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01
Kiminori Nakamura
OLD PARK Designer
#USED CLOTHING #RE MAKE
Nov. 13. 2015
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Nov. 13. 2015 / #USED CLOTHING #RE MAKE

01 Kiminori Nakamura
OLD PARK Designer

&Motoki Yoshikawa(BEAMS Buyer) Photography:Shin Hamada
Interview&Text:Takashi Abe
第一回目は今のファッションのトレンドにまつわるお話。古着・リメイクをサブカテゴリーに11月13日(金)より「ビームス 原宿」でポップアップショップを開催中のブランド<OLD PARK(オールド パーク)>デザイナー中村仁紀さんとBEAMSメンズカジュアルバイヤーの吉川との対談形式でお伝えします。中村さんの考えるブランドコンセプト、古着の魅力とは?

新品にはない
古着ならではの
生地感に惹かれ…。

Motoki Yoshikawa :
<OLD PARK(オールドパーク)>といえば古着を使用したアイテムというイメージが強いのですが、何か理由やキッカケがあるんですか?
Kiminori Nakamura :
元々古着屋で働いていたというのが一番の理由ですね。原宿にあった<ヴィンテージキング>に6、7年勤めていました。一番カッコイイ古着屋で働きたいと思っていたのと、何よりここで働くと買い付けでニューヨークに行けるっていうのをスタッフの方から聞いていたので、そんなおいしい話はないと思いお世話になりました(笑)。色々な古着に触れたことで、新品にはない生地の風合いに惹かれ、<オールドパーク>で古着の生地を使用しています。
M.Y :
僕も<ヴィンテージキング>は高校の頃から通わせていただいていました。最初に行ったのが高校1年の時ですね。バイトしてためたお金を握りしめて、新潟から原宿へ来てました。商品云々よりも何よりスタッフの方が高校生の自分にとっては怖く感じました(笑)。試着させてもらうために声をかけるのもドキドキしていたのを覚えています。ニューヨークへは、すぐに行かせてもらえたんですか?
K.N :
<ヴィンテージキング>はスタッフ全員が交代で買い付けに行くことになっていたので、すぐにニューヨークへ行けました。1回の買い付けで2か月滞在して、それを年に2回くらい。それまでバイイングの経験なんてもちろんなかったので、完全なる客目線(笑)。当時はまだヴィンテージも色々買えたので、面白かったです。ベッドフォードというエリアによく通っていたんですが、当時はカフェと古着と小さなお店があるくらいでしたが、最近行ってみたら当時の面影がないくらいに変わっていたので驚きました。
M.Y :
<オールドパーク>を始めたのは、<ヴィンテージキング>を退職された後ですか?
K.N :
いえ、<ヴィンテージキング>を退社してから友人とオリジナルブランドを立ち上げたり、OEMなどを手掛ける会社でお世話になったりもしました。<オールドパーク>をスタートさせたのは、その後ですね。こんなこと言ったら怒られるかもしれませんが、ちゃんと就職をしたのがそのアパレル会社が初めてだったので、色々と大変でした(笑)。働いてわかったことは「自分は社会不適合者なんだなぁ」と(笑)。そんなことも要因の一つとしてあり、2012年にブランドを始めました。なので、今は一人でのんびりやらせてもらっています。仕事したい時に仕事をして、眠くなったら寝るというスタンス。え、オンオフの切り替えですか? ずっとオンです。……いや、ずっとオフかな(笑)。

リメイクという捉え方で
洋服を作ったことは
ありません

K.N :
<BEAMS>さんとお仕事させていただいたのは、昨年からですよね?
M.Y :
はい、2014年の春夏から取り扱わせていただいています。元々ブランド立ち上げ当初から展示会には伺わせていただいていて、最初サンプルを見た時、洋服というよりも作品的な見え方が印象的でしたね。とにかくかっこよくて、個人的にもすごい欲しかったです。しかしながら<ビームス>のバイイングとして、どうやって売っていこうかということを考えた時に、やはり作品としての見え方が強かったので、最初は取扱いさせていただくことを控えていました。と同時にどういう風に表現できるかをずっと模索していたんです。で、昨年春夏の展示会に伺った時、目にしたのがネルシャツとバンダナを組み合わたバンダナシャツだったんです。これまで見てきた他ブランドのリメイクとはまた違ったイメージがるだけでなく今までにない解釈がとても新鮮でした。時流にも合っていて、「コレはいける」という確信があり、お取引を始めさせていただきました。何より他ブランドにはない中村さんならではの人柄が出てますよね。良い意味での抜け感が。ちなみにあのバンダナシャツは、どのようにして生まれたのですか?
K.N :
あのシャツはネルシャツを使用しているんですが、ブランドを始めてから頑なにネルシャツとミリタリー系の生地は使っていなかったんです。集まりやすかったというのが一番の理由で、集まりやすい=他のブランドでも使いやすいという考えもあり、 別の生地を使用していました。ただ、徐々に色々なモノを作る上で、自分が好きなネルシャツをなんで使ってないんだろうっていう疑問が生まれてきたんです。じゃぁ、どうせ作るならカッコイイものを作ろうと思い出来上がったのが、あのバンダナシャツでした。おかげさまで評判も良く、作ってよかったと思っています。
M.Y :
うちでも<オールドパーク>を象徴するアイテムとなり、好評を得ました。ところで中村さんにお聞きしたかったのですが、リメイクという解釈をどのようにお考えですか?
K.N :
実は<オールドパーク>に関して、リメイクという捉え方で洋服を作ったことは一度もないんですよね。他社のブランドと同様に、ひとつの洋服として作っているつもりです。ユーズドウェアの生地を使用しているから、リメイクという立ち位置に思われるんですが、自分で全くそう思ってなくて…。たまたまユーズドの生地をしているだけなんです。色々なブランドさんがユーズドの生地をサンプルとして用意して「この生地の風合いを作ってほしい」って生地屋さんに依頼をしていると思うんですが、それだったら本物の生地を作った方が良いのでは、っていう考えなんです。やはり古着の生地感は、新品では作れないと思いますし、何より一点一点生地感が異なるので、それもユーズドならではの素晴らしさですよね。……ただ、色々なところでリメイクリメイクって言われ続けていたので、だんだんうちの洋服もリメイクなのかなぁって思い始めてきちゃいました(笑)。

できることなら、
このままのスタイルで

M.Y :
使用されているユーズドの生地はどのようにして調達されているのですか?
K.N :
日本のディーラーさんから買っているんですが、東京だけでは限られてしまうので、大阪や九州の業者さんからも買ったりしていますね。以前は素材を集めることはそんなに大変ではなかったのですが、今はとにかく大変。先ほども言ったようにうちのブランドは古着の生地ありきなので、集められなくなったら結構厳しいですね(笑)。
M.Y :
生地を作ろうと思ったことはないんですか?
K.N :
今のところないですね。もし作るのであれば、古着に似た生地を作るのではなく、古着にはない生地を作るかもしれません。やはり古着の質感は加工ではマネできないと思っているので。そういうこともあり、僕の場合、デッドストックには興味ないんですよね。人が着て使い込まれた風合いが好きなんです。なので、生地が集まる限りは、このままのスタイルでやっていきたいと思っています。……なんて、今はこう言ってますけど、来年作ってるかもしれません(笑)。
M.Y :
(笑)。今後こんなことをやってみたいといったアイデアはありますか?
K.N :
今は春夏と秋冬の2回に分けて展示会をやっているんですが、展示会を始める前に製品を作り終えて、この商品はこの数量です、というように通常のオーダーとは逆のパターンでやっていけたら理想的ですね。ユーズドの素材を集めることも大変ですし、納期遅れでご迷惑をかけることもなくなりますし(笑)。このままのスタンス、このままペースでやっていけたらと思っています。いかんせんマイペースなので(笑)。
Kiminori Nakamura(Designer)
Kiminori Nakamura
(OLD PARK Desaigner)

中村仁紀/1976年生まれ。佐賀県出身。福岡の大学を卒業後「何も考えず」東京へ移住し、原宿の古着屋<ヴィンテージキング>に就職。2007年に退社し、友人とのブランド立ち上げやOEMなどを請け負うアパレル会社勤務を経て、2012年秋冬より<オールドパーク>をスタート。立ち上げ当初より古着の生地を使用したウェアを展開し注目を集める。

Motoki Yoshikawa(BEAMS Buyer)
Motoki Yoshikawa
(BEAMS Buyer)

吉川基希/1979年生まれ。新潟県出身。高校時代、地元新潟の古着屋にアルバイトで勤務。その後、某セレクトショップ勤務を経て、2001年BEAMSに入社。2012年よりメンズカジュアルのバイヤーとなり、2015年よりチーフバイヤーに。トレードマークであるロングヘアで、展示会廻りに勤しむ多忙な日々。

About 

BEAMSにまつわるモノ・ヒト・コトをあらゆる目線から切り取り、
ヒトとヒトとのお話から”今気になるアレやコレ”を
紐解いていく連載企画 【TALK】。

洋服のデザイナーからバイヤー、フォトグラファーやモデルなどなど。
様々な職種のプロフェッショナルから
”今気になるアレやコレ”を伺います。

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