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06
Yusuke Hanai
Artist / Illustrator
#ART #SURF
Apr. 01. 2016
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Apr. 01. 2016 / #ART #SURF

06 Yusuke Hanai Artist / Illustrator

Photography / Interview&Text: BEAMS 日本のみならず世界中に作品とその名を轟かせる注目のアーティスト、花井祐介さん。ノスタルジックな雰囲気を唯一無二の作風で表現する彼のアートは、いま世界中の人々を虜にしている。先日「BEAMS T HARAJUKU」で行われた<VANS × YUSUKE HANAI>のイベントも大盛況となり、彼の人気ぶりがうかがえた。今回は、仕事だけでなくプライベートでも親交の深い<BEAMS T>ディレクター 桑原との対談。作品からは垣間見ることのできない花井氏の本音をご紹介します。

自由にデザインさせてもらいました

Kentaro Kuwabara :
おかげさまで今回のイベントも大盛況ですが、そもそも<VANS(ヴァンズ)>とのコラボレーションは、どのような経緯で始まったんですか?
Yusuke Hanai :
以前<Gravis(グラビス)>のプロダクトを手伝わせてもらったことがあるんですが、その時の担当者が今<ヴァンズ>に在籍してるんです。で、その彼に声をかけていただき、一緒に仕事させていただくことになりました。日本やアメリカだけでなく、世界で展開するグローバルのプロジェクトだったということもあり、最初にこの話をいただいたのは2013年で、ローンチするまでに3年近くかかりました。スニーカーは<ヴァンズ>の代表モデルであるスリッポンとオーセンティック、そしてラタの3モデル。すべてサーフ仕様として、かかとをつぶしても履けるようになっています。あとはTシャツやヘッドウェア、そしてボードショーツなども作らせてもらったんですが、<ヴァンズ>からの大きな制約もなく、自由にデザインさせてもらいました。僕なりの<ヴァンズ>をイメージして。本国(アメリカ)の担当者に、日本での先行販売をBEAMSでやりたいって提案したら、快諾してくれました。アメリカでもBEAMSは有名なので。
K.K :
それは嬉しいお言葉(笑)。日本より先にアメリカでローンチのイベントをやったんですよね?
Y.H :
全世界での発売に合わせて、2月にカリフォルニアのラグナビーチにある「Thalia Shop」でイベントを行いました。ありがたいことに、店内に入れない人がそとに溢れるくらいの盛況で、シューズも完売して、ショップのオーナーも喜んでくれました(笑)。やっぱりカリフォルニアでの<ヴァンズ>の影響力は絶大ですね。おかげでさまで、2017年のS/Sだけでなく、A/Wのデザインもやらせていただく予定です。 

きっかけは先輩からの指令

K.K :
もう何度も聞かれていると思いますが、花井さんの経歴を教えてもらえますか(笑)。
Y.H :
(笑)。桑原さんとは付き合いも長いので、もうご存知だと思いますが、簡単にお伝えしますね。生まれは北海道なんですが、2歳で東京に移り、小学校入学のタイミングで、神奈川県の横浜市に移住しました。あ、あと大学を卒業してから2年ほど、絵の勉強をするためにサンフランシスコに留学していました。絵を描くことは小さい頃から好きでしたね。ただ絵画教室に通ったりしてたわけではなく、友達の顔を描いたりとか、遊びの延長上的な感じですね。スポーツは、小学校から高校1年まではサッカーを真剣にやってたんですけど、高校のサッカー部が厳しかったので、すぐに退部しちゃいました(笑)。それからはサーフィンばかりやってます。
K.K :
絵を作品として描いたのはいつ頃からですか?
Y.H :
大学時代ですかね。高校を卒業してすぐに、地元の先輩に、バーをオープンさせるから手伝ってほしいって言われたんです。軽い気持ちで引き受けたら、建物の基礎工事から手伝うことになって(笑)。これはかなり大変でしたね。で、その時にバーの看板を誰かが描くということになり、遊び半分でちょこちょこ描いていた僕に指令がきたわけです(笑)。横3メートル、縦1メートルくらいの看板や駐車場に絵を描かせてもらいました。これが初めて仕事で描いた作品だと思います。
K.K :
影響を受けたアーティストとかいます?
Y.H :
うーん、やっぱりRick Griffin(リック・グリフィン)ですね。バーをやってる先輩も含めて、1960年代のアメリカのカルチャーが好きな人が周りに多くて、その流れでリック・グリフィンを知りました。Grateful Dead(グレイトフル デッド)のアートワークで有名な人なんですが、僕が影響を受けたのはその頃の作品ではなく、1950年代に『SURFER(サーファー)』というサーフ雑誌で彼が描いていたMURPHY(マーフィー)というキャラクターです。なので、僕の初期の作品は、そのマーフィーにソックリです(笑)。
K.K :
プロのアーティストとしての大きな転機ってありましたか?
Y.H :
ちょうど10年前ですね。さっき話したバーを経営している先輩が、音楽フェスの「GREEN ROOM FESTIVAL(グリーン ルーム フェスティバル)」の飲食ブースに出店していたんです。で、その時も看板を僕が描いたんですけど、カリフォルニアのラグナビーチにある『The Surf Gellery(ザ・サーフギャラリー)』のオーナーが僕の作品を気に入ってくれたんです。「なんで君の作品はアートのブースではなく、飲食のブースにあるんだ?」って(笑)。その縁がきっかけで、2007年にニューヨークで開催された「HAPPENING(ハプニング)」というイベントに招待されました。ただ、その頃はまだ絵だけでは食べて行けなかったので、大学を卒業してからしばらくは別の仕事もしていましたよ。看板屋さんで働いたり、某大手IT企業でウェブデザイナーをやっていたりもしました(笑)。そのIT企業で働いている時はかなり過酷なスケジュールでしたね。朝から終電近くまで働いて、帰宅してから作品作りをしていたので、当然ですが身体を壊したこともありました(笑)。おかげさまで、それなりの役職をもらえたんですが、本業が忙しくなってきたタイミングで退職しました。BEAMSさんと一緒に仕事をさせてもらったのは、ちょうどその「ハプニング」の後ですよね?

仕事のスケジュールは、波の状況次第(笑)

K.K :
そうですね。当時<BEAMS T>のバイヤーをしていた同期が、「ハプニング」で花井さんの作品を見て、声をかけたのが最初ですよね。で、2008年の「グリーンルームフェスティバル」で販売するBEAMSのオリジナルスウェットとTシャツのデザインをしてもらったんです。ま、本人を目の前にして言うのもなんですが、それまで花井さんの存在は、一切知りませんでした(笑)。もちろん作品は好きですけど、まさかここまで有名になるとは(笑)。そういえば、こないだアトリエというかご自宅にお邪魔しましたが、普段はどんなタイムスケジュールで作業をされているんですか?
Y.H :
普段は、だいたい朝9時頃からスタートして、昼食を間に挟みつつ、18時位まで作業をしてます。その後、子供とお風呂に入って、夕食を摂り、21時位から寝るまでの時間、再び作業をしているという感じです。子供がまだ2歳なんですけど、いやー可愛くて仕方ないですね(笑)。もう13歳になる愛犬がいるんですけど、子供ができるまでは愛犬以上に可愛いものはないって信じてました。子供が産まれた日に、愛犬に謝りましたね。ゴメンって(笑)。だから今は子供といる時間が何よりの幸せですね。あ、あと幸せといえば、サーフィンをしてる時。趣味という趣味は、サーフィンと子育てくらいしかないんですけど、このふたつは欠かせません。さっき話した一日のスケジュールも、結局は波次第かも(笑)。波が良ければ、必ずといっていいほど、サーフィンをしてます。
K.K :
そういえば、今回デザインしてもらった<Coleman(コールマン)>とBEAMSとのコラボレーションアイテム、いかがですか?
Y.H :
今回は3タイプのチェアとテーブルがリリースされるんですけど、どれもよくできてると思いますよ。桑原さんから依頼された「デザインの中に必ず人を入れてほしい」というのもしっかり守って描かせていただきましたので(笑)。何度か電話で修正依頼がありましたけど、しっかり対応させていただきました。受話器を持たない方の手で、何本か鉛筆を折りましたけど(笑)。それは冗談ですけど、オリジナルのバッグ用に描いた丸太もうまくできましたね。

いつか海の近くにアトリエを

K.K :
鉛筆を折ったことは知りませんでした(笑)。でも花井さんは、修正を依頼しても、ちゃんとやってくれるし、俗にいうアーティストとは全く違いますよね。アーティストっていうと、ちょっと変わってる人が多いけど、花井さんは良い人だから仕事もしやすい。あとイケメン(笑)。そんなイケメンの花井さんは、これからの夢とかありますか?
Y.H :
(笑)。そうですね、前に桑原さんとも話したと思いますけど、作品集を出したいです。あとは作品展をもっとやりたいですね。
K.K :
作品集を出したいっていうのは話してましたよね。作品展という意味では、海外で花井さんのアートショーをやりたいって思っています。僕が出会った頃は全く知られてなかった花井さんも、今では世界的にも有名なアーティストになりましたが、もっともっと海外でイベントをやって、花井さんの作品を色々な人に見てもらいたいと思っています。
Y.H :
そうですね、海外でも色々やりたいですね。あ、あと自宅とは別の場所にアトリエが欲しいですね。今は自宅兼アトリエなので。子供と離れたくないから、今すぐというわけではないですけど、いずれは欲しいですね。海の方とかに。
K.K :
それ、いいですね! そしたら鎌倉の材木座辺りとかどうですか?
Y.H :
それ、桑原さんの家の近くじゃないですか(笑)。
K.K :
そしたら、アトリエに僕のサーフボードを置かせてもらおうかなと…。
Y.H :
……しばらくは自宅で作業します(笑)。
Yusuke Hanai
Yusuke Hanai
(Artist / Illustrator)
ウェブサイト : http://hanaiyusuke.com/

花井祐介/1978年生まれ。北海道出身、神奈川育ち。2006年、カリフォルニアのラグナビーチにある『The Surf Gallery』にて作品の展示を開始し、本格的なキャリアをスタート。その後、BEAMSはもちろんのこと、世界中の様々な企業にアートワークを提供し続けている。プライベートでは1児の父として、子煩悩ぶりを発揮中。

Kentaro Kuwabara
Kentaro Kuwabara
(BEAMS T Director)

桑原健太郎/1978年生まれ。北海道出身。2002年にBEAMSに入社し、「BEAMS SAPPORO」に勤務。その後、東京へ異動となり、販売スタッフとして活躍。2012年より<BEAMS T>のディレクターとなり、現在は、バイイングから様々な企画立案、さらに海外で日本人アーティストのキュレーション的サポートをするなど多岐に渡る。

About

BEAMSにまつわるモノ・ヒト・コトをあらゆる目線から切り取り、
ヒトとヒトとのお話から”今気になるアレやコレ”を
紐解いていく連載企画 【TALK】。

洋服のデザイナーからバイヤー、フォトグラファーやモデルなどなど。
様々な職種のプロフェッショナルから
”今気になるアレやコレ”を伺います。

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