ご機嫌いかがでしょうか、新井です。
JACKET: RING JACKET ORDER
SHIRTS: BEAMS HEART
PANTS: BEAMS HEART
SHOES: simon fournier
少し気温も上がってきて新シーズンの立ち上がりのせいなのかまたブレザー熱が再燃中です。
結局ブレザーにホワイトパンツが1番落ち着くんですよね。
この横浜の地に工房を構えてもう丸3ヶ月。ホントあっという間に目まぐるしく。
そしてお客様やスタッフに喜ばれるお直しに没頭した日々でもありました。
完全に時間を忘れてしまう程にお直し縫製に没頭して毎日があっという間です。想定以上に工房業務が楽し過ぎて。
そしてめちゃくちゃ寒いですが春夏シーズンの立ち上がりがやってきました。
衣替えのタイミングなので自宅のクローゼットをひっくり返してみたらとんでもないラスボスブレザーを見つけてしまいました。
多分10数年前に既製品で2シーズンだけ展開していた<Fallan & Harvey>の超絶王道ブリティッシュブレザー。
直線的に美しくそり立つショルダーラインに盛り上がった袖山。高めの位置で美しく曲線を描くウエストシェイプライン。そして何よりしっかりと首に吸い付くように入る被せの上衿。
十数年前まで定期的にビスポークオーダー会が毎シーズン開催されていた<Fallan & Harvey>
今だに重すぎて肩が凝り過ぎてフルで1日着る事が出来ない修行の鎧みたいな至極のブレザー。きっと中の芯地は防弾プレートとか入ってるんでしょう。多分僕の中ではコレを超えるブリティッシュブレザーは無いと思います。もうその内に百万円くらい出さないとこんな英国テーラーのジャケットなんて手に入らない未来が来そうですよね。
いつか天皇陛下に謁見出来る時にはコレを着ていこうと思います。
そんな英国ブレザーと真逆なウチが世界に誇るアメリカンハイブリッドブレザーも実は僕は愛用中。
4ボタンダブルブレストブレザー
カラー:ネイビー
サイズ:S〜XL
価格:¥49,500(税込)
商品番号:38-16-0119-803
この季節感があまり無い軽さと良い意味で簡素化されて雑に着れるタフな生地と最低限な縫製と丁度良い価格とかホントにバランスが最高。なんだかんだで休みの日も1番着たブレザーでしょう。アメリカンに留まらずありとあらゆるカジュアルアイテムに合わせられる超絶万能ブレザー。
コレだけしっかりとしたブランドコンセプトと大衆性と分かりやすさとが共存するセレクトショップオリジナルブランドのブレザーを展開してるのはやっぱりウチが世界的に見てもずば抜けてると思うんですよね。そりゃあ海外でも売れてる筈ですよね。
そしてそして本日も着用中のビームスドレスクロージングか誇るここ数年の最大のヒットアイテムと言えそうなRING JACKET製フィレンツェモデルブレザー。
コレは2021年に開催したオーダー会でお願いした初号機。思い入れがあるせいか自身の大切なイベントとか勝負の日に必ず着てしまうハレノヒブレザーとなりました。とんでもなく軽い着心地なのに抜群の安定感とかドレス感とか只者ではない感を演出してくれる頼れる相棒です。

今年はこんな名作も同じパターンモデルで展開してますがやっぱり欲しくなる逸品。
ハンドラインダブルブレストブレザー
カラー:ネイビー
サイズ:42〜52
価格:¥170,500(税込)
商品番号:21-16-0713-015
もうイタリア製の高級サルトブランドのジャケットを買う必要が無いと確信してしまったRING JACKET製のこのハンドラインのフィレンツェモデルの新作は、生地といい色合いといいシルバーメタルボタンといいまた新鮮に感じてしまう良いとこ突いてるんすよね。
もうこんな痺れる着心地と雰囲気を味合わせてくれるイタリアナポリ仕立てのジャケットは倍どころかそれ以上の30万40万〜のお値段に跳ね上がり完全なお金持ちの嗜好品と化してしまいましたし。
コレも先のアメリカンブレザーとは対照的ながらビームスドレスクロージングを体現して、なんなら日本のセレクトショップとしても日本代表と言えるブレザーと勝手に選出しておきます。
同じ屋号のセレクトショップながらこれだけアメリカンからイタリアン、そしてブリティッシュまでの幅広いテイストと明確に分かりやすいセグメントのテーラードブレザーを買う事が出来て、それぞれに合わせたスタイリング提案を出来るスタッフが動物園みたいにいるんですからやっぱりウチって手前味噌ながら本当に面白い。
僕自身がブレザーを軸にしながらもクラシックからモードまで、アメリカンからブリティッシュ、イタリアン、そしてフレンチまでありとあらゆるトラッドスタイルを網羅してスタイリングを楽しめてますしね。
そう考えると20年近く前の2007年にビームスを一旦辞めて2年間だけ同じOBと銀座8丁目の並木通りにやれたトラディショナルセレクトショップがその自分のスタイルを作り上げられた貴重な経験値だったんでしょう。
70〜80年代に日本で隆盛を極めたトラッドブランドの広告PRを手がけてたらしい巨匠のおじさまディレクターが掲げた、ウィンザー公とグレース妃をモデルアイコンとして世界中から東京に集まるトラディショナルな服達を現代的な解釈で表現するセレクトショップってコンセプトが今考えても秀逸。
そしてその店では365日365通りのブレザースタイルを楽しもうって隠れテーマを掲げて毎日ブレザー着てましたが、20年近く経った今も僕は勝手に継続中。若輩者によくある凝り固まったトラッドの解釈を、もっと日本人らしく自由に柔軟に様々なお国の歴史あるアイテムを合わせる感覚をこの時に養われたんだと思います。
メンズのブランドがお客様に浸透して売上に繋がっていくのは3年から5年はかかるという通説では有りましたが、この店では初年からレディースのブレザーがスマッシュヒット。その年にトレンドで大注目されてたトムブラウンを筆頭としたアメトラブームも後押ししてくれて女性物紺ブレが直ぐに完売しちゃって慌てて追加生産しました。
男性って新しいブランドや店を簡単に信用してくれなくて慎重にちょっとずつ買ってくれますが、女性はもっと柔軟に新しいものでも気に入れば直ぐに受け入れてくれるものなんだとこの時に痛感したものです。
銀座8丁目の高級クラブのホステスのお姉様方を褒めごろして鼻の下を伸ばしながらブレザーの袖丈の採寸をしてたのは二十代後半の洋服屋人生でもなかなかの良い思い出です。
そう言えば皆さんブレザーに合わせて軍パンとエルメスのヴィンテージシルクスカーフをセット買いしてくれてたなー。ウィンドウディスプレイのマネキンの頭にシルクプリントスカーフを巻いてブレザー着せて軍パンにヒール履かせてたら、ドレスを着たお姉様方が勢い良く入ってきて「このコーディネート全身頂戴!」って。
ブリティッシュ、アメリカン、イタリアン
この3つの文化を投影したブレザーは仕立てもパターンもディテールも全然に違う訳で。
だからこそそれを理解してそれぞれに合った合わせ方をするのも醍醐味のひとつでしょう。
それこそ365日365通りの着こなしが僕はまだまだやり続けられる筈なんです。
またいつかはブレザーを核にしたトラディショナルな自分のお店を復活出来たらなんて思いながら続けてきた洋服屋人生もとうとう20年。ひょんな事から自分のお直し工房を作って事業を始める事になりましたが、遠回りの様でなんだか着実に違った形で夢を実現出来てる様にも感じます。洋服を巡る冒険どころかブレザーを巡る冒険でさえもまだまだゴールは果てしなく、多分死ぬまで続くんでしょう。
とりあえずブレザーを買う際には工房で僕が袖直しを承りますので。
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表題は我が青春の甘酸っぱさとほろ苦さを体現してくれてた僕らのNEW ORDERの86年のシングル曲。
Bizarre Love Triangle
https://www.beams.co.jp/special/rockarchive/about.html
先日ようやく40代半ばを過ぎたおっさんになって初めてこのバンドのライブを見れて大感激。
流石におじいちゃんになるバーニーが声が出ないのを首を傾げてマイクを交換する姿はなんだかとっても微笑ましくてやっぱりジワジワ面白くて。80年代の初来日ライブとかの頃はあまりに演奏が下手だとかセミプロレベルとか言われてた都市伝説を実体験する事が出来たのはもう一生の宝物の思い出ですよ。
流石に40年のキャリアを重ねた彼らのライブはとんでもなかった。やっぱりオンリーワンなんすよね。
彼らの音楽にハマった頃は思春期真っ盛りの高校生2年生だったか。ブリットポップに少し飽き飽きした頃にマンチェスター界隈の音楽を漁ってたらこのなんとも重過ぎないし軽すぎもしないサウンドと哀愁たっぷりの歌声が、重苦しいグランジにもやけにお祭り気分のブリットポップにも疲れ果てた僕にはピッタリとハマったんです。
最初の出会いは月イチで宇都宮からわざわざ3時間電車を乗り継いで遊びに行ってた六本木のナイトクラブでかかってたこの曲。そのクラブは外国人ばかりでしたので、この曲のイントロでイギリスの人達がやたらと盛り上がってたので勇気を出してバンド名を聞いちゃいました。
ネットのない時代だったので音楽情報はロッキングオンなどの雑誌かレコードショップの店員さんのオススメコメントが唯一と言える確かな情報源だったんですよね。
普通に歌詞を読むと前の恋人と今の恋人との三角関係を綴る歌詞なんだと思うんですが、後でこのバンドの前身のバンドからの経緯とか突然にいなくなってしまったイアンというカリスマのボーカルの存在を考えるとなんだか大分解釈が変わったんですよね。
イアンがいた頃のJOY DIVISIONという過去と、彼がいなくなり残った僕たちで生まれたNEW ORDERという存在。その二つの存在と僕という存在の奇妙な三角関係。
うつむく君を見る度にひざまずいて祈る気分なんだ
この奇妙な三角関係が終わる時を僕は待っているんだよ。
僕が言えない終わりの言葉を君が言ってくれて。
僕はブレザーを巡るイギリスさんとアメリカさんとイタリアさんの奇妙な三角関係に振り回されっぱなしです。
それでは新しい横浜でお会いしましょう。
新井
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