Saito Hisao from TUBE × BEAMS PLUS

柳井 純一 2020.10.01

夜更かしの皆さん、こんばんは。

木曜日担当のJUNICHI YANAIです。



さて本日のブログは少々長くなります。

BEAMSとして長きに渡り、非常に関係性が深い

斎藤 久夫氏が手掛けるブランド<TUBE>についてブログを書かさせて頂きます。




まずはその前に以前公開された

PHILOSOPHY OF BEAMS PLUS vol.15 American Suit×Saito Hisao from TUBE

こちらを是非一読下さい。



フィロソフィーの冒頭に記載されている紹介文通り、早々にアパレル業界に入り

メーカーから販売、ブランド設立等・・・多くの現場を経験されてきた業界きっての大先輩です。

International Gallery BEAMSの立ち上げにアドバイザーとして就任されていたりと、

多岐にわたって活躍されているお方です。

BEAMS PLUSではというと、毎シーズン別注としてリクエストさせて頂き、

ワーク、ミリタリー、トラディショナルアイテムを、斎藤氏独自の観点でアレンジが楽しめるアイテムを作って頂いております。

永年の経験と洋服に対してのアレンジのセンス、また所持されている莫大な生地の中から作られる素晴らしいパッチワーク・・・

毎回予想もつかないアイテムが作られ、心待ちにしています。






2020FW TUBE×BEAMS PLUS COLLECTION




今年もコレクションの一部が入荷してきました。

アイテムを見ててもやはりデザイナーの斎藤氏から

どういったストーリーでできたり

何をイメージして作られたアイテムなのか・・・

お話が聞きたく、先日事務所へお邪魔させて頂きました。




早速、入荷してきたアイテムをスタイリングと一緒にご紹介させて頂きます。







TUBE × BEAMS PLUS / 別注 6ボタン Wジャケット
カラー:ネイビー
サイズ:S、M、L
価格:¥50,000-+税
商品番号:11-16-1699-063


TUBEと言えばのダブルブレステッドのスポーツコート。

ライトなメルトンウールを使用し、重厚感はありつつも非常に綺麗なボックスシルエットです。





斎藤氏『ダブルのジャケットの原型は30年代~始まり、その時代に合った形やディテールに合わせて変化してきました。

今回のモデルは、昔アメリカで買った60年代のダブルのジャケットがベースです。』






『昔買ったのは物はキルティングのアウターですが、ディテールがジャケット仕様の物なんです。

もちろん今回のモデルはBEAMS PLUSらしくラペルをジャケット仕様にし、ボタンの高さや数もBEAMS PLUSに合ったアイテムに変更してます。』






『また、フロントからみるとボックスシルエットですが、後ろの身頃を少しつまんでシェイプを掛けてます。

アメリカはボックスシルエットというイメージが強いですが、60年代頃から後ろのウエストをつまみ、シェイプがかったシルエットが良く見らていました。

大量生産ながら、作り手はそう言ったシルエットも絶対気にしていたはずなんです。

なのでジャケットは前からはボックスシルエットですが、後ろはウエストに少しだけシェイプをかけ、とにかく身体を包み込む綺麗なシルエットを意識して作りました。』




アメリカ衣料の魅力の一つでもある大量生産によるディテールやシルエット。

ご自身の研究や体験から、当時を振り返って表現してもらいました。

肉厚な生地とボックスシルエットの迫力、ただ袖を通すと決して野暮ったく見えず、色気もしっかり残っています。





TUBE × BEAMS PLUS / 別注 PF TROUSER
カラー:ネイビー
サイズ:S、M、L
価格:¥26,800-+税
商品番号:11-23-1546-063


セットアップスーツとして着用できる様に共生地でトラウザーズも作って頂いています。

ボックス調のダブルのジャケットと相性が良い、シンプルなストレートシルエット。


斎藤氏『トラウザーズはシンプルながら、特にこだわって作っているのがシルエット。

トラウザーズを作る上で、身体に合ったシルエットを表現する事は常に意識しています。』





『足に纏わりつく位の細すぎるラインやずるずるし過ぎるルーズなシルエットはもっての外、

シルエットの細い、太い関係なく、とにかく美しく見える様に作っています。

40年近くパンツを作り続けていますが、ここへの意識は未だに変わらずです』



『ちょっとしたアレンジですが、コインポケットの位置は自分仕様にアレンジしています。

一般的なコインポケットはウェスマンの位置ですが、それだと使いづらいんです。

より出し入れがし易くなる様にやや下の方に付けてます。

普段小銭をそのまま持ち歩く自分には必要なディテールアレンジなんです。』



ベーシックなトラウザーズながらとにかくシルエットは秀逸。

セットアップはもちろんのこと、単品使いとして汎用性の高いネイビートラウザーズです。

思い返すとなかなかネイビーのトラウザーズって無く、カジュアルでも履ける品のあるフランネルトラウザーズはタイミングを逃すとなかなか出会えないかもしれません。

自分でしたらフィッシャーマンセーターや、ミリタリーのオフィサートラウザーズ感覚でカジュアルにも振りたい一本です。




TUBE × BEAMS PLUS / 別注 パッチワーク 2ウェイベスト
カラー:マルチ
サイズ:フリーサイズ
価格:¥12,800-+税
商品番号:11-06-0846-063


コーディネートのアクセントに最適な小物をご紹介。

ジャケットやブルゾンに挟むと、まるでベストの様な見え方が楽しめるパッチワーク2WAYベスト。




斎藤氏『実はこちらはBEAMS PLUS別注で何度か作っていたモデルです。

昔はアーガイルのニットを使用したりし、何シーズンかリリースしていましたね。

今回はよりアップデートして作りました。』




『まずは丈の長さとボタンの数。Vゾーンに挟んだ時、よりベストの様な見え方をする様に作りました。』



『ジャケットに挟んだ時、襟元の収まりを良くする為、後ろ襟に来る部分は低く作っています。』



『パッチワークももちろん一点一点ランダムで配置してます。

派手に見せつつ、皆さん馴染みのあるクラシックなタータンチェックを採用してますのでコーディネートに使いやすいはずです。

裏はリバーシブル風に見える様に、ブラックウォッチ柄を選びました。』








ツイードやコーデュロイのワンポイントに、クラシックなタータンチェックを。

ボタンを締めても

マフラーの様にラフに巻くのも

TUBEらしい遊びがきいた名品です。

スタッフが『昔買ったけば良かった…』という声から、アップデートされて今シーズンリリースされました。




TUBE × BEAMS PLUS / 別注 ストライプ ジップ ポロシャツ
カラー:バーガンディ
サイズ:S、M、L
価格:¥14,800-+税
商品番号:11-13-3947-063


次はクラシックな雰囲気が特徴的なジップポロ。

ランダムストライプに加え、カフやバックのリブ仕様等…気になるディテールが多数見られます。



斎藤氏『これは実はラガーシャツがソースとなってます。

ただ、直球よりも珍しい物を作りたいという事で…この様な一枚ができました。

まずはラガーシャツに見られる横ボーダー。ただ、ボーダーは良く見かけるので、ここはストライプに見せる事にしました。』



『ストライプ柄も生地を切り返したり、タックを入れてラガーシャツのラインを表現してます。

更にランダムに配置する事でややクラシックな雰囲気も出せました』



『後ろ貧乏なので…裾をリブ仕様でアレンジ。これをすると裾の広がりが抑えられ、裾周りがスッキリと収まります。』



『バーガンディボディにネイビーとグリーンのストライプ。この配色もレジメンタルストライプをイメージしてます。

やっぱり他には無いアイテムが作りたいですからね。』



一捻り、いや二捻りきいたラガーシャツ。

ウェイトは軽く、シンプルにネイビーブレザーやスポーツコートに挟むのも良し、タイドアップした上から羽織り、プレップな着こなしも良し。

スタイリングの楽しみ甲斐があります。

自分はやはりスポーツコートに挟むのが気分です。

こんな洒落たラガーシャツ、なかなか出会えないはずです。









TUBE × BEAMS PLUS / 別注 チェック ミリタリーパンツ
カラー:チェック
サイズ:S、M、L
価格:¥28,000-+税
商品番号:11-24-2856-063


最後は私も愛用しているミリタリーチェックパンツ。

保温性が高い起毛がかったタータンチェックに、半面ずつディテールがミックスされた一本です。


斎藤氏『チェックのトラウザーズを作りたいというお話を頂き、でしたら馴染みのあるクラシカルなタータンチェックで作りました。

実はカーゴポケットの発案は溝端さん(MZO/BEAMS PLUSディレクター)からなんです。

タータンチェックのトラウザーズは見た事ある。ただ、タータンチェックのカーゴパンツは見た事ない。

とても面白いと思い、今回ミリタリーディテールミックスのチェックパンツにしました。』 


『一見、派手に見られがちなチェックパンツですが、馴染みあるタータンチェックは抵抗なく取り入れやすい柄ですよね。




ネイビーのメルトントラウザーズ同様にやはりシルエットは秀逸。

スッキリとしたテーパードラインながら、決して運動量を損なわないヒップ周り。

裾にかけてスッキリとしたシルエットラインが出ます。

何よりもクラシカルなタータンチェックに、カーゴポケット&フラップポケットが付く事で

よりカジュアルな見え方が楽しめます。

ミリタリーディテールを覗かせつつ・・・ドレストラウザーズの様なスッキリとしたシルエットライン。

今年はヘビーローテーション確定の一本です。

上品さとカジュアルな軽快さがミックスされたミリタリートラウザーズ。

言うまでもないですが・・・とてもとてもオススメです。






どうでしょうか。

ベーシックなアイテムながら、少しアレンジのきいたアイテムから

TUBEらしい他とは違うアイテム群。




最後に

こだわりでもあるシルエット。

何を重要としているのでしょうか?




『私は極端を好まず、時代に合わせて1㎝目先を常に考えています。 


ボックスシルエットのイメージが強いアメリカのジャケット。ただ、当時の衣料を見ても少しだけシェイプをきかせている物は良く見ました。

パンツに関しても時代を追ってシルエットが変化してきました。

それはジャケットのシルエットが変化していく様に、パンツもそれに合う様に変わってきています。

トラディショナルと言うのも時代に合わせて少しずつ変化しています。

その時代その時代を写すのはディテールよりもシルエットです。

アメリカントラディショナルを提唱しているBEAMS PLUSのアイテムも、その時の時代に合わせて少し変化させながら作らせてもらってます。


物づくりに於いて

極端な変化ではなく、

1㎝先だけ見て変化を与えてます。





TUBE×BEAMS PLUS 2020FW COLLECTION





JUNICHI YANAI