こんばんは
ビームス 二子玉川の小林です。
弊社ディレクター中村による社内勉強会<中村塾>
前回は襟から肩周りについてご紹介致しました。(part1はコチラ。)

BEAMSのスーツのこだわりポイント紹介の続きです。
⚫︎胸のボリューム

前肩にスペースがあり、胸にボリュームがあります。
BEAMSでは柔らかい芯地を使っているにも関わらず胸のボリュームを出しています。
ウエストのシェイプと胸にボリュームがある事で、痩せている方でもセクシーに見えるジャケットが出来上がります。
⚫︎バルカポケット

船のように曲がっている胸のポケットをバルカポケットと言います。
装飾的な意味合いもありますが、丸みのある胸に対してカーブで添わせる事で美しい胸周りになります。
ボリュームのある所に曲がったものを付けるのは非常に難しいのですがBEAMSのスーツは全てバルカポケットを採用しています。
⚫︎前振りの袖
BEAMSのスーツは体に沿う様に前振りになるように袖付けをされています。

前振りにする事で何も干渉せずにシワのない綺麗な袖になります。
袖が前に付いている事でハンガーにかけた時に袖がシワになって見えます。
この"ハンガー顔"が悪いジャケットが、実は着心地を考えられている良いジャケットなんです。
⚫︎額縁とタタミの違い
インポートメーカーによく見られる袖の額縁仕上げ。生地を割ってミシンで縫い付けているのに対して、BEAMSのスーツは生地を綺麗に畳んで仕上げています。
額縁は余分な生地をカットしていますが、BEAMSのスーツは綺麗に畳まれている為、生地にダメージを与えずお直しが出来ます。
更に余りの生地が沢山あるので、袖の長さを多く出してお直しをする事が出来ます。
この仕様も約40万クラスのテーラードと同じ仕上げ。
見えない所に非常にこだわっています。
⚫︎本切羽
本切羽の意味について。
元々ヨーロッパではジャケットを脱ぐという事は下着と見せるという事でした。
そんな中、袖をまくる必要のある医者の為に考えられたのが本切羽です。

クラシコイタリアブームで既製服でも仕立て感を出す為に本切羽でボタンを外す着こなしが流行り今に至ります。
更にルーツを辿ると正しい切羽の数は2つ開け。
昔のイタリアでは仕立てのジャケットを自分の子供に引き継ぐ習慣があったそうです。
4つ全て開いていると、袖の長さが足りない場合に生地を出せない為、前2つ開けるのが正しい本切羽なんだそうです。
生地を出して、後ろ2つのボタンを前に持ってくるという事ですね。
⚫︎フロントカット
襟から裾にかけて「6」の数字の様に、綺麗に流れるフロントカットを意識してつくっています。
襟はふんわりと立体的にカーブしているのに対して、裾はアイロンで反対側に抑える事でこのような綺麗なフロントカットになります。
反り返らずに綺麗にロールを描く。
BEAMSのスーツは、この相反するものを1つの線の中でしっかり表現出来ています。
⚫︎お台場
ビスポークテーラーで良く見られる仕様。
玉縁に干渉せずに裏地を付け、裏地の交換が簡単に出来る仕様の名残で、BEAMSではディテールとして表現しています。
このお台場のカドの部分は、非常に作りにくいのですが、しっかりとカドを作り再現しています。ここにもBEAMSのスーツのこだわりが感じられます。
⚫︎芯地
BEAMSで使用している芯地は日本国内で生産し、材料はイタリアから輸入しています。
スーツのモデルによって最適なモノをチョイスし、接着ではなくハ刺しという縫製方法で縫い付けています。
芯地の主な材料は、バス芯と呼ばれる馬の尻尾の毛。モンゴル産です。1頭から約75cmしか取れない希少な素材です。
バス芯は人間のヒゲの様に、固く湿度に強い特性があるので、ボリュームが出やすく形を作りやすいのです。

見えない部分ではありますが、芯地に最高級の素材を使用する事で、経年劣化の少ない良いスーツが出来上がります。
⚫︎ボタン
コチラはナットボタンに使用されるタグア椰子の実。
着色がしやすく、生地に合わせてカラーを使い分けて使用しています。
BEAMS Fのスーツで使用されています。
コチラはホーンボタン。水牛の角です。
<Brilla per il gusto>のスーツで使用しています。
ご覧の通り、BEAMSのスーツの付属品は全て天然素材を使用しています。
見えない所や、細かい所にもこだわるのがBEAMSのスーツなんです。
次回はパンツのこだわりについてご説明致します。(part3はコチラ)
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