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Asako Takakura
Head coach of Japan Women's National Team
#NADESHIKO #FOOTBALL
Apr.15. 2020
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Apr.15. 2020 / #NADESHIKO #FOOTBALL

34 Asako Takakura
Head coach of Japan Women's National Team

& Rina Park(BEAMS Advertising Div.) Photography & Text: BEAMS 2011年、世界一に輝いて日本に勇気と感動を届けたサッカー日本女子代表、通称・なでしこジャパン。あれから9年が経ち、代表選手の顔ぶれは大きく変わりました。新たな歴史を刻むべく、ニュージェネレーションの選手たちと共に戦っているのが、高倉麻子監督。年齢制限のない日本代表では男女通じて初の女性監督となった彼女の考えるなでしこジャパンの今、そして未来とは?今回は、なでしこジャパンのアパレルブロバイダーであるBEAMSを代表し、宣伝統括部の朴里奈とのスペシャルトークです。サッカーのこと、BEAMSがデザインしたスーツのこと、そして日本の社会における女性の立ち位置のこと、様々な思いを語っていただきました。
※この取材は2020年2月に行われたものです。

なでしこジャパンを通して、女性がより輝ける社会へ

Asako Takakura(以下、A.T):
なでしこジャパンのスーツを最初に作っていただいたのは、2017年からですよね?
Rina Park(以下、R.P):
はい。なでしこジャパンが掲げる「なでしこビジョン」のひとつ、“女性が輝く社会の実現”に共感し、2017年よりアパレルプロバイダー契約を結ばせていただきました。なでしこジャパンの選手層と弊社のレーベル、<Demi-Luxe BEAMS(デミルクス ビームス)>のターゲット層とマッチしていたことや、フィールドは異なるものの、社会で活躍する女性のファッションやスタイルのサポートをし、明るくハッピーな毎日を送って頂きたいという思いが根底にあり、ご協力させていただいてます。元々BEAMSでは、様々なジャンルのスポーツ選手のサポートをさせていただいているのですが、個ではなくチームをサポートするという機会がこれまでなく、なでしこジャパンが最初でした。今日高倉監督に着用していただいてるのは、2019年の春にリニューアルしたデザインですよね。
A.T:
そうですね、新しいデザインのスーツです。2017年に作っていただいたスーツはデニムをイメージした素材を使用したり、全体的にスポーティな感じでした。今回のスーツは、前回よりもシンプルかつオーソドックスなデザインになっています。どちらのスーツにも共通しているのが、インナーにシャツだけでなくカットソーも合わせられること。今日もそうですが、私の場合、かしこまりすぎない感じが好きで、インナーはカットソーを着ることが多いです。選手もカットソーを合わせている選手が多いです。BEAMSさんとはスーツのご提供だけでなく、昨年のピンクリボンキャンペーンでもご一緒させていただきましたね。

ピンクリボンや国際女性デーなど、
スポーツ畑の私たちにしかできない活動を

R.P:
BEAMSでは、以前からピンクリボンキャンペーンに賛同し、各店舗の試着室に乳がんセルフチェックガイドを掲示させていただいたり、昨年の10月にはオフィシャルサイトのトップページにあるBEAMSロゴをピンクに変更したり、さらに2017年と2018年には乳がん体験者をサポートする一般社団法人KSHS様へ対象商品の売り上げの一部を寄付させていただきました。そして昨年10月6日に行われたなでしこジャパンとカナダ女子代表との親善試合では、売り上げの10%をKSHS様に寄付されているジュエリーブランド<Quelle Chance(ケルシャンス)>のピンクリボンブレスレットを代表選手25名と高倉監督、そして対戦国であるカナダ女子代表の選手にご提供させていただきました。
A.T:
カナダ女子代表チームの中にご家族を乳がんで亡くしたという方がいらっしゃったこともあり、私たちだけでなく、カナダ女子代表の選手も積極的にブレスレットを着けてくれました。あの試合は、とても思い出深い試合になりましたね。
R.P:
多くの選手がSNSでご紹介されていたのを拝見し、とても嬉しかったです。なでしこジャパンでは昨年の取り組みが初めてだったのでしょうか?
A.T:
はい。もちろんピンクリボンキャンペーンのことは以前から知っていましたし、乳がんで苦しんでる女性がたくさんいて、早期発見であれば助かる確率が高いということも知っていました。ただ、私たちのようなスポーツ畑の人間が啓発できるチャンスというのはこれまでありませんでした。なので、昨年初めて取り組ませていただいたのですが、とても有意義なものになりました。女性だからこそできる活動をなでしこジャパンはこれからもっと積極的に行っていきたいと思っています。その流れもあり、3月8日の国際女性デーをJFAでは「JFA女子サッカーデー」と定め、様々な形で女子サッカーを普及していくことになりました。この特別な日に際し、BEAMSさんからは黄色いスカーフをご提供いただきました。

プライベートでもBEAMSにはかなりお世話になっています(笑)

R.P:
国際女性デーに、男性から女性に愛と幸福の象徴であるミモザの花を贈るという習慣が海外にはあるのですが、そのミモザのカラーである黄色いスカーフをご提供させていただきました。スカーフの端にさりげなく刺繍が入っているのですが、BEAMSならではの遊び心あるグラフィックになっています。ところで監督はBEAMSのことは以前からご存知でしたか?
A.T:
もちろん知ってましたし、よく買い物もさせてもらってます(笑)。普段はカジュアルな格好ばかりしてるので<BEAMS BOY>の商品を買わせてもらうことが多いですね。先日もとある店舗で爆買いしてしまいました。スタッフの方と色々お話させていただき、楽しい買い物ができました。BEAMSのウエアは、ベーシックな商品も多いですが、ちょっと捻ったデザインも多いですね。遊び心があるというか。まさに国際女性デーの時にご提供いただいたスカーフのような。

若手選手の育成にはチャンスだけでなく、待つことも大事

R.P:
ありがとうございます(笑)。これは、以前から聞いてみたかったのですが、高倉監督は多くの若手選手を積極的に起用されていらっしゃいますよね。会社でも若手スタッフに新しいことにチャレンジさせることって、簡単そうで実はとても難しかったりするんですが、どのような目的で、またどのような狙いで若手選手にチャンスを与えているのでしょうか。教育法というと大袈裟かもしれませんが、育成する上で何か大事なことがあれば教えていただけますか。
A.T:
確かに若手選手を起用することは多いですね。ただそれは自分の中では当然だと思ってやってきました。というのも、なでしこジャパンは変わる時期なんです。2011年に優勝した時の選手たちが長年頑張ってくれたこともあり、次の年代がなかなか育ちにくい中で監督も私に代わり、若い選手にチャンスを与えようと思いました。なでしこジャパンの監督になる前、私は下の年代の代表監督だったので、いい選手がたくさんいることはわかっていました。なので、新しいなでしこジャパンを作るためにも、色々な選手にチャンスを与えました。もちろんすぐに結果が出るわけではないので“待つ”ということも大事にして。それはビジネスでも一緒だと思います。結果を残す選手もいれば、結果が出ない選手もいます。ただ、チャンスは与えますが、若いというだけで選ぶことはしません。あくまで結果を残せる選手に若い選手が多かったということですね。その上で、新しいなでしこジャパンの形ができてくると思うんです。答えはひとつではないですから。変化していくことを怖いと感じるか、楽しいと感じるか。人それぞれだと思いますが、私は後者を選びます。むしろ変化しない方が怖いと思ってます。
R.P:
確かに会社という組織でも一緒かもしれませんね。チャンスを与えるっていうこともそうでしょうし、新しい変化を楽しんでいかないと前に進んでいかないですよね。そもそも高倉監督が指導者になりたいと思ったのはいつ頃ですか?
A.T:
指導者になる気は全くありませんでした(笑)。指導者ライセンスも周りに勧められて取りましたし、自分の描いていた将来像とはかなり対極のものになっています。もちろん資格を取ったのも、代表監督を受けたのも、最終的な決断は私自身で決めましたし、指導者になってからは年代を問わず誇りと責任を持って務めさせてもらっています。

なでしこジャパンが頑張ることで、女性のシンボルになれたら

R.P:
そうなんですね。とても意外でした。では最後に、高倉監督が考えるなでしこジャパンの将来像についてお聞かせいただけますか。
A.T:
大きなビジョンとしてなでしこジャパンのことを考えるのであれば、日本がもっと女性が輝ける社会にしたいですね。一昔前に比べれば、男女平等になってきているのかもしれませんが、まだまだだと思っています。世界153カ国を対象とした「ジェンダー・ギャップ指数」というのをご存知ですか?簡単にいうと、世界における男女平等ランキングなんですが、昨年のランキングで日本は121位でした。その結果を見る限り、日本においての女性の地位というのはまだまだ低いんです。地位を上げるためではありませんが、なでしこジャパンが頑張ることで、女性のシンボルになれたらいいなと思います。そのためにもBEAMSさんなど、色々な方々と一緒に取り組んでいけたら嬉しいです。また今はSNSしかり、様々な手段で情報を発信できるじゃないですか。JFAとしてだけでなく、個々の選手からもSNSなどで発信をしてもらって、女性が輝く社会に少しでも貢献できたらと思っています。あいにく私はSNSを一切やらないので、そこは選手たちに頑張ってもらわないと…(笑)。
Asako Takakura
Asako Takakura
Head coach of Japan Women's National Team

高倉麻子/1968年、福島県生まれ。小学生の時にサッカーを始め、わずか15歳で日本女子代表に初選出。1985年、読売サッカークラブ・ベレーザ(現日テレ・東京ベルディベレーザ)に入団し、その後も日本女子代表として活躍。2004年に引退し、以降は指導者としてサッカースクールや各年代の日本女子代表監督を経たのち、2016年になでしこジャパン(サッカー日本女子代表)監督に就任。
INSTAGRAM: @japanfootballassociation

Rina Park
Rina Park
(BEAMS Advertising Div.)

朴里奈/1991生まれ。大学卒業後、2014年にBEAMS入社。店舗勤務を半年ほど経験し、本社勤務に。現在は宣伝統括部にて、BEAMSのブランド価値向上を目指し、話題性を最大化できる宣伝施策を日々企画中。またBEAMSの女性スタッフがいきいきと輝ける職場環境づくりを目的としたWEC(Women's Empowerment Committee)プロジェクトのメンバー。幼少期はバレエ、ダンス、そして中学高校の6年間は新体操に明け暮れた根っからの体育会系。
INSTAGRAM: @chori824

About

BEAMSにまつわるモノ・ヒト・コトをあらゆる目線から切り取り、
ヒトとヒトとのお話から”今気になるアレやコレ”を
紐解いていく連載企画 【TALK】。

洋服のデザイナーからバイヤー、フォトグラファーやモデルなどなど。
様々な職種のプロフェッショナルから
”今気になるアレやコレ”を伺います。

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