちら


今回はふたりの部屋にも数多く並ぶアフリカのフォーククラフトのご紹介を。

過去に原宿にて開催したアフリカに焦点を当てたイベントでもご協力いただいた<東京かんかん>さんにて、アフリカをはじめとしたクラフトをお借りしています。


アフリカンフォークアートを象徴するアイテムと言えば仮面ではないでしょうか?今回も様々な部族の仮面が並びます。

コートジボワール バウレ族の木の仮面“プレプレ”


村で葬儀や厄災、余興の際のゴリという仮面ダンスで被られるプレプレ。4種類あるゴリの仮面は家族を構成するのですが、このプレプレは年少男子を表し、太陽を象っていると言われていますユニークな表情に目を奪われますね。


コートジボワール ダン族とヤウレ族の仮面


儀式を受ける少年たちの世話役が付けるという優しく穏やかな女性的容貌のダン族のデアン・グレの仮面と、エンターテイメント的な場で使われるという人間の顔に動物の角などを組み合わせたヤウレ族の仮面。


ガボン クエレ族の仮面


頭から伸びた角がハートのように繋がる造形が特徴的なクエレ族の仮面。森の精霊を表し、成人儀礼や喪明けの儀礼に用いられるのだそう。


エリスと北村の自宅では沖縄や益子といった陶器とともにプレプレマスクが飾られています。


一際目立つ、独特な存在感を放っていますね。


自由で大らかな造形が魅力的な、椅子をはじめとしたアフリカの木工の数々もご用意します。

コートジボワール セヌフォ族の椅子


薄い座面に対して4本の太い脚が特徴的な一木彫りの椅子。


こちらは脚が「く」の字型の独特な形です。座面の低さや不揃いの長さの脚は、炊事や洗濯など地面の上での暮らしが主のアフリカならではの特徴。土の上なので脚も安定するという訳です。


エチオピア コーヒーテーブル


コーヒー発祥の地と言われるエチオピアでは日本の茶道のようにコーヒーでゲストをもてなすコーヒーセレモニーがあります。こちらは一人分のカップを置くためのテーブル。


エリスは座面の大きなエチオピアのスツールに、トレイを乗せてサイドテーブルとしてレイアウトしていました。


壁左手を見るとドゴン族のカナガ仮面とドアロックも見えますね。こちらも並びますよ。


マリ ドゴン族のドアロック


住居や穀物庫の扉に取り付けられるドアロック。神話に登場する動物や祖先を表す人物など様々なモチーフが彫刻されています。


マリ ドゴン族の梯子


穀物庫や屋根に登る際に掛けられる梯子。掛けた時に安定するよう先が二股に別れた木を利用し、足を掛ける段が等間隔に刻まれます。木そのものの形が活かされ、表情も様々です。



機能的でありながらも、彫刻作品のような造形の美しさ、そして生命力を感じるアフリカのプリミティブアート。

時と海を越えて届いた、その一つ一つから溢れるパワーを<fennica>で感じていただければと思います。




『世界の民藝』
◼︎International Gallery BEAMS 2階(原宿)…原宿地区駐車場サービスについて
会期:7/31(金)-8/9(日)OPEN 12:00-20:00 ※短縮営業 
◼︎BEAMS KOBE(神戸)
会期:8/7(金)-8/16(日)OPEN 11:00-21:00

※お問い合わせは上記の2店舗で承ります!



Mori