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15
Shinshu Kosuzume
BRIEFING Designer
#BRIEFING #DANNER #GRAMICCI
Nov. 11. 2016
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Nov. 11. 2016 / #BRIEFING #DANNER #GRAMICCI

15 Shinshu Kosuzume BRIEFING Designer

&Tomonori Shibasaki (BEAMS Buyer) Photography / Interview & Text : BEAMS
<BEAMS PLUS>では2005年の別注モデルの展開からスタートし、今では欠かすことのできない定番バッグブランドとして、ショップの一角を彩る<BRIEFING>。Made in U.S.Aゆえの無骨さと、日本人デザイナー小雀新秀氏による細部にまで行き届いたディテールワークが融合されたそのプロダクトは、多くの人々を虜にする。今回は、そんな小雀新秀氏とバイヤー柴崎智典によるスペシャルトーク。2人の出逢いから待望のトリプルコラボレーションまでの、過去、現在、そして未来を語る。

"アメリカ"という共通項があってこそ。

Tomonori Shibasaki (以下、T.S) :
BEAMSとして初めて<BRIEFING>を取り扱わせていただいたのは、2005年に<BEAMS PLUS>で別注モデルをお願いした時ですよね。
Shinshu Kosuzume (以下、S.K) :
そうですね。<BEAMS PLUS>の別注を作らせてもらったのは、2005年だったと思います。そこからインラインのアイテムも展開していただいています。
T.S
その時に誕生したのが、今でも展開しているベストセラーの3WAYバッグの原型ですよね。当時僕はまだBEAMSの人間ではなく、音響メーカーの営業マンとして「ビームス 大宮」へ通っていました(笑)。たまたま先輩が働いていたということもあったんですけど、その先輩から<BRIEFING>の存在を教えていただいたんです。ちょうど同じタイミングに雑誌で<BRIEFING>と<BEAMS PLUS>の別注モデルが大々的に紹介されていたんです。それが3WAYバッグと、今は展開していないボンサックタイプの2モデルで。そのデザインに衝撃を受けて入荷日に「ビームス 大宮」へ買いに行きました(笑)。なのでその日から、僕の<BRIEFING>生活がスタートしました。そんな自分がまさか今別注を担当しているんですから、凄いですよね(笑)。ちなみに、うちと他社さんが作る別注モデルは、こだわりや好みってやはり異なりますか?
S.K
はい。<BEAMS PLUS>の場合、ベースに"アメリカ"というのがあるじゃないですか。<BRIEFING>も"Made in U.S.A."にこだわって作っていたのと、当時バイイングを担当されていた方と、お互いのブランドとショップの方向性が近かったので、テイストは間違いなく合うだろうとは思っていました。その方とのお付き合いがあったからこそ、今もこうやって<BEAMS PLUS>と一緒にやらせてもらってるんだと思います。あとは<BEAMS PLUS>の場合、簡単な企画ではないので、やりがいもあります。うちのオリジナルではできないことも<BEAMS PLUS>との別注で作ることもありますし、新しいテクニックやパーツを取り入れることも多いので、僕らも勉強になります。

BEAMS PLUSといえば、エアーフォースブルー

T.S
当時の別注では、まだネイビーってありませんでしたよね?
S.K
はい。初めて<BEAMS PLUS>の別注を作らせてもらった時はブラックと、ちょっとゴールドっぽいカーキ色を使用しました。ブラックは変わらずに黒赤のウェビングテープで、カーキにはオリーブドラブのテープという組み合わせで、今よりもミリタリー感の強い配色でしたね。その後に、今は展開していないオリーブカラーのモス、ミッドナイトというネイビーと続いて、エアフォースブルーという<BEAMS PLUS>のオリジナルネイビーという順で別注を作っていました。
T.S
ミッドナイトとエアフォースブルーは同じネイビーなんですが、微妙に明るさが違うんですよね(笑)。あとはウェビングテープのカラーが違うので、かなり見ためは異なるんですが。
S.K
<BEAMS PLUS>との取り組みで一番大きかったのは、やっぱりエアフォースブルーですね。それまでのカラーとは異なり、これは完全なる<BEAMS PLUS>のオリジナルカラーなので、この別注のためだけに生地やウェビングテープを生産しました。オリジナルカラーの生地を作る場合、ミニマムが莫大な数なので、そういう意味でも生半可な気持ちではできない別注でしたよね(笑)。
T.S
エアフォースブルーの別注を初めて制作したのは2013年だったと思うんですけど、ちょうど僕が<BEAMS PLUS>のバイヤーとして駆け出しの頃で、言い方は違いますけどロットがロットだけに「腹くくれんの?」的なやりとりを小雀さん達としていて、かなり緊張感のあるミーティングでした(笑)。ただ僕らはすでに<BRIEFING>好きのお客様が沢山いらっしゃったので、不安は一切ありませんでした。案の定大成功をおさめ、エアフォースブルーは<BEAMS PLUS>の別注のアイコンとなって、今現在も使用しています。その前もスポットで色々作ってはいただいていたんですけどね。今日僕が使用しているバッグはフォリアージュっていうカラーの限定モデルです。このバッグが発売した頃は「ビームス プラス 丸の内」にいたんですけど、4万するバッグにたくさん反響をいただき、<BRIEFING>の人気ぶりを再確認しました(笑)。
取材当日、柴崎が使用していた2009年にリリースされた<BEAMS PLUS>別注の3WAYバッグ。
S.K
エアフォースブルーを作る前にも色々な別注をやっていただいていて、かなり実績はあったので僕らも不安はありませんでした。でなければエアフォースブルーは生まれていませんから。先程柴崎さんが話していた3WAYバッグも多少の仕様変更はしてますけど、ここまで長く継続しているモデルってインラインの定番よりも長かったりしますから(笑)。
T.S
3WAYバッグはロングセラーですよね。最初に別注で作ってからは途切れることなくずっと継続で扱っています。もちろん売り切りて、店頭に並ばないってことはありましたけど(笑)。そのくらいのベストセラーです。<BEAMS PLUS>の商品の中でも、ここまでロングセラーなのは希有だと思います。
S.K
昔はこういうスタイルのバッグがなかったんですよね。もちろん昔からアウトドア系などで3WAYバッグってあったんですけど、こういう<BRIEFING>のようなテイストではありませんでした。だから新鮮なのかもしれません。あとはバッグ自体の捉え方が徐々に変わっているんだと思います。
T.S
それは間違いなくありますよね。
S.K
ファッションの流れによってバッグのトレンドも変わります。例えば、うちの商品でもモデル数が多いトートバッグだって、昔男性は持ちませんでしたからね。それが今では当たり前のようにみんな持ってるじゃないですか。あとはスーツのあり方も変わってますよね。それによって持つカバンも変わってきていて、昔はレザーのバッグが当たり前でしたけど、今はナイロンのバッグを持ってる方も多いですね。元々<BRIEFING>の場合、オンオフを問わずにどう使ってもらえるかを重要視しているんです。そういう意味で、ビジネスシーンでも<BRIEFING>のナイロンバッグを使ってもらってるというのは、本当にありがたいですね。どちらかといえば、カジュアルに分類するバッグブランドだと思うんですが、それを会社用として使ってもらってる方がいるということは、やはり時代の変化がありますよね。BEAMSさんが作った40周年のムービーじゃないですけど(笑)。
T.S
『TOKYO CULTURE STORY』のことですね(笑)。そういう意味では昨年の秋冬から<BRIEFING>の展開がスタートした<BEAMS BOY>も同じことが言えますね。予想以上に好評のようです。
S.K
女性の持つバッグのセレクトも変わってきましたよね。ウエアと一緒で、昔に比べて、ジェンダレスになってきてるんだと思います。そういうこともあり、女性にも<BRIEFING>を使っていただいているのかもしれません。
T.S
小雀さんは長年バッグを作られていると思うんですが、デザインする上でこだわりなどはありますか?
S.K
色々ありますけど、やはり気に入ったバッグを作りたいですね。自分が納得できないものをお客様が買うなんてあり得ないし、自分自身そんな無責任なことはしたくないので。よく色々なブランドさんや企業からコラボレーションのお話とかもいただくんですが、お互いのためにならない企画であればお断りしています。これだけ無数にバッグのブランドが存在する中で、お客様から選んでもらうためには、やっぱり自分が欲しいと思ったものを選んでいただきたいです。

デザイナーはある意味ミーハーであるべき

T.S
その通りですよね。ちなみにバッグをデザインする時にどんなものからインスピレーションを受けることが多いですか?
S.K
バッグをデザインするからといってバッグからをヒントを得るということはまずありませんね。洋服や靴、そして車や建造物など色々なものを見て、刺激を受けています。バッグ同様、他の物もすべて時代とともに変化していくじゃないですか。すべてリンクすると思うんです。なのでどんな状況においても対応できるよう色々なモノを見るようにしています。そういう意味では、デザイナーってある意味ミーハーであるべきだと思っています(笑)。ちなみに柴崎さんから見た<BRIEFING>ってどんなイメージですか?
T.S
そうですね。"質実剛健"という言葉があるじゃないですか。<BRIEFING>はその"質実剛健"に"柔"という文字が加わるバッグだと思っています。なぜかというと、パッと見はヘビーデューティという言葉に相応しくガチっとしてるんですけど、実際に使ってみるととにかく気が利いているんです。「こんなポケットがあったらいいなぁ」っていうのがちゃんと装備されている。無骨なイメージが強いアメリカ製のバッグなんですけど、日本人ならではのアイデンティティがちゃんと落とし込まれていて、とにかく使いやすいんですよね。そんなイメージを営業マン時代に感じていました(笑)。単純にその頃は小雀さんの存在なんて知らなかったので、機能性に優れたアメリカ製のバッグぐらいのイメージだったんですけど、BEAMSに入社してから<BRIEFING>が日本人デザイナーによるアメリカ製のバッグということを知り、さらに好きになり、色々買い足しています(笑)。
S.K
ありがとうございます(笑)。ちなみに柴崎さんは何点くらい持っているんですか?
T.S
小物まで入れると7、8点ですね。普段使いはもちろんなんですけど、出張時にも便利なので、かなりお世話になってます(笑)。先程小雀さんが言われていたように、オンオフを問わずに使えるんですよね。スーツを着ていた営業マン時代から今みたいなカジュアルな格好の時にも合いますし。コレクター魂で揃えているわけでなく、色々なシチュエーションを想定した時に、<BRIEFING>が適しているので必然と数が増えていきました。それは僕だけでなく、同じ理由で使っているBEAMSのスタッフは多いですよ。むしろお客様の方が熱心なファンが多いかもしれません。特に<BEAMS PLUS>の別注は、毎回好評ですし、商材が残るということはこれまで一度もありません。

自分が欲しいと思う物を作りたい

S.K
<DANNER>と<GRAMICCI>とのトリプルコラボレーションも楽しみですね。
T.S
この度は大変お世話になりました(笑)。<BRIEFING>×<DANNER>×<BEAMS PLUS>、そして<BRIEFING>×<GRAMICCI>×<BEAMS PLUS>という初のトリプルコラボレーションで不安な面もありましたが、小雀さんはもちろんのこと、<DANNER>や<GRAMICCI>、そして工場の方々のおかげで素晴らしいコラボレーションアイテムを作ることができました。<BRIEFING>というブランドはミリタリズムというイメージがあると思うんですが、そのミリタリズムも密接な関係であるアウトドアを融合させるということで、もうひとつのブランドさんを僕らが選定させていただきました。それぞれのブランドのオリジンを残しつつ、新しいことをするというテーマにしていたのですが、実際の商品を見て大成功だったと思っています。
S.K
話をいただいたのって1年半くらい前ですよね。
T.S
そうですね。小雀さんにご承諾頂いてから、すぐに3社でミーティングをさせていただきました。今さらですが、小雀さんの中で大変だったことってどの辺りでした?
S.K
僕らはバッグのブランドで、<DANNER>はフットウエアで、<GRAMICCI>はアパレルと、それぞれ専門分野が異なるじゃないですか。つまり同じような素材であっても、加工の違いがあったりするんですよね。それに加えて、それぞれのレギュレーションもありますし。その点が思った以上に大変でしたね。もちろんそこに<BEAMS PLUS>さんのリクエストも加わりますので。そういえばバッグで使用しているコブラバックルはコストがかかるからって言ったのに柴崎さんのリクエストで使用したんですよね(笑)。
T.S
はい(笑)。今まで<BEAMS PLUS>では使ったことのないパーツだったので、このタイミングで是非使わせていただきたかったんです。
S.K
元々はパラシュート部隊やクライミングのハーネスなどで使用されるバックルなので、このバッグで使用するにはかなりのオーバースペックなんですけどね(笑)。でも<BEAMS PLUS>ならではのこだわりがあって、結果的には良かったと思います。
T.S
ありがとうございます(笑)。最後に今後の<BRIEFING>について教えていただけますか。
S.K
根幹の部分がブレずに物作りをしていきたいと思ってます。売り上げを取るために商品数を増やしたり、自分が欲しいと思わない物は作らないようにしたいですね。<BRIEFING>は僕がデザインしてますけど、僕のブランドではないので、一人の商業デザイナーとしてお客様が喜んでいただけるようなものをこれからも作っていきたいです。そのためには見聞を広めるということも大事です。なので、僕の大好きな釣りやテニス、あと料理も<BRIEFING>のためといえば、そうなのかもしれません(笑)。
Shinshu Kosuzume
Shinshu Kosuzume
(BRIEFING Designer)

小雀新秀 / 1966年生まれ。大手バッグメーカーでデザイナーとして活躍した後、1999年セルツリミテッドに入社。バッグブランド<WRAPS>やOEMのデザインを手がけつつ、<BRIEFING>のブランド立ち上げと同時にデザイナーに就任し、数々のヒット作を輩出。現在、同社執行役ディレクター。

BRIEFING OFFCIAL SITE : https://www.briefing-usa.com/
Tomonori Shibasaki
Tomonori Shibasaki
(BEAMS Buyer)

柴崎智典 / 1980年生まれ。青山ファッションカレッジを卒業後、某セレクトショップに入社。その後、音響メーカーの営業マンに転職し、2005年BEAMS入社。数店舗のショップスタッフを経て、2011年より<BEAMS PLUS>のバイヤーに。現在は主にシューズ・バッグなどを担当。国内外を足繁く飛び回り、数々の別注モデルを手がける。

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BEAMSにまつわるモノ・ヒト・コトをあらゆる目線から切り取り、
ヒトとヒトとのお話から”今気になるアレやコレ”を
紐解いていく連載企画 【TALK】。

洋服のデザイナーからバイヤー、フォトグラファーやモデルなどなど。
様々な職種のプロフェッショナルから
”今気になるアレやコレ”を伺います。

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