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32
Teruyuki Kagawa
Actor
#INSECT #SCHOOLBAG
Mar.06. 2020
about
Mar.06. 2020 / #INSECT #SCHOOLBAG

32 Teruyuki Kagawa
Actor

& Yoshihisa Inagaki(BEAMS PARIS BRANCH) Photography:BEAMS
Text:Saiko Ena
今春発売予定の<kodomo BEAMS(こども ビームス)>のランドセルに、俳優・香川照之氏が手がけるアパレルブランド<Insect Collection(インセクトコレクション)>とのコラボモデルが登場。幼少期から昆虫が大好きで、観察を通して生き物と人間の関わりを知り生きるために役立つ多くのことを学んできたという氏は、昆虫モチーフの洋服や雑貨をきっかけに、こどもたちが自然への興味を楽しく育み、ひいては、社会性や環境問題に対する理解を深めてくれたらという思いでブランドを立ち上げたという。<Insect Collection>ならではの楽しさや環境への配慮と、<kodomo BEAMS>ならではのベーシックで上質なものづくりが交わって生まれたコラボレーションについて、今回は、香川氏の幼なじみでもあり、この取り組みのきっかけを作ったBEAMS パリオフィス・稲垣義久とともに存分に語っていただきました。

服を通してこどもたちに伝えたい生き物と人間の交わり

Yoshihisa Inagaki (以下、Y.I):
<kodomo BEAMS>のランドセルと<Insect Collection>のコラボレーションは、香川君が僕に連絡をくれたことがきっかけでスタートしたんですよね。香川君と僕は、小学校から高校まで暁星という学校に通った同級生で、とくに中学、高校時代は同じクラスだったから、よく一緒に遊んでいたよね。大学に入ると会う機会は減ったけど、今日はあれ以来30年ぶりの再会。僕、最近まで知らなかったんだけれど、俳優業の傍らアパレルブランドを始めたのは、いつからなの?
Teruyuki Kagawa(以下、T.K)
僕は、長年、俳優という世界で生きてきたんだけど、実は、こどもの頃から虫を採るのが大好きで、虫の観察をずっと続けてきたんだよね。そんななか、4年ほど前から、メディアの人たちが僕の昆虫好きを取り上げてくれて番組をやるようになって。するとその番組が、こどもたちが注目してくれるコンテンツになったんですよ。
Y.I:
NHK Eテレの「香川照之の昆虫すごいぜ!」という番組ですね。香川君がカマキリ先生に扮して、虫をおっかけ、生態を読み解いていく。今年は元日に放送されていましたね。
T.K:
その番組をやっていくうちに、自然や昆虫の生態を通して、生き物と人間がどう関わっているのかということを、こどもたちにもっと端的に伝えるためにはどうしたらいいかと考えるようになったんですよ。僕自身、ただ昆虫が好きというよりも、そこからいろいろなことを学んだという思いがありましたから。それがなぜ洋服になったかというと、洋服って、毎日、誰もが着るものじゃないですか。毎日、袖を通すものを通してなら、こどもたちに自然や地球のことを考えてもらえるんじゃないかと思ったのがきっかけですね。こども服は、可愛らしいモチーフが多いから、カマキリとかアリなんていうのは嫌われるかもしれないという心配もあったんだけど、カマキリ先生をやっている僕が提案することによって、そういうイメージも払拭されて喜んでくれるのではないかという期待もありました。それで1年半くらいまえから<Insect Collection>を始めたんです。

自然や昆虫から学んだことが自分を作る

T.K:
昆虫から学んだことは、数え切れないほどあるんだけど、一番は、本能のままに生きているということですかね。彼らは、生きるということに全力をかけて、だいたいワンシーズンで死んでいきます。何年も生きられない。親に育ててもらう昆虫というのもほとんどいなくて、生まれた時には、親は死んでいることが多い。自分ひとりで生きて、生殖活動をして、子孫を残して死んでいく。自分に与えられた以上のことも、以下のこともしない。働き蜂や働きアリなんて、生殖機能さえ持たないんです。ただ、働くことだけをして「あいつはいいな」とうらやましがることもしない。そうやって、ずっと働いて死ぬだけだと思っている種のものも一族の中にいるところに、生きることの本能を見るんだよね。
Y.I:
小学校の時からそれを思っていたの?
T.K:
いや、小学校の時は、ひたすら観察をしていただけなんだけど、いま、この歳になって、自分が子供のころからずっと感じていたことを振り返ったときに「昆虫はなんてすごいんだ」と。人間は、あいつが羨ましいとか、あいつより楽をしたいとか、親がどうだとか、何かあるとすぐいろんなもののせいにするけど、彼らはなんのせいにもしないでひとりで生きている。孤独で、しかし自分の与えられたことを100パーセント遂行しようとし、なおかつ、自分たちの兄弟の何万匹のなかの99%は、ほかの生き物のえさになるために生まれてくる。昆虫は、食物連鎖の一番下にいるからね。それでも文句ひとついわず、たくさんの種を生んでほかの生物たちに貢献しているということは、地球にとってなにより素晴らしいことではないかと思うんですよね。
Y.I:
僕が服のことばかり考えていた時に、香川君はそんなことを考えていたんですね。
T.K:
いつごろからファッションが好きだったんだろう。洋服関係の仕事に就きたいというのもずっと思ってたの?

<kodomo BEAMS>×<Insect Collection>のランドセル

T.K:
息子の通う学校にはランドセルがなくてね。手作りのカバンを作って持って行く学校だったんだけど、僕自身は、暁星のランドセルを背負って、6年間、愛着を持って使ったという思い出があって。こどもにもランドセルを持たせたいという気持ちがどこかにあったんだと思うんですよ。そのうちにブランドをやるようになって、自分が使っていたものよりすこしだけ遊びごころのあるランドセルを作って、こどもたちに届けられたらと思ったのがきっかけですね。
Y.I:
それで、30年ぶりに僕に連絡をくれたというわけですね。だけど、なぜ<kodomo BEAMS>のランドセルだったんだろう。
T.K:
ランドセルといったら、<kodomo BEAMS>でしょう。先ほど言ったように、<Insect Collection>は、ただ単に昆虫モチーフを用いたブランドではないんですよね。生き物に対する理解を深めてほしいという思いがあって作っているから、こどもたちが喜ぶモチーフを賑やかに散りばめるというよりも、ワンポイントで使うなど、落ち着いていて上質であることも大切にしています。控えめで、品があって、かつ、かわいらしさがあるというような。そういうところが、BEAMSのベーシックな部分とマッチするのではないかと思ったものですから、ご一緒させてもらえないかと考えた時に、BEAMS、BEAMS……といえば、「いなちゃんだ!」ということになったわけです。
Y.I:
ありがとうございます。そうしてできあがったランドセルがこちらです。僕も今日はじめて見たんですよ。
T.K:
おお……、高級感があっていいですね。そうそう、この大きくて小さい感じもいい(笑)。ランドセルって、大人にとってはそうでもないんだけど、小学生になりたての1年生にとっては、すごく大きく見えるんだよね。そしてなるほど、<Insect Collection>のモノグラム柄は、かぶせの内側のここにきましたか。さりげなくて、おしゃれですねえ。錠のところには<kodomo BEAMS>の刻印も入っていますね。
Y.I:
時間割表とお名前シートも<Insect Collection>オリジナルです。提案していただいたこのインセクトモノグラム柄、すごくセンスがいいですよね。さらに、僕がとてもいいと思ったのは、このレインカバーです。この色使いなら遠くからでも分かりますね。
T.K:
かわいいですなあ。雨になると一気に昆虫が出てくるという……。雨が降ると昆虫は隠れちゃいますから、その分、こどもたちが昆虫モチーフを見せてくれるというわけですね。ところで、<kodomo BEAMS>のランドセルは、<大峽製鞄>が作っているんですよね。なぜ<大峽製鞄>と一緒にやっているんですか?

質実剛健、<大峽製鞄>のランドセル

Y.I:
ランドセルメーカーといってもたくさんありますからね。バイヤーの峯野がいろいろと見させていただいた上で、<大峽製鞄>の誠実で質実剛健なものづくりに惚れ込んでしまったんです。それでぜひ一緒にとお願いしたんですが、有名私立校のランドセルも長年作っているような由緒あるメーカーということもあり、すぐにお返事はもらえなくて。そのかわり、既存モデルを<kodomo BEAMS>で販売する機会をいただいたそうなんです。それがお店でとても好評で。お客様にも受け入れられるという確信を得て、晴れてコラボレートが実現したと聞いています。いまから8年ほど前ですね。そんな<大峽製鞄>のランドセルの一番の魅力は、なんといっても、かぶせの部分のこのカーブ。ふっくらとしてるでしょ。子供がやんちゃに使っても、アタリが出たり、ひしゃげたりしないのは熟練の職人技によるものです。
T.K:
確かにふっくらとしているし、素材に適度な厚みがありますね。
Y.I:
<大峽製鞄>は、宣伝広告を必要最低限にとどめているから、質を追求し適正な価格を実現できるというのもあります。今回のコラボモデルには、上質なツヤと発色、軽さが魅力のクラリーノを使用しました。それから、自然保護団体への寄付活動もしている<Insect Collection>の理念に共感して、植物由来のポリエステルを用いたGreenRise™のファスナーを採用させていただきました。
T.K:
手間ひまをかけて作っていただいたランドセルですが、おいくら万円でございますでしょうか。
Y.I:
なんか違う番組になってない?(笑) 価格は、税抜きで64,000円=64(むし)となっております。色は、グリーン、キャメル、チェリー、ブラックの4色展開でこの春、発売します。
T.K:
僕だったら、キャメルを選ぶかな。でもこうして伝統あるBEAMSさんとご一緒できて本当に嬉しいですよ。僕は、普段からBEAMSさんの洋服をよく着させていただいていて、今日のこのスーツもそう。数年前までは、まさか自分が洋服に関わるなんて思わなかったけれど、そのおかげで、BEAMSで仕事をしている稲垣君と再会し、一緒にものづくりができたというのもまた嬉しいですね。学校の縁というか、母校の偉大さ、懐の広さも感じますし、30年来続く友人関係に感謝ですね。
Y.I:
一本のメールがここまで繋がり、BEAMSのお客様にも、<Insect Collection>を愛用するお客様にも、ランドセルをお届けすることができるというのは嬉しいですね。とてもいいものができたと思います。今日はありがとうございました。
Manabu Shintani
Teruyuki Kagawa
(俳優)

香川照之/1965年生まれ。1989年、大河ドラマ「春日局」で俳優デビュー。以後、数々の映画・テレビドラマ・舞台に出演。2010年には日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。
Insect Collection OFFICIAL WEB SITE https://insect-collection.jp/

Toshihiro Yasutake
Yoshihisa Inagaki
(BEAMS PARIS BRANCH)

稲垣義久/1965年生まれ。1989年大学卒業後に渡仏し、1991年にエスモードパリ校を卒業。その後、1992年から現在のBEAMSパリオフィスに勤務。ブランドとの取引を中心に、バイイングやコーディネーターとしても活躍。
INSTAGRAM: @inaparisparis

Information.

<Insect Collection × 大峡製鞄 × Kodomo BEAMS>のランドセルは、2020年3月9日(月)正午より、BEAMS公式オンラインショップにて
予約受注スタート!
※店頭での販売は行いませんのでご注意ください。


公式オンラインショップ

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About

BEAMSにまつわるモノ・ヒト・コトをあらゆる目線から切り取り、
ヒトとヒトとのお話から”今気になるアレやコレ”を
紐解いていく連載企画 【TALK】。

洋服のデザイナーからバイヤー、フォトグラファーやモデルなどなど。
様々な職種のプロフェッショナルから
”今気になるアレやコレ”を伺います。

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