9月が終わる頃に僕を起こして<SARTO BEAMS>長めのブログ

SHUN 新井 2025.08.09

ご機嫌いかがでしょうか、新井です。



流石に暑すぎるのですが店内でだけはジャケット着るようになるべくしてます。相変わらず寝巻きみたいな服にテーラードジャケットを羽織る感じが好きなんですよね。


最近は工房での朝から晩まで終日お直し作業に没頭するせいかドレスアップを流石にする必要がないので何だかお洒落迷子気味。


40代も後半を迎えてどんどん似合わない服が増えてくるんで困ったものです。そのせいか色をワントーンで抑えて着る楽しさも増えた気がするんですよね。


オシャレに目覚めた10代の1990年代からずっと憧れてたブランドをようやく着れる様に僕も少しは大人の階段登りましたし。


あの頃憧れてもメンズモデルは無かったタビさんが、今は男も履くことが出来る時代が来るとは。



Maison Margiela/TABI アンクルブーツ
カラー:ブラック
サイズ:40〜43
価格:¥204,600(税込)
商品番号:23-32-0052-951



Maison Margiela/ウールカラーレスジャケット
カラー:ブラック
サイズ:44〜48
価格:¥247,500(税込)
商品番号:23-16-0963-951

ただどうしても好きなブランド品を2点以上身につけると完全にブランドコスプレ野郎になってしまうので、同じブランドは極力1点だけにする様にはしてるんです。特にこのブーツとジャケットは。


でもやっぱりノーカラージャケットが着たいという願望と最近のリメイクの趣味とあの頃の退廃的なボロへの憧れによってとうとうこんな事始めてみました。

生地とか色味とか抜群なんだけども形が当時の80年代バブリーチックなバランスで出番が無いポロラルフローレンの古着ジャケット。


ラペルをノーカラー仕様にして袖の幅を細くしたり断ち切りにしたり、イカつい肩パッドを外して限りなく軽く自然なバランスに。


個人的には仕上がりの激変具合に大満足。

正直20年以上洋服屋をやってると流石に着たいジャケットがどんどん少なくなってくる。お金がホントに無い二十代のあの頃はアレも欲しくてコレも欲しくて着たい服だらけだったのに。

自分だけのオンリーワンなカスタムで着る服ってやっぱりアガりましたね、オッサンでも。

その辺もやっぱり<Maison Margiela>さんのあの当時衝撃的だった再構築コレクションへの憧れとかオマージュみたいなものなんでしょう。



流石にちゃんとしたサービス化はまだ先になりそうですが古着とか2次流通とかリメイクが当たり前になってきた現代ではこんな提案サービスは自然の流れだと思います。

なんだかんだオンリーワン感ってすごく人の欲求や満足感を満たすんだと思います。電車に乗ったら座ってたみんな見ず知らずの若者が4、5人全員が安いあのブランドの霜降りグレーのスウェットパンツを履いてたのを見た時は笑いを堪えるのに必死でしたし。



春夏物の最後の店頭はなんだか毎年見慣れたオフプライスの札が相変わらず。




そもそもこの数年で予想も出来なかったほどに原料などの高騰により衣料品も値上げラッシュ。値下げした後でようやく今まで買えてたプライスになるんだからコレまで以上に洋服を商売にしていくのも困難な時代になったものです。

ラグジュアリーブランドや百貨店を筆頭にアフターコロナでインバウンド攻勢に浮かれていたフィーバーぶりも昨年から今年で下降の一途。

そしてこの値上げ情勢で国内日本人の需要も下降気味はもう予想通り明白な流れ。

セレクトショップを筆頭とした洋服屋さんを覗くと、何だかみんなデジタル浸りのせいかアパレルスタッフは下を向いてスマホやパソコンに無我夢中だし、どこのお店を見てもなんだか同じ様な商品ばかりが並んでるし、高級ラグジュアリーブランドは相変わらずアジア系の外国人ファミリー団体がいるしで銀座でも新宿でも渋谷でもこの横浜でも光景は変わらないもんなんですよね。


勿論お店の商品構成は重要ですがそれ以上に僕が中学生の頃からショップ巡りの醍醐味はやっぱりそのお店のスタッフのお兄さんお姉さんおじさんとのコミュニケーションだった訳で。

地元の宇都宮では週末の休日はお昼前からショップに入ると顔馴染みのスタッフさんと色々と談笑して何かしらを試着やら買い物やらをするのを何軒も繰り返して気がついたら閉店時間の夜でってローテーションがホントに楽しかった。

十数年前に店頭で販売一本でガシガシ売ってた頃は、毎日馴染み様が入れ替わり立ち替わりで会いに来てくれて大忙しでしたがシンプルに最高に楽しかった。

その当時の頃を思い出してもブランド品の別注とかありきでウチに買い物に来てくれる人よりも、不変的な名作の定番品とかを中心にそのお客様に合わせたトータルスタイリングでご案内する事ばかりだったのを覚えてます。

結局は単品購入に留まる別注ありきの商品だけをご案内するだけの販売ならそれこそ人なんて要らなくなる日はもう来てますしね。

そういえばその当時から馴染み様の方々へのご案内でセール品を販売する事は少なかったのが印象に残ってる。値段関係なくお客様にとって必要な物を正規のお値段で適切に販売する事が圧倒的に多かったし、その方が満足度も圧倒的に高かった事ばかり。


若手の頃から自分が考えてたのはセレクトショップのスタッフは自分という人を売りにするって事。誰からでも買える靴下とかネクタイひとつでも僕から買う事に意味があるってお客様に思ってもらえたら最高なんじゃないかって。

僕だっていつも買うコーヒー1杯でも出来れば大好きなスタッフさんから買いたいですもの。


そして今はこの店で買った服を顔が見える僕が直し上げをする事に意義を感じて御来店してもらえたらって。




買った服を直ぐに直して着れるのって最高に楽しいですよね。自分でもそうだし、特にお客様が喜んでくれた時の充実感は格別です。


高級な生地を贅沢に仕立てて、暑いのにわざわざドレスアップしてジャケットを着るドレスクロージングとか体型に合わせて寸法調整をするお直しなんてこれから正しく時代とは逆行する商売なんでしょう。これからどんどん衰退減少していくのは自明かもしれません。

それでも服を買うなら他のセレクトショップとかよりも断然BEAMSのスタッフから買いたいってお客様が何人もいらっしゃいます。

 

コロナ禍という未曾有の困難の後に困っているお客様やスタッフ達の為に3年前から作り上げてきたビームス社内完結をする内製修理事業のこのSARTO BEAMS。
やりたい事ややるべき事はまだまだ沢山有りますが、今日も明日も僕はお客様の顔をしっかりと目にして、喜んでもらえる事を願いながらパンツの裾を直してます。





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表題は今やロックレジェンドにまで登りつめた我が青春ロックヒーロー、GREENDAYの2004年発表曲。


Wake me up when september ends





TM & © 2025 Green Day. All Right

GOOD ROCK SPEED/GREEN DAY
カラー:ブラック
サイズ:M〜XL
価格:¥7,150(税込)
商品番号:75-08-1293-545

夏がまた来ては過ぎていき

無垢な想いは長くは続かない

9月が終わる頃に僕を起こして


90年半ば頃にイギリスで盛り上がるブリットポップブームの反対側で能天気なくらいにキャッチーにどん詰まりな日々をパンキッシュに吹き飛ばすロックで歌い上げていたビリージョーが10年後にはこんな歌を作るとは。

でもその頃よりも20年経った今のがなんだか歌詞はグッとくる。


父親が9月に亡くなった時の事だとか、はたまた9月に起きた同時テロの事とか解釈は有りましたが、とても辛い時にはしっかりと自分を眠らせて、そして切り替えて季節の変わり目とともにポジティブに前に向かっていく様なこの曲。


またベルを鳴らしてくれないか

春が訪れた時に僕達がそうした様に

9月が終わる頃に僕を起こして



服を以前よりも買って頂く事が難しくなりつつある今。

9月が終わる頃には新しい服たちと共に僕達は目覚めるでしょう。

下を向かずに目の前のお客様との出会いを楽しみに。




それでは横浜でお会いしましょう。



新井



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