Jul. 26. 2019 / #BEAMSJAPAN #CITYGUIDE
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Yuji Iwai
IMA:ZINE CEO, Editor
& Futoshi Maeda(BEAMS PRESS)
Photography & Text:BEAMS
先日配布がスタートした “BEAMS EYE ON” シティガイド。BEAMSのスタッフが本当にオススメしたいお店やマイナーなスポットを紹介した、まさにBEAMSの歩き方的ガイドブックとして、すでに各都市で話題を集めています。今回は、そんな “BEAMS EYE ON” シティガイドを手がけた編集者の岩井祐二氏とBEAMSのプレス・前田太志によるスペシャルトーク。本当に広島の人はお好み焼きばかり食べているのか、本当に静岡イコールお茶なのか。そんなステレオタイプを見事に覆した両氏に、様々なエピソードを語ってもらいました。
個性派集団のBEAMSにしか作れない “リアル”なガイドブック
- Yuji Iwai(以下、Y.I):
- 前田さんからこのガイドブックのお話をいただいたのは、いつ頃でしたっけ?
- Futoshi Maeda(以下、F.M):
- 以前からガイドブックを作りたいと思っていたんですが、正式にご相談させていただいたのは半年くらい前ですよね。元々岩井さんは雑誌『CAZI CAZI(カジカジ)』の長年編集長をされていたんですが、それと同時に名古屋、福岡、そして札幌のシティブックを作られていて。僕はそのシリーズがとても好きなので「BEAMSがガイドブックを作るなら絶対に岩井さんにお願いしたい!」と勝手に思っていました。
- Y.I:
- ありがとうございます(笑)。明らかに他のガイドブックとは異なりますよね。
- F.M:
- はい。今回は、日本の魅力を発信するショップである「ビームス ジャパン(新宿)」でガイドブックを配布したいということからスタートしました。もちろんどこにでもあるようなガイドブックでは作る意味がないので、他にはないBEAMSならではのガイドブックを作ろうと。今回制作したガイドブックでこだわったのは、BEAMSのスタッフ目線でお店や注目のスポットを紹介するということ。そして、まだ知られていないその土地の文化やこれから注目されるであろうインディなスポットを伝えられればと思いました。今回は全都市を岩井さんにまわっていただきましたが、実際に取材をされてみて、いかがでしたか?
広島でホルモン!? 福岡でうどん!?
- Y.I:
- まずは何より、BEAMSスタッフの振り幅の広さを改めて実感しました。こんなにも個性的なスタッフが多い会社って僕が知る限りはBEAMSだけですね(笑)。僕が住んでいる大阪って有名で個性的なアパレルショップがたくさんあるんですが、BEAMSのスタッフってそんな個性派ショップが軒を連ねる大阪でも存在感のある人たちばかりなんです。雑誌『カジカジ』を作っていた頃からそうなんですが、街の中心的存在になってる人も多いです。実はそれって東京や大阪だけではなく、その他の都市でも同じなんじゃないかって思ったんです。そんな人たちがリコメンドするリアルなガイドブックができたら、絶対に面白いと思ったので、僕自身とても楽しく制作することができました。ラーメンに詳しかったり、ケーキに詳しかったり、はたまた散歩の達人がいたり(笑)。全国展開しているセレクトショップはたくさんありますが、こういったガイドブックを作れるのは間違いなくBEAMSだけだと思います。
- F.M:
- 確かにいろんなスペシャリストが各都市にいましたよね(笑)。僕は事前打ち合わせをするために駆け足で各都市をまわっただけですが、それでも知らない情報がたくさんあって、とても驚きました。特に広島。僕だけではないと思うんですが、広島って聞くとお好み焼きっていうイメージを持っている人が多いと思うんですよ。でも実際に広島のスタッフに聞いてみると「もちろんお好み焼きも食べますが、同じくらいにホルモンを食べることも多いですよ」という予想外の答えが返ってきたりして。それにはビックリしました。で、詳しく聞いたら、広島には美味しいホルモン屋さんが沢山あって、お店によっては、希少部位を食べられたり、ホルモンを天ぷらにしてそれを自分でカット食べたりするという珍しい食べ方を楽しめたりできるんです。そんな文化を僕は全く知らなかったので、かなり驚きました。
- Y.I:
- そうでしたね。今回一番最初に取材したのが広島だったんですが、そんな声が聞けて個人的に何か掴めた気がしました。そうそう、こういう情報を紹介したかったんだって。長崎のスタッフからは皿うどんの話を聞きましたよね。僕らからすれば皿うどんって外で食べるものだと思っていたんですが、長崎のスタッフから聞いたのは「店よりも家でよく食べる」と。近所のお店に出前をとって家族で食べることが多いそうです。酢とソースをジャバジャバかけるそうなんですが、ちょっと気が引きつつ実際にジャバジャバかけて食べてみたら、本当においしかったです(笑)。
- F.M:
- 同じスタッフに、お店へ行くならどこがオススメかって聞いたら「リンガーハット」って答えが返ってきたこともかなり意外でしたよね(笑)。
- Y.I:
- 確かに言ってましたね(笑)。もちろん美味しいお店は沢山あるんでしょうけど、ちゃんぽんや皿うどんの捉え方が、僕らのイメージとはかなりかけ離れていたので、とても新鮮でした。あ、そういえば皿うどんにかけるための専用ソースっていうのがあるそうなんですけど、これはどこの中華料理屋さんにもあるって言ってましたね。意外といえば、福岡のうどんの話も面白かったですね。
- F.M:
- そうですね。まず福岡といえば、もつ鍋やラーメンのイメージがありますが、実はうどん屋さんが多いんですよね。で、福岡のスタッフに美味しいうどん屋さんの見分け方を聞いたら「実は麺やつゆにこだわった豊前裏打会という流派があって、そこからでた人たちのうどんは評価が高い」と。まず、豊前裏打会って何って感じじゃないですか(笑)。しかも見分け方として「豊前裏打会出身のお店の暖簾には、右隅に赤い判子が押されている」って。もう、何それ!って感じですよ(笑)。知らないことだらけで、かなり衝撃的でした。実際に食べたんですが、本当においしかったです。
- Y.I:
- 福岡には他にもガイドブックに必ず掲載されるような人気のうどん屋さんがあるんですが、実はローカルの人は行ってなくて、東京など別の都市から来た旅行者が評価しているって言ってましたよね。要は、観光客とローカルの人たちが行く店は違うと。これって地元の声を聞かないとわからない情報なので、まさにこのガイドブックならではの紹介ができたと思っています。
あまりの美味しさに取材中、前田さんへ連絡を(笑)
- F.M:
- 今回のガイドブックはスタッフ自身の顔入りリコメンドなので、地元の人にもチェックするから、みんなプレッシャーが凄かったようです(笑)。他に印象的な都市はありましたか?
- Y.I:
- 個人的には静岡市ですかね。元々静岡イコールお茶というイメージはもちろんあったんですが、それ以外にあまり情報がなかったんです。で、実際に行ってみたら、サウナとか芹沢銈介美術館とか僕にとって楽しいところばかりで。ちなみに芹沢銈介美術館では取材中に1万円以上買い物をしちゃいました(笑)。
- F.M:
- サウナは「しきじ」さんですよね。サウナの聖地とも言われている場所で“奇跡の水風呂”が有名ですよね。あと、静岡市といえば、絶対に紹介したかったのが、げんこつハンバーグでおなじみの「さわやか」。今回はあまり知られていないお店やスポットを中心に紹介していますが、ここを紹介しないわけにはいきませんでした(笑)。実際に食べてみてどうでしたか?
- Y.I:
- いやぁ、おいしかったです。あまりの美味しさにテンションが上がって、取材中なのに前田さんに電話しちゃいましたもんね(笑)。あの美味しさはビックリしました。煙の量もビックリしましたけど(笑)。色々な経験ができたし、僕の中では静岡が一番印象的でした。なんとも言えない心地よさがあるんですよ、静岡には。
紹介するお店を地元の人に褒められたことが、何よりも嬉しかった
- F.M:
- 僕もまたあのサウナに入りたいです(笑)。今回取材をされて、嬉しかったことなどありましたか?
- Y.I:
- 色々ありました。よく取材先で他にどんなお店を取材するのか聞かれることが多かったんですが、店名を伝えると「わかってるね」って褒めていただいたりしたんです。これって地元の人じゃないとわからない感覚だと思うんですが、地元の人が本当に良いと思っているお店をちゃんと選んでいたということなので、なんか認められた気がして、嬉しかったですね。あとは、やっぱり普通なら雑誌などに載らないお店も今回に限って協力してくれたことですかね。これは普段からそのお店に足繁く通っているBEAMSのスタッフのおかげなんです。「○○さんの頼みならいいよ」って。最初に言いましたけど、どんなこともやっぱり“人”なんですよね。
- F.M:
- “人”は今回のガイドブックにおいて、とても重要な要素なので、作ってよかったです。まだまだ紹介できていないお店や注目のスポットがあるはずなので、実際にBEAMSのショップへ足を運んでいただき、スタッフから色々なオススメのスポットを聞いてもらいたいですね。どの店舗にも紹介したがりなスタッフが多いので、たくさん紹介してくれると思いますし。今回のガイドブックは、掲載都市のBEAMSと、新宿の「ビームス ジャパン(新宿)」で配布されているので、ご旅行の予定がある方や、各都市にお住いの方などは是非ご覧になっていただきたいです。地元の方でも知らない情報が多数掲載されていると思います。あ、ちなみに今回の取材で大変だったこととかありましたか?
- Y.I:
- 朝一の取材でビールスタンドに行ったことですかね。朝から6種類のビールをいただいたので、テンションをおさえながら2軒目以降の取材をするのが大変でした(笑)。あとは、長年ガイドブック作りに携わり、これまで数多くの飲食店を紹介していますが、実は僕、偏食なんです。今回も飲食店の取材で撮影した料理をいただいたんですが、食べられないモノも結構あって、それを食べ終えるのがかなり大変でした(笑)。次回は東北や北海道、そして北陸などの都市を紹介する予定なんですが、お店の方に気づかれないよう美味しそうにいただきたいと思います(笑)。
Yuji Iwai
(IMA:ZINE CEO, Editor)岩井祐二/1977年、京都府生まれ。2002年、交通タイム社に入社し、『CAZI CAZI』編集部に配属。2005年から『CAZI CAZI』編集長に就任し、2012年からは複数の雑誌を束ねる編集局長に。2017年に谷篤人氏、稲葉冬樹氏という関西ファッション界のキーパーソンとともにセレクトショップ『IMA:ZINE』をオープン。瞬く間に、関西のみならず、日本中から注目を集めるショップへと成長を遂げる中、自身は今もなお編集者として様々な媒体に携わる。
Futoshi Maeda
(BEAMS Press)前田太志/1983年生まれ。2007年に入社し「ビームス 大宮」オープニングスタッフで販売員を経験後、2011年にBEAMS メンズカジュアルのPRに異動。レーベルのブランディングやプロモーションを考える仕掛け人。休日は料理を作り自己のレシピもインスタグラムに公開中。
INSTAGRAM:@maeda_futoshi