MENU

Archive

35
Eriko Nakano
M.D. St. Luke’s International Hospital
#FASHION #PINKRIBBON
Oct.01. 2020
about
Oct.01. 2020 / #FASHION #PINKRIBBON

35 Eriko Nakano
M.D. St. Luke’s International Hospital

& Yukiko Uchiyama (BEAMS FUTAKOTAMAGAWA Staff)、Kota Fujii (BEAMS PLUS HARAJUKU Staff)、Yuki Kuwabara (BEAMS Promotion Div.) Photography: BEAMS
Text: Minori Okajima[MANUSKRIPT]
乳がんで亡くなられた患者の家族が「このような悲しい出来事が繰り返されないように」と願いを込めて作ったリボンがきっかけで誕生した”ピンクリボン”。BEAMSでは、毎年10月に開催される乳がんの正しい理解と早期発見を呼びかける世界的な啓発キャンペーンに賛同しています。今回は、正しい知識を身につけ、身近に感じてもらうために聖路加国際病院の中野絵里子先生にお話を伺いました。年代も性別も異なるBEAMSスタッフ3名とのクロストークでお届けします。

10人に1人が乳がんの時代
だからこそ正しい知識と強い意識を

Eriko Nakano(以下、E.N):
乳がんは女性にとって一番身近ながんであり、日本人の10人に1人がかかると言われています。ちなみに私ががんの研究を始めた約20年前は18人に1人でした。生活習慣の欧米化や検診率の高まりなど、その理由はさまざまですが、加齢によってDNAが劣化することで発症しやすいがんの中でも乳がんは若く、発症率は40代から増加傾向にあります。
Yuki Kuwabara(以下、Y.K):
今でこそ身近に感じるようになりましたが、普段から意識することは20代ではまだ少なくて。早期発見で治る可能性が高いということもあり、すぐに検査を受けないと、という危機感は正直なかったです。
Yukiko Uchiyama(以下、Y.U):
私は著名人が乳がんになったニュースを聞くたびに、他人事とは思えなくなりました。今では、身近な病気です。20代の頃から2年に一度のペースで検診を受けるようになりました。
E.N :
20代、30代の人も「まだわたしは大丈夫」と思わず、少しずつ意識していくことが大切。早い段階で発見されれば腫瘍が小さかったり、リンパ節転移があっても少数であることが多く、きちんとした治療を受ければ約90%の可能性で完治が望めます。自分が10人のうちの1人になる可能性はあるけれど、少しの意識や習慣で体の違和感を感じられるように気をつけることは、誰にでもできることです。
Kota Fujii(以下、K.F):
例えば中高年の男性に多いと言われる前立腺がんも、最近は患者数が増えていると聞きます。でも、ネットで情報を得ようとすると、いろいろなことが気になってしまいがち。意識は常に持ちながらも、恐れすぎないことも大事かなと思います。
E.N:
本当にその通りです。前立腺がんはPSA検査を受けることが早期発見に有用ですが、かといって20代で恐れすぎて定期的に受ける必要もありません。やはり正しい知識を早くから身につけるのが大切ですが、日本は国際的にみても医療システムは整っているのに、まだまだ意識が低く、検診受診率がとても低いんです。
Y.K:
自分ごとにする機会があまりに少ないですよね。どこかに異変を感じないと危機感も生まれないから、男性もなかなか意識を持ちにくいですよね。
Y.U:
私はマンモグラフィーを早くから受けすぎると、体に悪影響があると聞いたことがあって、ちょっと心配していました。
E.N:
みなさん、すごく勉強されていらっしゃいますね。でも、恐れることは悪いことではありません。若い世代が乳がんになる可能性は低いですが、お母さんや親戚が乳がんや卵巣がんだったという濃厚な家族歴の場合は気をつけたほうが良いかもしれません。40代以降は乳腺の全体像が把握できるマンモグラフィー検査を推奨していますが、20代、30代であれば身体への負担が少ない超音波検査をおすすめします。男性も胃カメラや便潜血検査などの検診を受けることで、死亡率が下がるがんも多いので、パートナーと一緒に意識してみてください。

体型の気づきのすぐ側にある
“ブレストアウェアネス”とは

E.N:
そこで、若い世代にも乳がんを意識してもらうために「ブレストアウェアネス」という言葉が世界中で使われ始めています。ブレストは胸、アウェアネスは意識すること。普段から自分の体に異変がないか気にしながら生活するという意味です。胸を触ってみて「あれ?先週までなかった何かがある」と気づいたら、乳腺外科やクリニックで専門家に診てもらう。その時に乳がんと診断されなくても、クリニックの存在が身近になることで意識が高まり、検査へのハードルが低くなります。
Y.K:
BEAMSでは、10月1日から国内150店舗の女性用試着室に、セルフチェックガイドを設置します。試着のついでに、イラストを見ながら簡単にトライできます。この取り組みは4年目で、お客様からの反応も良いんです。
K.F:
ご夫婦やカップルで来店されるお客様もいらっしゃるので、今年はスタッフの名札に付けるプレートやショッピングバッグに付けるチャームなどで男性のお客様にもピンクリボンキャンペーンのことが伝われば、大切なパートナーの健康のことを一緒に考えるきっかけになると思います。
E.N:
BEAMSのピンクリボンキャンペーンは以前から知っていて、初めてお店で見たときに感動しました。若い頃は、仕事や恋愛について悩んだり、友達と遊んだり、ファッションもメイクも楽しみたいじゃないですか。まだ健康への優先順位は低いかもしれない。だからこそBEAMSから発信することで自然に受け入られればいいなと思います。
Y.U:
年々、期間中は店頭でお客様とお話する機会が増えました。ピンクリボンをご存知の方も、セルフチェックまでは日頃からされている方は少ないようです。
E.N:
ワンピースを試着するときに、ポップを見てブレストアウェアネスについて学ぶだけで、その人の人生が大きく変わっていくはず。実は数ヶ月前から胸に違和感を覚えていたという人が、全国に何人かはいるかもしれないですよね。「ちょっと病院に行こうかな」と思うきっかけになれていれば、それは人の命を救うことに繋がっている。BEAMSの取り組みは、医療業界の立場からすると、とても嬉しいことです。
K.F:
試着室って、体型について考えたり、家のクローゼットの中身を思い出して、こんなアイテムにも合わせられるかな、とか考えたりと、自分のことを見つめ直せる貴重な空間だと思います。
Y.U:
私も最近は体型の変化を少しずつ感じるようになりました。だからこそ試着室に入ると、気になる部分をカバーしたり、きれいに見せる努力をしようと思いますよね。
Y.K:
この服ちょっときつくなったな、とか、同じ服なのに見え方がいつもと違う、とか。私もファッションを通じて体の変化に気づくことが多いです。それがブレストアウェアネスにもつながるといいと思います。

ピンクリボンを広げるために
ファッションができること

Y.U:
BEAMSでは、ジュエリーブランド<Quelle Chance(ケルシャンス)>のピンクリボンチャリティーブレスレットを販売していて、その売り上げの10%が<Quelle Chance>より一般社団法人KSHSヘ寄付されています。ピンク色のリボンと、ピンクリボンのマークが口に描かれたスマイリーのチャームがキュートで、普段使いしてもかわいいんですよ。
E.N:
私の病院でもそのブレスレットをつけた患者さんを何人も見かけました。そういう意識が高い人は、着こなしが本当におしゃれ。ウィッグのセンスも本当に素敵です。医療用の服や小物ってまだまだ無地のものが多いから、身に付けてハッピーになれるアイテムがたくさん増えて欲しいです。
Y.U.:
メッセージ性のあるアイテムを身に付けたときに、ブレストアウェアネスを自然に意識できるって良いことだと思います。
K.F:
ピンクの服をおしゃれに着るだけでも、意識が変わったらいいですね。
E.N:
私は妊娠時によく着ていたBEAMSのマタニティウェアがとてもお気に入りでした。だから出産後もお店を覗きたくなるし、お腹は出ていなくても自分に合う服があったら買いたいと思っちゃいます。患者さんも一緒で、病気が完治しても身に付けたくなる服や小物があるといいですよね。
Y.K:
私も、妊婦さんや患者さんもみんな同じようにファッションを楽しんでもらいたいと思っています。今日肩に掛けているスカーフも、ターバンのように頭に巻いて帽子代わりに使ってもお洒落ですよね。アレンジによって自由に楽しく取り入れられるアイテムって、たくさんあると思います。
E.N:
あと、今後はオンラインでも発信があると喜ばしいです。例えば、商品検索に身体的特徴をチェックする項目があって、『乳がん』や『腕が腫れている』などの条件からおすすめの服や着こなしを提案できたらどうでしょう? それこそ腕の腫れやむくみにパフスリーブのトップスはすごく合うと思うし、BEAMSで働くみなさんの工夫をいろいろ教えて欲しいです。
Y.K:
店頭の接客がオンラインでできたらすごく素敵だと思います!
Y.U:
ピンクリボンの認知は着実に広まっていると実感しています。今年はピンクリボンをアレンジしたBEAMSオリジナルのステッカーがBEAMS公式オンラインショップで購入いただいた商品に同封されます。2つ繋げると真ん中がハート型になるんです。商品がお客様のもとに届いた時、このステッカーを見て興味を持ってくれたらうれしい。店舗でお買い物いただいた方にはショッピングバッグにピンクリボンのチャームを付けてお渡しします。
E.N:
まぁ可愛い!女性って本当にノベルティーに弱いですよね。私はスマートフォンに貼りたくなりました。人の心を掴めるデザインって、ファッションだからできること。どんなにメッセージ性があったとしても、自分が好きなデザインじゃないとなかなか身に付けにくいですよね。BEAMSのステッカーによって繋がる多くの人が乳がんに興味を持ち、ピンクリボンの取り組みが広がることを期待しています。
Eriko Nakano
Eriko Nakano
M.D. St. Luke's International Hospital

中野絵里子/聖路加国際病院 腫瘍内科 副医長。ニューヨーク大学ベルビュー・メディカルセンターや国立がんセンター中央病院での職務を経て現職に。BEAMSをはじめ、さまざまな企業や団体に乳がんの正しい知識や早期発見の大切さを伝える講演会を行なっている。

Yukiko Uchiyama
Yukiko Uchiyama
(BEAMS FUTAKOTAMAGAWA Staff)

内山由紀子/1987年生まれ、北海道生まれ札幌育ち。 北海道文化服装学院卒業後、2009年にBEAMS入社。<Demi-Luxe BEAMS(デミルクス ビームス)>の様々な店舗で販売経験を積んだのち、「ビームス 六本木ヒルズ」でのオープニングに携わり、その後レディースドレスのプレスを担当。現在は「ビームス 二子玉川」のリニューアルオープンとマネジメントに。仕事もファッションも全力投球。
INSTAGRAM: @yukiiiko

Kota Fujii
Kota Fujii
(BEAMS PLUS HARAJUKU Staff)

藤井洸太/1992年生まれ。岡山県倉敷市、「国産デニム」で有名な児島出身。岡山大学卒業後、アルバイトスタッフとして「ビームス プラス 原宿」に入り、以来6年以上同店舗に在籍。古き良き居酒屋巡りが趣味ではあるが、最近少し自粛気味。定額動画配信サービスを利用して、休日には洋画邦画を問わず様々な映画を観るのに夢中。
INSTAGRAM: @fujiiiikoooota

Yuki Kuwabara
Yuki Kuwabara
(BEAMS Promotion Div.)

桑原優季/1992年生まれ、岐阜県出身。大学とバンタンデザイン研究所とのダブルスクールを経たのち、スタイリストのアシスタントを経験。2014年にアルバイトとしてBEAMSに入社後、正社員として販売員の経験を積み、2017年よりウィメンズカジュアルのプレスに。現在はプレスでのノウハウを生かし、2020年9月より異動した宣伝課にてBEAMSのPRに日々奮闘中。お酒と美味しいご飯がとにかく大好きで、料理と飲食店リサーチが趣味。
INSTAGRAM: @yuki_8

Information.

乳がんに関する理解とブレストアウェアネスを促す
ピンクリボンキャンペーンを実施します

詳しくはこちらよりご確認ください。

About

BEAMSにまつわるモノ・ヒト・コトをあらゆる目線から切り取り、
ヒトとヒトとのお話から”今気になるアレやコレ”を
紐解いていく連載企画 【TALK】。

洋服のデザイナーからバイヤー、フォトグラファーやモデルなどなど。
様々な職種のプロフェッショナルから
”今気になるアレやコレ”を伺います。

close