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07
Emiliano Rinaldi
EMiLiANO RiNALDi Designer
#WHO’S ON NEXT #FASHION
Apr. 08. 2016
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Apr. 08. 2016 / #WHO’S ON NEXT #FASHION

07 Emiliano Rinaldi EMiLiANO RiNALDi Designer

&Takashi Hattori (International Gallery BEAMS Director) Photography: Ayumi Yamamoto
Interview&Text: Takuro Kawase
[TALK]第7回目となる今回は、本企画で初となる海外デザイナーが登場。イタリアの新世代デザイナーのひとりとして注目を集め、着実にファンを増やし続けているエミリアーノ・リナルディ氏です。<インターナショナルギャラリー ビームス>での取り扱いが5年を迎え、ますます完成度が高まってきたブランドの魅力を、<インターナショナルギャラリー ビームス>のディレクター服部との対談形式でお届けします。

女性的な素材は男のエレガンスを表現するひとつの手段。

Takashi Hattori :
今シーズンもあなたが得意とするグラフィカルなプリントや織り柄のアイテムが印象的でした。コレクションにあたり、インスピレーションとなったのはどんなことでしょうか?
Emiliano Rinaldi :
私が6年間住んだことのある街、ボローニャがインスピレーションになっています。学生時代をこの地で過ごし、友人たちとジャズを聴きながらお酒を飲んだり、レストランで食事を楽しんだりしていました。そんな風にバーやレストランに集う、エレガントなアティチュードを持つ男性を思い描きました。ジャズについては1930年代のものが主で、その時代背景からインスパイアされたプリント柄もあります。
T.H :
もはやブランドアイコンにもなっているプリント柄が特に素晴らしかったです。あなたの服を初めて見たのは、2011年のトラノイ(パリで行われる大型展示会)でしたが、当時から意外性や驚きのある素材使いが印象的でした。特にメンズで珍しかったレースをいち早く取り入れていたことや、コットンシルクやレーヨンコットンといった、軽くて女性的な素材使いは今季も健在ですね。バイイングにあたっては、このような小紋柄のシャツやレース使いのインナーを必ずオーダーするようにしています。
E.R :
この穴の空いたレース素材は、サンガッロと呼ばれるイタリアの古典的技法のひとつです。私の服作りはいつも素材選びから始まり、そこからデザインを考えていきます。ずっと作り続けているレースのシャツやポロシャツは、男性が持つエレガンスの表現のひとつ。例えば、ジャズのかかるバーでワインを嗜んでいる男が、こうした女性的な素材のシャツをスモーキングパンツに合わせていたら面白いと思いました。日中の仕事で着る服とは別に、バーやパーティなどナイトライフのための服が男にもあるべきだと私は考えています。同時に、ナイトライフの服をあえて日中に着ることで新しいコーディネイトができるはずです。

決して女性の服を男性が着るということではないのです。

K.K :
確かにそうですよね。あなたの服からはエレガンスとアヴァンギャルドという異なる要素を感じます。他のデザイナーズブランドの多くは、アイテムひとつを選ぶだけで全てそのブランドの雰囲気に染まってしまうことがよくありますが、あなたの作る服はピックアップするアイテムによって、ムードや印象が変わるというのも他にない強みですね。女性的な素材を使っていても、基本的なシルエットやディテールはあくまでメンズなので、最近話題になっているノージェンダーとかジェンダレスと呼ばれるブランドとは違いますね。どこか男の色気や不良っぽさがあると思います。
E.R :
(グッチの)アレッサンドロ・ミケーレや(ロエベの)ジョナサン・アンダーソンは、非常に優れたデザイナーだと思いますし、彼らの提示するスタイルは勢いがありますね。でも、私のデザインの根底にはクラシックスタイルがあり、見せ方も彼らとは違います。私が常にイメージしているのは、自信に満ち溢れ、エレガントな所作を心得た男性です。だから女性的な素材であっても自分らしく取り入れることができ、男らしさを表現するためのひとつの手段として楽しめる。それは決して女性の服を男性が着るということではないのです。男性が持つ繊細さ、ユーモア、アイロニーを感じてもらえると嬉しいですね。

マーケットの拡大を含め、今年はますます忙しくなりそうです。

T.H :
こちらのサファリジャケットはまさにそうで、ディテールとシルエットが男らしい。だから女性的な素材のインナーを組み合わせることで、他にはない着こなしができるのですね。あなたのデザインは、メンズウェアの基本から逸脱していないところが強みだと思います。グイグイと自己主張してくるイタリア人デザイナーが多いのですが(笑)、あなたはいつも紳士的に接してくれますね。ショーのバックステージに招待してくれたこともありましたが、我々バイヤーにとっては貴重なことですし、とても光栄でした。スタッフのみんながあなたの服を持っていますし、センスの良い顧客さんに買ってもらっており、セールスも好調です。
E.R :
ありがとう!スタッフが僕の服を着てくれていることは本当に光栄なこと。ビームスとの取り組みはすでに10シーズンとなりましたが、今まで非常に良好な関係を保ち続けています。日本での知名度も高まり、好意的なイメージがついてきたと思っています。40年もの歴史を持つショップはイタリアでも珍しく、ビームスの皆さんのプロフェッショナルな姿勢、仕事に対する情熱、そして先見性をいつも尊敬しています。今後はポップアップストアが展開できればいいですね。
T.H :
そうですね、我々にとってもあなたのブランドは欠かせない存在になっていますから。この関係を発展させながら、次のステップが必要な時期に来ているように思います。より注目度を高めるようなプレゼンテーションも検討しています。
E.R :
まだ未確定ではあるのですが、パリ・コレクションでの発表も視野に入れています。アンダム(パリで行われる新人発掘のためのコンペ)で受賞できたら最高ですね。これからは北米での展開にも力を入れなければいけませんし、とあるブランドからのオファーも検討していますので、今年はますます忙しくなりそうです。
Emiliano Rinaldi
Emiliano Rinaldi
(EMiLiANO RiNALDi Designer)

1979年アレッツオ生まれ。ボローニャ大学卒業後、古いオブジェの収集やアンティーク家具の修復などの仕事を経て、ファッションの道を模索。友人のために制作した服がきっかけとなり、2011年に自信の名を冠したブランドをスタート。同年、ピッティウォモで行われた“who’s on NEXT”で受賞し、世界中のバイヤーやジャーナリストから高い評価を得る。ヨーロッパの高感度なショップを中心に取り扱われ、さらなる飛躍が期待されている。

Takashi Hattori
Takashi Hattori
(International Gallery BEAMS Director)

1971年生まれ。学生時代からアルバイトとしてビームスに勤務し、卒業後入社。<インターナショナルギャラリー ビームス>でメンズ部門のバイイングを担当。いち早く新鋭ブランドを見抜き、数多くの海外デザイナーを日本へ紹介してきた。長年の経験と直感から培ってきたバイイングに、多くのメディアが注目している。現在はメンズ部門のディレクションも手がけ、国内外の展示会を飛び回っている。

About

BEAMSにまつわるモノ・ヒト・コトをあらゆる目線から切り取り、
ヒトとヒトとのお話から”今気になるアレやコレ”を
紐解いていく連載企画 【TALK】。

洋服のデザイナーからバイヤー、フォトグラファーやモデルなどなど。
様々な職種のプロフェッショナルから
”今気になるアレやコレ”を伺います。

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