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26
Martine Ali
Jewelry Designer
#JEWERLY #BROOKLYN
May. 20. 2019
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May. 20. 2019 / #JEWERLY #BROOKLYN

26 Martine Ali
Jewelry Designer

& Kensaku Nishio(BEAMS Buyer , VAPORIZE Director) Photography & Text:BEAMS あらゆるランドスケープから着想を得て、エッジーな作品を作り続けるニューヨークの新鋭アクセサリーブランド<MARTINE ALI(マーティン アリ)>。BEAMSでは昨シーズンから展開し、既に多くのファンを獲得しています。今回は、そんな<MARTINE ALI>のデザイナーとバイイングを担当した西尾健作によるスペシャルトーク。ブランド誕生のきっかけから作品へのこだわり、また今後のビジョンなど、ブランドとしての<MARTINE ALI>、そしてデザイナーとしてのMartine Aliに迫ります。

ターニングポイントは、エレベーターでの出会い

Kensaku Nishio(以下、K.N):
はじめに、マーティンさんがブランドを始めたきっかけを教えてもらえますか。
Martine Ali(以下、M.A):
大学在学中に<DKNY>でインターンをしていたんですが、たまたまエレベーターで<DKNY>のファッションディレクターと一緒になったことがあったんです。その時に私が身につけていたアクセサリーが気になったようで「それ、誰が作ったの?」って聞かれました。身につけていたのは自作のアクセサリーだったのですが、それをとても気に入ってくれて。それがきっかけで<DKNY>のアクセサリーをデザインすることになりました。最初はアシスタント的な役割だったんですが、最終的にはメインのデザイナーとして携わることになったんです。アクセサリーをデザインするという意味では、<DKNY>での経験がきっかけだったと思います。
K.N:
ファッションディレクターと同じエレベーターに乗っていたことが人生の大きな転機になったんですね。その頃、既に自作のアクセサリーを身につけていたということですが、自分でアクセサリーを作り始めたのはいつ頃ですか?
M.A:
私にベビーシッターがいた頃なので、かなり幼い頃ですね。ベビーシッターと一緒にいろんなパーツを使ってアクセサリー作りをして遊んでいたのが最初のきっかけです。私自身、それがとても楽しくて長年色々なアクセサリーを作ってたら、母親がそのアクセサリーを気に入り、近所の人たちに私の作品を売り始めたんです(笑)。一晩で2000ドル売れたこともありましたよ。でもそのお金がどこにいったのか……私は知りません(笑)。
K.N:
一晩で2000ドルは凄いですね!素朴な疑問なんですが、ファッションに興味を持った人の大半は、アパレルのデザイナーを夢見ると思うんですが、マーティンさんはアパレルデザイナーへの憧れはなかったんですか?
M.A:
モノ作りという意味ではジュエリーからスタートしたんですが、大学ではファッションデザインを専攻していました。なので最初の1年間は、アパレルについて色々と学んだんです。ただデザインをおこしたり、パターンを作ったりと決められた工程をふむということが私には向かったんです。アクセサリーの場合は、使用する素材からインスパイアされてデザインしたり、自由な発想で具現化できるので、私にはアクセサリーの方が向いていると思い、今に至っています。

ストリートにフィットするリアルなアクセサリー

K.N:
ブランドをスタートしたのはいつ頃ですか?
M.A:
2015年です。<DKNY>を退職後、ブランドを立ち上げました。BEAMSで取り扱っていただいたのは今季からですが、きっかけはパリの展示会ですよね?
K.N:
はい、昨年の6月にパリへ出張したんですが、その時にマーティンさんの作品を拝見する機会があったんです。その時に是非BEAMSで取り扱わせていただきたいと思いました。
M.A:
それはなぜですか?
K.N:
僕らBEAMSのカジュアルセクションで扱うアクセサリーって、インディアンジュエリーのイメージが強いんです。ただ今のストリートファッションを考えるとインディアンジュエリーよりもフィットするアクセサリーが他にあるんじゃないかと前々から思っていました。そんなことを考えていた時にマーティンさんの作品と出合い「コレだ」と。マーティンさんの作品は、どこかで見たことあるようなパーツの継ぎ接ぎ的な印象があって、それがとても身近に感じるんですね。それでいながら、新鮮さもあり。アーティストが作るアクセサリーって高価なものが多いんですが、マーティンさんの作品は若い方でも買っていただけるような価格帯なので、そういう意味でもとても気に入っています。アクセサリーをデザインする上で、こだわっていることはありますか?
M.A:
洋服やアクセサリーに関わらず、新しいものや古いものなど色々な組み合わせをするのが昔から好きなんです。自分が作るアクセサリーも古いものなどと自然にフィットでき、そして身につける人に表情が変化し、なおかつ馴染むようなデザインが私の理想です。アクセサリーがつけている人よりも目立ってしまうのは好ましくなく、あくまで体の一部となっているデザインがベストだと思っているので、それを念頭に入れて作品を作り続けています。
K.N:
全く同感です。元々僕は古着が好きなんですけど、ヴィンテージには一切興味がなく、変わったレギュラーモノが好きなんです。それらをうまく現在のウエアとミックスしたコーディネートが好きなんです。そういう考えが根本にあるんですが、マーティンさんの作品も奇をてらったデザインというよりは身近にあるものをミックスしてデザインされているものが多いので、自分の考えと似ている気がして、とてもフィットしました。色々な組み合わせをする中で、その人のオリジナリティが出ると思うんですが、いかに自然にミックスできるかが重要だと思うんです。ちなみにマーティンさんがデザインをする上で、デザインソースとなっているものなどありますか?
M.A:
幼い頃はカラフルなビーズやターコイズなど素材自体からインスピレーションを受けることが多かったんですけど、ニューヨークに移住してからは、この都市ならではのランドスケープからヒントを得ることが多くなりました。例えば、メッセンジャーが使っているチェーンの鍵とか。あとはフックやクリップ、あとはカラビナなど、直接アクセサリーとは無関係のものからインスピレーションを受けることも多いですね。やはりニューヨークに来てからはエッジーなデザインが多くなった気がします。そういえば自分の作品自体からインスピレーションを受けることもありますね。例えばブレスレットを2つ繋げてネックレスにしたり、もうひとつ繋げてバッグのストラップにしたりと、組み合わせることで生まれる化学反応が面白かったりしています。もちろん大前提はどうやったらライフスタイルにフィットするかどうかなんですが。
K.N:
ブレスレットを繋げるという発想は面白いですね。その人のスタイルにフィットさせることはもちろんなんですが、アクセサリーにはルールがないということも長所なのかもしれませんね。
M.A:
その通りです。私は色々なアクセサリーを作っていますが「こう身につけてほしい」という考えは一切なく、あくまで身につける人が自由に取り入れてほしいと思ってます。

ヴィンテージパーツを使ったリデザインの作品を色々作りたい

K.N:
僕が今日つけているマーティンさんのネックレスはどうですか(笑)?
M.A:
最高(笑)!
K.N:
僕自身、マーティンさんのアクセサリーを身につけているんですが、昔購入したハイブランドのアクセサリーと組み合わせて楽しんでいます。ちなみに、ドッグタグがついたこのネックレスはBEAMSの別注として作ってもらったんですが、僕自身とても気に入ってますし、お客様からも好評です。そういえば前から気になっていたことがひとつ。マーティンさんはレディー・ガガなど著名なアーティストやスタイリストと交友がありますけど、昔からお知り合いだったんですか? 
M.A:
いえ、きっかけはインスタグラムです。ブランドをスタートした直後は、卸しをせずサイトだけで販売をしていたんですが、販売する前に自分のインスタグラムにポストをしたら、いろんな人から購入したいというダイレクトメールが届き始めたんです。その中には著名なアーティストやスタイリストもいて、ちょっとずつコミュニケーションをとるようになりました。また最近ではアーティストだけでなくファッションデザイナーからオファーがくることもありますね。ランウェイ用のジュエリーを製作してほしいとか、ジュエリー部門のクリエイティブディレクターとか。詳しいブランド名はまだいえないんですけど(笑)。
K.N:
どこのブランドか気になります(笑)。では最後に、今後のビジョンなどがあれば教えてください。 
M.A:
夢であった路面店兼スタジオをブルックリンに構えることができたので、あとは今まで通り、色々なアプローチでアクセサリーを作っていきたいです。特に今ハマっているのが、ヴィンテージやユーズドのパーツを使ってリデザインしたアクセサリー。やっぱりミックスさせることが好きなんです。
K.N:
いいですね。一点物になってしまいますが、ぜひBEAMSでもヴィンテージやユーズドのパーツを使ったリデザインのアクセサリーも扱ってみたいです。あと個人的には、やっぱりマーティンさんのアパレルを見てみたいな。どんなデザインをするのか、とても気になります。 
M.A:
今までは忙しくてアクセサリーのことしか考えていなかったんですけど、西尾さんがサポートしてくれるならアパレルのデザインもトライしてみようかな(笑)!
Okusa Naoko
Martine Ali
(Jewelry Designer)

マーティン・アリ/イリノイ州シカゴ生まれ。大学入学と同時にニューヨークへ移住。<DKNY>でのインターン時代、自作のアクセサリーがファッションディレクターの目にとまり、<DKNY>のアクセサリーを手がけることに。2015年より自身の名を冠するブランド<MARTINE ALI>をスタート。キーチェーンやフックなどライフスタイルに欠かせないパーツをアクセサリーに落とし込み、唯一無二のエッジーなデザインをブルックリンにあるプライベートスタジオで日々製作。ちなみに今回が初めての来日であったが「コンビニは断然ファミリーマート派(笑)」
MARTINE ALI OFFICIAL SITE:https://www.martineali.com/
INSTAGRAM:@martineali

Okusa Naoko
Kensaku Nishio
(BEAMS Buyer, VAPORIZE Director)

西尾健作/1972年東京まれ。1993年BEAMSに入社し、販売スタッフとして「インターナショナルギャラリー ビームス」に配属。その後、いくつかの店舗を経て、2012年よりカジュアルセクションのバイヤーに就任。現在はバイイングだけでなく、<VAPORIZE(ヴェイパライズ)>のディレクターも兼任しマルチに活躍。趣味はギター演奏。
INSTAGRAM:@kensaku0220

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BEAMSにまつわるモノ・ヒト・コトをあらゆる目線から切り取り、
ヒトとヒトとのお話から”今気になるアレやコレ”を
紐解いていく連載企画 【TALK】。

洋服のデザイナーからバイヤー、フォトグラファーやモデルなどなど。
様々な職種のプロフェッショナルから
”今気になるアレやコレ”を伺います。

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